娘道成寺〜蛇炎の恋
「燃え上がる愛は憎しみに近い。私を憎め」
第16回東京国際女性映画祭クロージング作品
2004年/日本/110分/ 配給:パンドラ
2005年02月25日よりDVDリリース 2004年8月28日より東劇にてロードショー
(C)2003「娘道成寺〜蛇炎の恋」製作委員会
公開初日 2004/08/28
配給会社名 0063
解説
数多くある歌舞伎舞踊の中でも、恋に落ちた女性の繊細な心のさまを情熱的かつ優美・華麗に描き尽くし、女形の集大成とも言われる人気大曲「京鹿子娘道成寺』。鐘の中に隠れた恋人の僧・安珍に恋焦がれるあまり、銀鱗の蛇となって鐘に巻きつき、果てには鐘もろとも愛しい人を焼き殺してしまうという切なくも情深い清姫の哀しい愛の伝説。地元和歌山で「道成寺縁起」として語り継がれる説話が、歌舞伎の演目として時空を超えて人々を感動させてきた。そして今、21世紀に生きる女性たちに向けて清姫の悲恋伝説をモチーフに、究極の純愛映画が生まれた。
監督は、脚本家としても活躍する高山由紀子。数多くの国際映画祭に出品され高い評価を受けた第1回監督作品『風のかたみ』に続く本作で、結ばれること叶わぬ哀しくも切ない男女の時空を超えた愛の運命を追求した幻想的な題材を、日本の伝統美を背景に華麗に描き切った。日本公開に先行して上映された2004年フランス・ドーヴィルアジア映画祭では招待作品として上映され、『魚と寝る女』『悪い男』などで、才能を全世界的に注目されている韓国のキム・キドク監督も、「芳醇な映像美と愛の世界に幻惑され、堪能した」と絶賛のコメントを寄せている。ちなみにく安珍清姫>を題材にした映画はこれまでに1939年(日活京都・田崎浩一監督)と1960年(大映京都・島耕二監督市川雷蔵・若尾文子)に製作されているが、現代の愛の物語として大胆な脚本による映画化は始めてである。
主演は本作品が映画初主演となる九代目中村福助。映画の中でも実生活とシンクロする当代の女形を演じ、十八番「京鹿子娘道成寺」を京都南座の舞台や、映画初ロケを敢行した和歌山県の霊場高野山で披露している。特に映画のラストで高野山壇上伽藍・根本大塔正面を背景に舞う姿は華麗そのものである。彼に恋焦がれ、運命に翻弄される双子のヒロインに牧瀬里穂。『ターン』(平山秀幸監督)で2002年毎日映画コンクール主演女優賞を受賞し、本格的な演技派女優として飛躍を期待されているが、さらに本作では確かな演技はもちろん、洋舞、日舞両方こなす多彩な面も披露している。そして須賀貴匡が歌舞伎の新人女形、風間トオルが大衆演劇のニュー女形、宝塚出身の真矢みきがコン・テンポラリー・ダンスの踊り手、と個性豊かな演技陣による全篇を彩る多彩な踊りの競演はまさに圧巻そのものだ。
ストーリー
朝靄の中、「娘道成寺」の艶やかな衣装をまとった詩織(牧瀬里穂)が高層ビルの屋上から身を躍らせる。
詩織は、当代一の女形である村上富太郎(中村福助)が特別に認めた唯一人の女弟子だった。彼女の双子の姉で洋舞のダンサー、遥香(牧瀬里穂・二役)は、妹の自殺の謎に迫るために富太郎に近づき、彼の「娘道成寺」の踊りに魅せられる。そして、間近に迫った公演の主役を親友の今日子(真矢みき)に譲ってまで富太郎に弟子入りを果たす。
「燃え上がる愛は憎しみに近い。私を憎め」
富太郎は女の情念の表現に異常なまでの執着を見せ、遥香に厳しく稽古をつける。そんな富太郎に惹かれていく遥香。もしかすると、詩織も同じ想いだったのではないか。そして、富太郎も詩織を……?
しかし、富太郎を敬愛する弟子の秀次(須賀貴匡)にとって遥香は邪魔者。彼女を遠ざるためにニュー女形の花丸(風間トオル)の存在を教える。花丸はかつて富太郎のライバルだったが、歌舞伎界から大衆演劇に身を投じて絶大な人気を誇っていた。遥香は花丸から、彼と詩織と富太郎の尋常ならざる関係を知らされる。詩織が富太郎の前で彼に抱かれた、と。
「女を演じるためには、女を棄てなければならない」と富太郎は遥香に言う。詩織の死は、富太郎への愛と踊りへの情熱に引き裂かれてのことだったのか?富太郎にとって詩織は、そして遥香は、女を知るための道具でしかなかったのだろうか?深まる謎と富太郎への断ちがたい愛に苦悩する遥香を、清姫の化身、銀鱗の蛇の幻想が襲う。
芸にすべてを捧げてきた富太郎には、実は彼だけの秘密があった。ついにその衝撃の真実が明かされる……。
スタッフ
企画/総合プロデューサー:岡本みね子
監督:高山由紀子
プロデューサー:中島俊彦、笹倉 隆
脚本:高山由紀子、たかやまなおき
製作:『娘道成寺〜蛇炎の恋』製作委員会
キャスト
中村福助
牧瀬里穂
須賀貴匡
岸部一徳
中村児太郎
(特別出演)
峰岸 徹
毬谷友子
城 火呂絵
ミッキーカーチス
(友情出演)
森沢今日子
真矢みき
風間トオル
LINK
□公式サイト□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す