ピカレスク
「太宰治に河村隆一が挑んだ新たな野望」 “死のうとする太宰治ではなく、生きようとする太宰治を描いた” 猪瀬直樹の『ピカレスク 太宰治伝』を完全映画化!
2002年/日本/カラー/133分/ 配給:ミュージアム、ドラゴンフィルム
2002年12月25日よりDVD発売開始 2002年7月27日よりシネマスクエアとうきゅうにてロードショー公開
初日舞台挨拶レポート::http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=246
(C)2002 猪瀬直樹/グランプリ
サブ題名 人間失格
公開初日 2002/07/27
配給会社名 0080/0198
公開日メモ 猪瀬直樹原作「ピカレスク−太宰治伝−」を映画化。主演はミュージシャンの河村隆一が初主演。
解説
ミュージシャン、音楽プロデューサー、役者として多彩な才能の持ち主河村隆一。映画初出演で実在の人物・太宰治を演じるにあたり“僕に太宰が宿ればいい、彼の魂が力を貸してくれたらいい”との願いを込めた。河村隆一にしか出来ない太宰治。それは究極のナルシズム。
昭和23年(1948)、東京・三鷹にある玉川上水で心中事件があった。流行作家の太宰治と山崎冨美栄との有名な情死である。太宰治39歳、戦後、世間を賑わせたニュース。半世紀を経た現在も、その衝撃は薄れてはいない。作家として日本文学の文壇の損失は大きいが、太宰治という人間を考えると彼らしい最期に思える。
21世紀、太宰の生きざまの謎に迫った書物がある。猪瀬直樹著「ピカレスク太宰治伝」。「生まれてスイマセン…」太宰の心にある罪の意識をとく鍵を猪瀬直樹は見つけ出した。嫌悪と心酔、評価の分かれるセンチメンタルな小説家・太宰。太宰は悩み、苦しみ続けた。それは自己を見つめる姿にも思える。“破滅型の人間”とは太宰の形容詞のような言葉だが、この作品にある太宰は生きていく。生き抜く強さを持っている…。
太宰治役には、人気アーティスト河村隆一が体当たりの演技を見せている。太宰をめぐる運命の女たちに、さとう珠緒、緒川たまき、朱門みず穂、裕木奈江、とよた真帆といった魅力溢れる女優陣が火花を散らす。太宰の生涯に渡る恩師で「山淑魚」の作家・井伏鱒二に佐野史郎。また原作者・猪瀬直樹が太宰治の兄役を見事な津軽弁で演じている。主題歌を河村隆一が担当。切ないバラードを聞かせてくれる。監督は日活出身『男たちのかいた絵』(96)の伊藤秀裕。脚本は『クロスファイア』(00)の山田耕大。撮影は『泥の河』(81)の重鎮・安藤庄平。
2001年秋、蓼科、富士五湖、鎌倉など太宰ゆかりの地でオールロケーションを敢行した。
ストーリー
昭和23年6月19日、玉川上水に太宰治(河村隆一)と山口冨美栄(とよた真帆)二人の情死体があがった。降りしきる雨の中、井伏鱒二(佐野史郎)は人目をさけながら、その場所に停んでいた。“流行作家・太宰治、愛人と心中”このスキャンダルなニュースは、たちまち日本中をかけめぐった。
太宰は津軽地方の資産家の四男として生まれ、帝大(現:東京大学)の学生となり、文学者になる事だけを目指していた。21歳の太宰は青森の芸妓・戸山初枝(さとう珠緒)と同棲を始めたが、最初の心中事件を起こした相手は銀座のカフェの女給・田辺なつみ(朱門みず穂)だった。深い仲だったわけではなく、太宰は面倒臭かったのだ。初枝との結婚や、実家と縁が切れた事や、文学者を目指しながら、道の開けないことが重なっていたからだ。しかし心中事件で命を落としたのは、なつみだけだった。学校へもほとんど出ず、すべての努力を嫌っていた。やがて強度の薬物中毒のため入退院を繰り返す中、太宰の留守中に内縁の妻・初枝は太宰も可愛がっていた親戚の木館善次郎(大浦龍宇一)と不貞を犯してしまう。それがきっかけとなり初枝との関係も煮詰まり、ふたりは正式に離別してしまう。幾度となく太宰をかばい、助けてきた井伏夫婦の媒酌で高校教師の西原佐知子(裕木奈江)と太宰は結婚をする。「今度の結婚は違うから」と井伏鱒二に命じられ、「破婚を繰り返したときは、僕を完全な狂人として、棄てて下さい」とまで誓った太宰だったが、その一方で、太宰の女性関係は複雑だった。
「斜陽」のモデルとなった大田静(緒川たまき)に会ったのは太宰が32歳の時だった。「斜陽」は、静の日記がベースになっていた。やがて静にも“治子”という子供が生まれる。本妻の佐和子にも子供は3人生まれた。佐知子は夫の女性関係は全部知っていた。その頃の家庭には愛情などひとかけらもなかった。そんな中、流行作家として活動を続ける太宰の前に現れたのは、美容院に務める未亡人の冨美栄だった。彼女のそのひたむきな性格が太宰との愛欲に拍車をかけた。太宰と冨美栄、ふたりが愛欲に溺れていくのに時間は必要なかった。冨美栄は太宰と一緒に永遠の旅立ちを望んだ。そして、ふたりは心中した。太宰の遺体が発見された知らせを聞いた佐知子は「あの人が骨になるまで家には入れないで下さい」と冷たく言い放った。
享年39歳、死後、『グッド・バイ』が朝日評論に掲載された。
スタッフ
製作:北側雅司
原作:猪瀬直樹「ピカレスク 太宰治伝」(小学館刊)
企画:中島仁、内田ゆき
プロデューサー:小野誠一、佐藤敏宏
企画協力:川崎隆
キャスティング・プロデューサー:綿引近人
脚本:山田耕太
主題歌・サウンドプロァユース:河村隆一(gai records)
音楽:大島ミチル
撮影:安藤庄平
照明:松井博
録音:沼田和夫
美術:山崎輝
編集:矢船陽介
監督:伊藤秀裕
キャスト
河村隆一
さとう珠緒
緒川たまき
朱門みず穂
佐野史郎
大浦龍宇一(特別出演)
猪瀬直樹(特別出演)
田口トモロヲ(特別出演)
大杉漣(特別出演)
裕木奈江
とよた真帆
LINK
□公式サイト□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.exf.co.jp/
ご覧になるには Media Player が必要となります