原題:Sinbad: Legend of the Seven Seas

2003年7月2日全米初公開

2003年/アメリカ/ 配給:UIP

2005年07月22日よりビデオリリース

解説

自由と冒険を追い求め、どこまでも広がる大海原を行く海賊シンドバッド。アリババやアラジンと並び、「アラビアン・ナイト」のなかでも最も人気の高い彼の物語が、胸躍るアドベンチャー・アニメーションとなって21世紀に蘇った

アカデミー作品賞に輝く『グラディエーター』の脚本家、ジョン・ローガンのオリジナル・ストーリーを元に作られた『シンドバッド 7つの海の伝説』。『シュレツク』で栄えあるアカデミー長編アニメ賞を初受賞したドリームワークスが、4年の構想のもとに完成させた本作は、世界中の子供たちと、子供の心をいつまでも失わない大人たちの胸を、ワクワクした思いで満たしてくれる超一級のエンターテインメントだ。

物語は、世界の平和を司るく魔法の書>をめぐって展開する。人間からこの書を奪い、世界を混乱に陥れようとたくらむのは、地の果てタルタルスに住むカオスの女神エリス。
彼女の策略にひっかかり、<魔法の書>を盗んだ犯人にされてしまったシンドバッドは、彼の無実を信じて身代わりを買って出た王子プロテウスが処刑される前に、エリスからく魔法の書>を奪い返す使命を果たさねばならなくなる。だが、責任感の三文字とは無縁のシンドバッドは、はやくもフィジーヘトンズラのかまえ。そこに、プロテウスの婚約者マリーナが出現。勝手に船に乗り込んできた彼女の説得によって、シンドバッドはしぶしぶタルタルスに進路を向ける。が、その行く手には想像を絶する危険が待ち受けていた……。

魅惑的な歌声で船乗りを虜にする海の精セイレーン、島ほどの身体を持つ巨大な魚、行く手を阻む氷の海、鋭い爪でマリーナをさらっていく不気味な怪鳥。ピンチに継ぐピンチを、海の男の勇気と機転で乗り切っていくシンドバッド。その過程で、真のヒーローの資質を身につけていく彼の成長を描くドラマは、男同士の友情や切ないロマンスの要素をはらんで波瀾万丈に展開。シンドバッドが、自分にとってのいちばんの宝物を発見するクライマックスでは、ハートフルな感動をたっぷり味わわせてくれる。
そんなドラマのクォリティをよりいっそう高めているのが、主人公シンドバッド役のブラッド・ピットをはじめとするゴージャスなボイス・キャストだ。世界を混乱に陥れようとしてく魔法の轡>を盗み出すカオスの女神エリスには、『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』などで3度アカデミー賞候補にあがっているミシェル・ファイファー。

幼なじみのシンドバッドの無実を信じ、白分から身代わりの刑罰を受ける王子プロテウスには、『恋におちたシェイクスピアア』のジョセフ・ファインズ。そのプロテウスを案じる気持からシンドバッドの航海に同行し、海賊たちの尊敬を集めるほどの活躍を見せるヒ。インのマリーナには、『シカゴ』でアカデミー助演女優賞を受賞したキャサリン=ゼタ・ジョーンズ。ハリウッドのトップに君臨する4大スターに加え、シンドバッドの頼もしい副官ケイルには『エデンより彼方に』のデニス・ヘイスバートが扮し、ここでも実写映がに負けない名サポートぶりを見せている。

監督は、『アンツ』の共同監督をつとめたティム・ジョンソンと、本作がデビューとなるパトリック。ギルモア・トラディショナルな2Dで描かれたキャラクターと、CGIを駆使した背景や効果などの素材を、全編に渡って、アニマティックスと呼ばれる3Dの手法で撮影したのは、本作が史上初。表情豊かな水の動きや、シンドバッドとマリーナが氷の塔を滑り降りるスリリングなアクションなど、これまでのアニメの常識を覆す映像体験には、誰もが驚きの目を見張るだろう。

ストーリー

世界中のお宝を追い求め、7つの海を股にかける海賊シンドバッド(ブラッド・ピット)。
いま、彼と仲間たちを乗せたキメラ号は、シラキュースに向かう一隻の旗艦を追いかけていた。狙いは、12の都市の平和を司るく魔法の書>。それを旗艦から盗みだして競売にかければ、フィジーで一生暮らせるほどの大金が手に入るのだ。が、<魔法の書>を狙っているのは、彼らだけではなかった。地の果てタルタルスに住むカオスの女神エリス(ミシェル・ファイファー)。平和ほど退屈なものはないと考える彼女も、世界を混乱に陥れるために、人間からく魔法の書>を奪おうとしていたのだ。
そうとは知らないシンドバットは、仲間を率いて旗艦を襲撃。<魔法の書>を運ぶ使命をおびて船に乗り込んでいたシラキュースの王子プロテウス(ジョセフ・ファインズ)の目の前から、獲物をかっさらおうとする。そうはさせじと応戦するプロテウス。と、そのとき、エリスの放った海の怪獣セータスが、恐ろしい触手を振り回して旗艦に迫ってきた。
こりゃたいへんだと、スタコラ逃げだすシンドバッド。だが、絶体絶命のプロテウスを見捨てておけなくなった彼は、プロテウスと力を合わせ、折れたマストでセータスを串刺しにする。これで一件落着。かと思いきや、シンドバッドはセータスの触手に引きずられて海中へ。そこには、シンドバッドを利用してく魔法の書>を手に入れようと考えたエリスが待ちかまえていた。
「私のためにあの本を盗めば、お前は島どころか世界を手にすることができるのよ」
エリスの甘いささやきに、シンドバッドはすっかりその気になる。かくしてキメラ号に拾い上げられた彼は、プロテウスの後を追ってシラキュースに上陸する。
シラキュースでは、<魔法の書>の到着を祝い、プロテウスの父ディマス王が盛大な宴を催していた。そこに現われたのが、シンドバッド率いる海賊の一味。12都市の使節団をはじめとする人々は、招かれざる客の乱入に困惑顔。だが、先ほどシンドバッドに危ないところを救われたプロテウスだけは、海賊たちを快く迎え入れた。
実は、プロテウスの歓迎には、もうひとつ別の理由があった。彼とシンドバッドは、少年時代の無二の親友で、将来はともに王国海軍に入ろうと誓い合った仲だったのだ。この日、シンドバッドと10年ぶりに再会したプロテウスは、自分の婚約者でスレースの大使でもあるマリーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)を、シンドバッドに紹介しようとする。
しかし、マリーナの顔を見て驚きの表情を浮かべたシンドバッドは、<魔法の書>を盗む目的も果たさぬまま、宮殿を去っていった。
かくなる事の成り行きを上空から見守っていたエリスは、もっと事態をややこしくしようと画策。自分がシンドバッドに変身してく魔法の書>を盗みだし、彼に罪をなすりつけようと考える。そのたくらみは、まんまと成功。逮捕されたシンドバッドは、使節団の裁判にかけられ、死刑を宣告されてしまう。すると、そこにプロテウスが現われた。シンドバッドの無実を信じる彼は、シンドバッドがエリスからく魔法の書>を取り戻すまで、自分が身代わりになると申し出たのだ。シンドバッドに与えられた猶予は10日間。それまでに彼がシラキュースに戻って来なければ、プロテウスは処刑されてしまうことになる。
さっそくキメラ場に乗り込んだシンドバッドは、エリスのいるタルタルスに向けて川発・したのではなく、彼が一等航海士のケイル(デニス・ヘンスバート)に命じたのは、フィジーへの進路だった。「プロテウスには悪いが、自分は本を盗んでないのだから逃げて当然」というのが、シンドバッドの言い分だ。ところが、そんな彼の前に立ちはだかる人物が現われた。プロテウスの婚約者マリーナだ。シンドバッドを信用していなかった彼女は、自分が監視役をつとめようと勝手にキメラ号に乗船。案の定、フィジーに向かいかけていたシンドバッドを宝石で釣り、タルタルスヘ向かうことを承諾させる。
航海の最初の難関は、竜の歯と呼ばれる狭い岩場だった。どこからともなく流れてくるのは、海の精セイレーンの魅惑的な歌声。その声に聞き惚れた海賊たちは、まるで催眠術にかけられたように船の操縦を忘れてしまう。いまや正気を保っているのは、マリーナと、シンドバッドの愛犬スパイクだけ。必死に舵を操るマリーナと、ロープをくわえて甲板を走り回り、海に落ちかけた海賊たちを救うスパイク。彼らの勇敢な活躍によって、キメラ号はどうにか竜の歯を通りぬけることができた。
この一件でマリーナに命を救われた海賊たちは、たちまち彼女の大ファンになる。シンドバッドにしてもその思いは同じだったが、「船に女はいらない」と言ってしまった手前、素直に感謝の言葉が口にできなかった。しかし、エリスの放った怪鳥ロクにさらわれたマリーナを、シンドバッドが命がけで救出したことから、いがみあってばかりいたふたりの心はだんだんと通い合っていく。
そして、いよいよキメラ号はタルタルスの入口までやって来た。帆を翼の代わりにして、地平線を飛び越えるシンドバッド。マリーナと共にタルタルスヘ足を踏み入れた彼は、ついにエリスと対決の時を迎える。
「もしも私のゲームに勝ったら、<魔法の書>をあげてもいいわ」
そう言うエリスがシンドバッドに投げかけたのは、次のような問いかけだった。
「<魔法の書>を手にいれることが出来なくても、死刑になるためにシラキュースヘ戻る?」
友情を選ぶか、死を選ぶか。シンドバッドは、人生最大の試練の時を迎えた……。

スタッフ

監督:ティム・ジョンソン、パトリック・ギルモア
製作:ドリームワークス

キャスト

(声の出演)
ブラッド・ピット
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
ミッシェル・ファイファー

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