原題:THE END OF THE AFFAIR

ふたりの恋(こと)を終わらせた"第三の男"? その謎(こと)が導くあまりにもエロティックなあまりにも切ない純愛

1999年度/コロンビア・ピクチャ一ズ提供/ソニー・ピクチャ一ズエンタテインメント配給 ヴィスタビジョン(VV 1:1.85) 上映時間:1時間41分/6巻/2,783m/SDDS,SRD/字幕:古田由起子

2004年12月22日よりDVD発売開始 2001年9月14日DVD発売&レンタル開始 2001年9月14日ビデオ発売&レンタル開始 2000年10月14日よりシネスイッチ銀座他にてロードショー予定

公開初日 2000/10/14

配給会社名 0042

解説

 『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン監督が『イングリッシュ・ペイシェント』のレイフ・ファインズ、本作でアカデミー・ノミネートのジュリアン・ムーアを主演に迎え、胸を打つ至高のラブストーリーを完成させた。これは情熱的な愛に溺れる恋人たちが、やがて究極の純愛を知るまでの濃密な物語。美しく官能的な映像と重厚かつ謎めくストーリー・テリングで、99年度ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門の作品賞以下主要4部門、米アカデミー賞2部門、英アカデミー賞10部門ノミネート、英アカデミー賞脚本賞受賞の珠玉の感動ラブ・ストーリーである。
 原作はオーソン・ウェルズ主演の『第三の男』やキャロル・リード監督の『落ちた偶像』の原作者としても知られる20世紀英国文学の巨人グレアム・グリーン。
 彼の国際的名声を不動のものにした代表作で、最も自伝的色彩が濃いと言われ著者と米人女性キャサリンとの恋からインスパイアされた傑作の二度目の映画化作品でもある。この恋は”20世紀の文学史上、最大の恋愛”と伝記作家が語るものだった。
 監督はアカデミー脚本賞を受賞した『クライング・ゲーム』や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』などでねじれた愛の行方を独特の美学で描いてきた英国映画界の名匠ニール・ジョーダン。愛の複雑なかたちがもたらす痛みと和解を、エロスの香りも濃厚に、かつ美しい魂の物語として描いた本作は、ストーリー一テラーとしてのジョーダン監督の円熟の境地を示すもの。脚色も手がけた彼は、原作のアウトラインとエッセンスを忠実に生かしながらも異なる展開を用意している。その結果、愛のために大きな代償を払うことになった主人公たちの傷ついた心が慰めを見出していく様が一層際立ち、心に染みる感動的な物語になっている。
 ベンドリックスを演じたレイフ・ファインズは、マイケル・オンダーチェ原作の『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー主演男優賞にノミネートされて以来、プーシキン原作の『オネーギンの恋文』、そして本作と、格調高い文芸作品でロマンティック・リードを務めることのできる数少ない俳優として近年、目覚ましい活躍を見せている。本作でも英国演劇界で鍛えられた細やかな演技力と作品解釈力によって、人間味豊かで複雑な魅力に輝く人物像を表現してみせた。
 対するサラを演じたジュリアン・ムーアは『ブギーナイツ』でアカデミー助演女優賞にノミネートされるなど、このところ進境著しい演技派女優。1999年度ゴールデン・グローブ賞では本作でドラマ部門の主演女優賞、『理想の結婚』でコメディ部門の同賞にWノミネートされるという快挙を果たレ『羊たちの沈黙』の次回作『ハンニバル』の主演も決定、現在最も注目されている旬のスターだ。
 サラの夫、ヘンリーを演じるのは、『クライング・ゲーム』でアカデミー主演男優賞にノミネートされるなど、ジョーダン作品の常連として有名なスティーブン・レイ。探偵事務所の調査員パーキス氏を演じるのは『ナッシング・パーソナル』でヴェネチア映画祭助演男優賞に輝いたイアン・ハート。3本目のジョーダン作品となった本作では、物語の狂言回し的存在としてユーモラスな味わいを発揮している。またスマイス氏には『ソルジャー』『アルマゲドン』のジェイソン・アイザックスが扮している。
 俳優たちの名演を引き立てるクオリティの高い映像はこの映画の大きな成果。それを達成したのはこれまでもジョーダン作品を支えてきた気心知れたスタッフたちだ。
 製作はアカデミー作品賞にノミネートされた『クライング・ゲーム』を始め、ジョーダンのほとんどの作品をプロデュースしてきたステイーヴン・ウーリー。
 夜のシーンが多い困難な撮影にもかかわらず、美しい陰影に富んだ映像をクリエイトしてみせたのは、リチャード・アッテンボロー作品(『永遠の愛に生きて』『ラブアンドウォー』)やテリー・ギリアム作品(『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』)の他、ケネス・ブラナー監督の『フランケンシュタイン』などの撮影監督として知られるロジャー・プラット。ジョーダン作品では『モナリザ』を担当している。
 編集は『マイケル・コリンズ』以後の全ジョーダン作品を手がけている他、ニコラス・ローグ作品(『トラック29』『ウィッチズ』)の常連組としても知られるトニー・ローソン。
 プロダクション・デザインは『ラングーンを越えて』『戦場の小さな天使たち』などのジョン・ブアマン作品で知られるアンソニー・プラット。『マイケル・コリンズ』『ブッチャー・ボーイ』に続き、三本目のジョーダン作品となった本作では、第二次大戦前後のロンドンの再現に腕をふるってみせた。
 『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー衣装デザイン賞を受賞したサンティ・パウエルは、『クライング・ゲーム』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』など過去4本の作品でジョーダンと組んでいる。『オルランド』『鳩の翼』でもオスカー候補になっている彼女は、『カラヴァッジオ』『ヴィトゲンシュタイン』など故デレク・ジャーマン監督と組んだ作品も多い。
 なお、数々のピーター・グリーナウェイ作品や、国際的に大ヒットした『ピアノ・レッスン』の音楽を手がけたマイケル・ナイマンがジョーダン作品に初参加。恋人たちのパッションと哀切の思いに静かに寄り添ったサウンドトラックは、映画音楽ファンの必聴盤となるだろう。

ストーリー

 戦時下のロンドンで人目を忍んで激しく愛し合う男と女。男は小説家ベンドリックス。女は美しい人妻サラ。生真面目な高級官吏の夫に尽くしながらも情熱とは無縁の生活を送ってきた彼女が、初めて熱い愛を捧げた相手がベンドリックスだった。誰にも知られることのない、ふたりだけの官能的な時間は、たとえ世界が滅びようと永遠に続くかに思われた。
 だが幸福の絶頂でサラは突然別れを告げる「愛は終わらない」と言い残して。それから二年後、ベンドリックスはサラに浮気相手”第三の男”がいるらしいことを知る。果たしてそれは何者なのか?ベンドリックスとの関係に終止符を打ったのは、その”第三の男”のせいなのか?謎を追うベンドリックスを待ち受けていたものは、あまりにも功なく純粋な愛のかたちだった。
 肉体ある恋人たちの愛の時間は短く、それは唐突に終わりを告げた。だがその謎(こと)が明らかになる時、愛は肉体を超越した高みへと昇華し、サラと関わったすべての人生に痛みと悲しみを癒す眩しい奇蹟をもたらしたのだ…。

スタッフ

監督・脚色:ニール・ジョーダン
製作:スティーブン・ウーリー、ニール・ジョーダン
原作:グレアム・グリーン
撮影監督:ロジャー・プラット
プロダクション・デザイナー:アンソニー・プラット
編集:トニー・ローソンA.C,E.
作曲・指揮:マイケル・ナイマン
衣装デザイナー:サンデイ・パウエル

キャスト

レイフ・ファインズ
ジュリアン・ムーア
ステゥーブン・レイ
イアン・ハート
ジェイソン・アイザックス
ジェームズ・ポーラム
サミュエル・ホールド

LINK

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