沈みゆく女
原題:Suspicious River
モーテルのそばに濁った河があり、 泊り客には特別なサービスがついていた。
2000年トロント国際映画祭出品 2000年ベニス国際映画祭出品 2001年ロッテルダム国際映画祭出品
2001年8月8日フランス初公開
2000年/カナダ/カラー/92分/SRD 配給:シネカノン
2002年10月04日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年2月16日より渋谷シネアミューズにてロードショー
公開初日 2002/02/16
配給会社名 0034
公開日メモ ネクロフィリア(屍体愛)をテーマにした鮮烈なデビュー作『キスト』につづき、リン・ストップケウィッチ監督からさらなる衝撃の新作が届けられた。前作につづいて主演となったモリー・パーカーは、ひとりの女の‘冷たくて熱い’官能と心の迷宮を、渾身の演技で見事に浮かび上がらせている。
解説
カナダ、ヴァンクーヴァーのひなびた田舎町。河岸にあるモーテルで、主婦レイラはフロント係を勤めている。彼女が仕事に就いている時、泊まり客は密かに特別なサービスが受けられた。レイラはそこで部屋の値段と同じ料金で客を取り、日に何人も、客のリクエストに応じて自分の身体を提供し続けているのだ。彼女を訪ねて、何人もの男たちがモーテルにやってくる。その中の客のひとり、ゲイリーはレイラに夢中になり、一緒に町を出ようと彼女を強引に誘った。彼の存在はレイラの心に潜んでいる深い河のような暗闇に揺さぶりをかける。だが、河の水底はいつも濁っていて何も見えない。その奥に明るい光は差し込むのか、それともどこまでも暗い闇が待っているのか——。
生活に不自由のないレイラはなぜ客を取りつづけたのか。デイリーとは一体何者なのか。レイラの母親はなぜ命を落としたのか。時折現れる少女の存在が、レイラの心の迷宮を明らかにし、やがて迷い込んだ河向こうの森で、彼女は封印されてきた記憶の結末を手にすることになる…。
ネクロフィリア(屍体愛)をテーマにした鮮烈なデビュー作『キスト』につづき、リン・ストップケウィッチ監督からさらなる衝撃の新作が届けられた。前作につづいて主演となったモリー・パーカーは、ひとりの女の‘冷たくて熱い’官能と心の迷宮を、渾身の演技で見事に浮かび上がらせている。
セックスが人間の本能的な暴力をひきずり出し、壊し、壊されたいという互いの願望がさらけ出され、ぶつかり合う。主人公レイラが抱える心の深い暗闇はやがて観客の心の奥につながっていく。その暗闇を、我々も受け止めることができるのだろうか。
ストーリー
レイラ・マーレイは小さなモーテルのフロント係として働いている。彼女の密かなサイドビジネスは、泊まり客のリクエストに応じて自分の身体を売ること。夫リックとの生活には金銭的な不自由はなく、稼いだお金はいつも宝石箱の中に隠している。モーテルで一緒に働いているミリーはレイラの副業に気づきはじめているようだが、それでも彼女は自分を止めることができない。
仕事の休憩時間には、モーテルのそばにある河まで下りて一服するのがレイラの日課だ。季節は冬の到来を告げようとし、いつも濁っていて水底を見せることのない河では、つがいの白鳥がひっそりと羽を休めている。ひとりの少女がいつの間にかレイラのそばにやってきた。二人は少しずつ会話を交わしながら打ち解けていく。少女の父親はお金に困っていて、母親と諍いが絶えない。母親はよく泣いている。父親の弟である伯父は父が不在の時、家にやってくる。その少女はまるで、レイラの幼い頃の幻影のように思えた。
レイラは母親を幼い頃に亡くしている。なぜ母が命を落としたのか、彼女ははっきりと覚えていない。父親は1年前に他界したばかりだ。
ある日の客はゲイリー・ジェンセンと名乗る男だった。ゲイリーは彼女に暴力を振るったが、その時レイラの顔に一瞬浮かんだのは屈辱よりも、壊されたいという無意識の願望だった。翌日、ゲイリーは彼女に殴ったことを謝り、それ以来、レイラにまとわりつくようになる。
ある日の客、キャップ帽をかぶった男もレイラに手ひどい暴力を加えた。そのままでフロントに戻ることが出来なかった彼女はゲイリーの部屋を訪ねてしまう。ひどく優しい一方で凶暴な一面もみせるゲイリーは、それが自分を育てた父親のせいだという。彼との関係が深まるにつれ、レイラは自分の中にある、無意識の暗闇がのぞけるような気がしていた。ゲイリーは一緒に町を出ようとレイラを強引に誘った。レイラは貯めたお金を持って彼についていくことを決心する。
二人が町を出てまずたどり着いたのはゲイリーの家だった。そこにレイラをおいて、彼はすぐ出かけてしまう。やがて戻ってきたのは数人の男たち。レイラはそこで初めて自分の運命と、そして母が死んだ本当の理由に気づくことになる…。
スタッフ
監督・脚本:リン・ストップケウィッチ『キスト』
原作:ローラ・カシシュケ
撮影:グレゴリー・ミドルトン
プロダクション・デザイン:ドン・マコーレイ
音楽:ドン・マクドナルド
キャスト
レイラ・マーレイ:モリー・パーカー『ひかりのまち』『キスト』
ゲイリー・ジェンセン:カルム・キース・レニー『メメント』
ミリー:ディアンナ・ミリガン
リック:ジョエル・ビソネット
LINK
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