『殺し屋1』の三池崇史監督&佐藤佐吉脚本コンビが極道どもを絶叫させる!

第56回カンヌ国際映画祭正式出品作品 監督週間 第25回ぴあフィルムフェスティバル2003オープニング作品::http://www.pia.co.jp/pff/

2003年/日本/カラー/129分/ 配給:東映ビデオ

2003年07月11日よりビデオリリース 2003年07月11日よりDVD発売開始

©2003 ASK

公開初日 2003/07/12

公開終了日 2003/07/12

配給会社名 0144

解説



日本映画界の最先端、かつ突然変異体である三池崇史。オリジナルビデオ監督作での奇抜な発想と卓越した演出力で注目を集め、原作からの暴走・役者主体の企画作品をすっかり己の世界観に引きずり込んでしまう破壊活動が、従来の映画に物足りなさを感じる映画ファンや鋭いアンテナをもつ若者に圧倒的に支持されている。また独自の解釈を許容する作品の奥深さは批評家からも注目を浴びつづけている。海外での評価も高<、『オーディション』を見たマリリン・マンソンが“三池崇史と話したい”と国際電話をしてくるエピソードがあるなど、その独自のカラーが世界規模で熱狂的なファンを産み出している。そんな強烈な作品を連打し続ける三池崇史がそのフィルモグラフィーでもかってない問題作を創りあげた。 <事の起こりは曽根晴美> かつて東映フライヤーズで活躍後、第4期東映ニューフェイスとして役者活動を開始した曽根晴美。「仁義なき戦い 代理戦争」を始めとする東映実録路線路線を中心に強烈な個性で印象を残す。今回、息子・曽根秀樹の仁侠オリジナルヒデオ作品を当初企画し、曽根英樹の主演デビュー作である「仁義なき野望」を撮った三池に監督を依頼する。だが定番のアウトロー作品ではない、もっと違う物・通常では作品化不可能なものを監督してみたいという三池からの打診をうける。曽根晴美は作品内容を完全に三池崇史に任せることを決意、かってない作品を創りあげることにGOサインを出した。 <佐吉を呼べ!> しかし新たなる企画の可能性はできたが時間・予算とも限られた中で一体なにができるのか。かってない新機軸の作品を創ることなどできるのか…。三池の頭の中で一人の男の名が浮かんだ。三池作品の中でも批評家・ファンのどちらからも高い評価を得た「殺し屋1」の脚本を手がけ、その才能が一躍クローズアップされた佐藤佐吉。原作の本質を絞り込んだその脚本にほれ込んだ三池は、自分と同じ資質を持ちながら想像を遥かに越える独創性に富んだ脚本なら彼しかいないと感じ、再び組むことを考えていた。そして短期間で三池の注文に応じ書き上げられたその脚本は、初稿がそのまま完成台本となった。 <新ジャンル≪ヤクザ・ホラー≫誕生> 企画書にある、“もしD・リンチがVシネヤクザものを撮ったら…”という着想の通り、一体どう映像化するのか想像できないその脚本は、一部業界の強い注目を集めた。映画撮影中から各国の映画祭より関心を寄せられ、海外配給の打診もあるなど、かつてない注目を集める作品になることは明らかだった。≪恩義のあるアニキ分を名古屋の{ヤクザ処分場}まで捨てに行くが、死んだはずのアニキ分が消えてしまい…≫という恩師・今村昌平監督作『楢山節考』のあらすじを入り口のモチーフにしながら、名古屋で出会う奇妙な人々、戦慄の中心・怪物牛頭の謎、探し求めたアニキの再生等、圧倒的にシュールな世界を創り上げている。〔任侠作品〕の義兄弟仁義に〔ジャパニーズホラー〕の身の毛もよだつ恐怖感をかけ合わせたあげく生じたその内容はまさに説明不可能・唯一無二。三池崇史にとってもかつてない創造領域。それはあなたの理解を拒絶する神秘と恐怖。 <怪作品に面妖なる気配を漂わす役者たちのオーラ!> 極限の悪夢に翻弄される主人公・南には三池監督作品「仁義なき野望」(96)で主演を務めたほか、三池作品をはじめとする様々な作品でもその演技が光る曾根英樹。 南のアニキ分・尾崎を演じるのは「DOA」シリーズでの主演をはじめ、数々の三池作品に出演、主演作は100本間近となった“Vシネの帝王”こと哀川翔。物語の鍵となる謎の女には「エコエコアザラク」(95)「ACRI」(96)の吉野きみ佳が扮し、エロスほとばしる絶叫演技を見せる。そして作品の脇を固めるのは、三池作品常連の加藤雅也・石橋蓮司・丹波哲郎をはじめ、川地民夫・火野正平・長門裕之といった名優達、間寛平・木村進の伝説の吉本新喜劇コンビ、黒沢映画にに出演後舞台を中心に活動を続けるる富田恵子、遠藤憲一・小沢仁志・小沢和義・山口祥行らヤクザ作品強面陣。彼らの演じる尋常ではない世界の住人達は、ほかのどの作品でも見ることはできない! <未曾有の恐怖を知りあげたスタッフ陣> スタッフには三池作品に参加してきた面々が結集。撮影には「DOA2」「DOA FlNAL」の田中一成。近作「許されざる者」の緊張感溢れるカメラワークはここでも生かされている。照明には平成「ガメラ」シリーズ、「パラサイト・イヴ」ほかを担当し、三池作品では「許されざる者」で照明を務めた吉角荘介。美術に「不動」「アンドロメディア」「DOA」をはじめとし、9本もの三池作品で美術を担当した石毛朗がねじれた奇妙な空間を演出。緑音には「金融腐食列島【呪縛】」「ラヴァーズ・キス」の鶴巻仁。編集には三池の近作では編集を一手に引き受け、呼吸のあった島村泰司。本作で登場する反則的な小物類は装飾の坂本朗が担当。そして物語の要〔牛頭〕ほか、クライマックスの驚愕的特殊造形は「オーディション」「殺し屋1」の松井祐一。ホラー作品に欠かせない音響効果には柴崎憲治、伊藤瑞樹。怪電波のような効果を作品に提供している。音楽には、恐怖心を播き立てるノイジーな楽曲ほか、本作のエンディング『牛頭の唄』(作詞:三池崇虫)も手がけるのは、三池作品の常連である遠藤浩二。 <Vシネマの可能性> 03年1月、撮影は物語の舞台となる名古屋からスタートした。限られた予算・日数も計算した脚本、三池組スタッフのチームワーク、そして天候にも恵まれ、東京ロケヘの移行も順調に進み、孤影はスケジュール通り完了した。02年度は7作品もの三池監督作が劇場公開されたが、本作はVシネマの形でのリリースを三池が希望。映倫審査を受け劇場公開も可能だが、オリジナルビデオ作品で監督デビュー以来低予算・短期間撮影・アイデア勝負の現場に愛着をもつ三池が、《Vシネマだからこそここまでできる》という可能性を示そうとしたのだった.しかし〈あの三池がやりたいことをやった〉と話題の三池作品だけに海外からも配給打診があり、その窓口をクロックワークスが務めることになった.クロックワークスは7月のビデオレンタルリリースにあわせDVDリリースを行なうことも決定。作品しだいで広がりをもつ可能性を見事に実践した。 <牛がカンヌに殴りこみ> 第25回を迎えるびあフィルムフェスティバルでは脚本の段階で尋常ではない作品と判断、オープニングを飾る作品に決定した。 〔カンヌが三池作品に関心を寄せている〕との噂は以前からあったが、作品リリースのタイミング・他の映画祭への出品との兼ね合い等からかつて出品にいたる事はなかった。編集作業中の3月、カンヌ映画祭・監督週間のディレクターであるフランシス・ダ・シルバ氏らが日本からの出品作品を探すために来日し完成前のラッシュを鑑賞した時点で絶賛、4月中旬に完成した作品の正式選考の結果、第56回カンヌ映画祭監督週間に出品されることが決定した。

ストーリー



字廻組構成員の南(曽根英樹)。彼は兄貴分である若頭・尾崎(哀川翔)をこよな<尊敬しているが、チワワを見ればヤクザを殺すために訓練されたヤクザ犬だと言い張ったりするなど、最近の尾崎には奇行が目立っていた。狂った尾崎に身の危険を感じた組長(石橋蓮司)は、挨拶回りの名目で名古屋にある処分場に目崎を連れていくよう、南に命じる。しかし悲劇は道中に起きた。暴れだした尾崎を取り押さえようとしているうちに。南ははうっかり尾崎を殺してしまったのだ。しかも、途方にくれた南が組長に電話している間に尾崎の死体が消えてしまう。南は尾崎を探そうと奔走するが、交番にいる巡査は香港人だったり、全身を金と銀の洋服に身を包んだ二人組の男に執拗にからまれたり、顔半分を白く塗りたくった男に道案内されるなど、何もかもが少しずつねじれているような世界に取り込まれ、偶然とも陰謀とも思える出来事に翻弄されていく。 そんなある晩、不気味な旅館で夜半目を覚ました南の前に、頭が牛・体が人間のバケモノが現れる。巨大な舌でなめまわされて気を失った南が目覚めると、ズボンの股間に、死んだはずの尾崎から「処分場で待つ」というメッセージが入っていた。困惑したまま処分場に駆けつける南。しかしそこで彼は,それまでのアンビバレント体験さえもがかすむような、衝撃の光景を目のあたりにする…。

スタッフ

監督:三池崇史
脚本:佐藤佐吉
制作:曽根晴美
企画;曽根晴美、瀬戸恒雄
プロデューサー:坂美佐子、前田茂司、向井達矢
音楽;遠藤浩二
撮影;田中一成
照明;吉角荘介
美術:石毛朗
録音:鶴巻仁
装飾;坂本朗
特殊造形:松井祐一
編集:島村泰司
音響効果:柴崎憲治、伊藤瑞樹
助監督:丹野雅仁
製作担当:坂井正徳
製作:オフィスアスク

キャスト

曽根英樹

哀川 翔

吉野きみ佳

火野正平
冨田恵子
曽根晴美
川地民夫
木村 進
間 寛平

加藤雅也

小沢仁志
遠藤憲一
小沢和義
山口祥行

長門裕之

石橋蓮司

丹波哲郎

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