原題:Blue Spring

松本大洋原作初の映像化!

第2回東京フィルメックス TOKYO FILMeX 2001 コンペティション参加作品::http://www.filmex.net/index.htm

2001年/日本/83分/カラー/ヴィスタ・サイズ/DTS STEREO 配給:ゼアリズエンタープライズ

2002年12月13日よりDVDレンタル開始 2002年6月29日より渋谷シネマライズにて公開

(C) 松本大洋/小学館・「青い春」製作委員会 2001

公開初日 2001/11/18

公開終了日 2001/11/26

配給会社名 0040

公開日メモ 淀んだ教室の空気、無感情な日常、退屈な日々をやり過ごす高校生・九條と仲間たちの青い春をクールに描く青春群像劇。

解説


■「どーすんの、これから?」。息苦しい時代、そこで息つぎの仕方を探っているような若者たち。淀んだ教室の空気を逃れ、屋上だけが、水面に出て空気を吸える場所でもあるかのように集ってくる。退屈な日々をやり過ごす無感情な日常のなか、ざわざわしたものを抱えて神経のエッジをたてている、そんな高校3年生の春を、ノスタルジーではなく、新世代の群像として鮮烈に描いた「青い春」。

■原作は、「GOGOモンスター」「ナンバーファイブ」と、久しぶりの新作を発表し活動再開した、圧倒的な人気と支持を受ける漫画家・松本大洋。監督は、「ポルノスター」で、現代社会の理由のつかない苛立ちと衝動を切り取って見せ、日本映画監督協会新人賞を受賞した豊田利晃。主演には、大島渚監督作品「御法度」で鮮烈なデビューを飾った松田龍平。そして、男子校の張りつめた空気を切り裂くような挿入歌は、ミッシェル・ガン・エレファント。最前線の才能が結集し、エッジィで普遍的な青春映画の大傑作が登場した。

■豊田監督は、松本大洋の短編集である原作の「青い春」(小学館)から、「しあわせなら手をたたこう」を中心に、「夏でポン!」「鈴木さん」「ピース!」の要素を構成し、松本作品、初の映画化に挑んだ。「ビックコミックスピリッツ」(小学館)で、漫画の原作を担当していたこともある監督は、担当編集者を通じて松本と知り合い、お互いエールを送りあう間柄。「本人を知っているだけに、彼の原作ものはやりたくなかった」のだが、松本が「監督が豊田さんならうれしい、脚本のチェックもしない」と快諾したと聞き、この企画に「世代的に原作の気分とか、キャラクターとかよくわかるところがある」という自負をもって撮影に臨んだ。まさに、その呼吸はぴったりといっていいだろう。完成した本作に対して「豊田君に感謝したい」とのコメントも、松本より寄せられている。

■原作の気分を伝えられる注目の若手俳優も、ずらりと顔を揃えた。「あの目がすごいと思った」と監督からラヴ・コールを送られた、故・松田優作の長男、松田龍平が、神のように屋上から下界を見下ろす九條を演じる。物語の前半と後半で、大きく変貌を見せる青木には、この作品で俳優デビューを果たした新井浩文。新井はその後、「GO」(01/行定勲)で、主人公の仲間を演じている。クールに見えながら激情を抱えた雪男には、「バトル・ロワイアル」(00/深作欣二)で、思いを寄せた相手に殺される杉村を演じた高岡蒼佑。甲子園の夢に破れ、ヤクザの道を選ぶ木村には、ファッション誌で活躍中の人気モデルの大柴裕介。雪男に刺し殺される大田には、舞台「大江戸ロケット」での活躍が記憶に新しい山崎裕太。使いっぱからのし上がる吉村には「リリイ・シュシュのすべて」(01/岩井俊二)で残虐なボスとして君臨した忍成修吾のほか、塚本高史「修羅雪姫」(01/佐藤信介)、EITA、KEE「殺し屋1」(01/三池崇史)など、日本映画界の次世代を担う注目の若手俳優たちが勢揃いした。通常よりも細身で丈の短い“映画「青い春」仕様”の学生服に身を包んだ彼らは、スクリーンの中、その存在感をクールに体現している。

■誰にでも覚えがあるであろう、十代後半の宙ぶらりんな季節の痛み。誰かに憧れ受け入れられなかった悲しみ、自分の立ち位置がみつけられない孤独感……心と体にぐっとくる。せつないけれどウェットではない、ひりひりするけど甘酸っぱい青春映画が、新世紀に大輪の花を咲かせる。

ストーリー

──男子校・朝日高等学校の卒業式の日。ワルの先輩たちが、3年間の恨みを晴らそうと、教師を追いかけて走っている。そんな風景を屋上から眺めるのは、新学期から3年生になる九條(松田龍平)、九條の幼なじみ青木(新井浩文)、眼鏡の雪男(高岡蒼佑)、野球部主将の木村(大柴裕介)、赤いTシャツをちらつかせる大田(山崎裕太)と使いっぱの吉村(忍成修吾)。彼らはそこで、青空をバックにポーズを決め、皆で記念写真を撮った。

屋上には、もっと空に近い場所──最屋上があり、その壁面には「しあわせなら手をたたこう」と大きな落書き。そこで彼らが楽しむのは、柵の外に立ち手をたたく回数を競う通称“ベランダゲーム”。空は快晴。失敗すれば校庭にまっさかさま──勝者が学校を仕切るという、この伝統のゲームで、8回の新記録を出した九條だが、彼にとっては“ゲーム”も“学校を仕切る”という事も、無意味で、どうでもいいことだった。

新学期が始まった。それは、進学、就職……突きつけられる現実の中で、自分の行き場を探すことを余儀なくされる時の始まりでもあった。ある者は、警察官と教師に抱えられ、泣き叫びながらパトカーに乗せられていく。ある者は、甲子園への思いを縫い込んだ学ランを投げ捨てて、ヤクザとなった先輩と共に黒塗りの高級車に乗り込んでいく。そしてある者は、自分への答を見つけるために、ひとり最屋上へと上っていった……。

スタッフ

監督・脚本:豊田利晃
原作:松本大洋(小学館「週刊ビックコミックスピリッツ」)
製作:三宅澄ニ、山下暉人、日下部孝一、仁平幸男、豊 忠雄
プロデューサー:宮崎 大、小林智浩
アソシエイトプロデューサー:土井智生
撮影:笠松則通
録音:柿澤 潔
美術:原田満生
衣裳:宮本まさ江
編集:日下部元孝
助監督:佐藤英明
製作担当:甲斐路直
スチル写真:NAKA、黒田光一
音楽監督:上田ケンジ
エンディングテーマ:
    「ドロップ」ミッシェル・ガン・エレファント
     (TRIAD、日本コロムビア株式会社)
製作:「青い春」製作委員会
   (オメガ・ミコット、小学館、ゼアリズエンタープライズ
     、ケイエスエス、日活、日本出版販売、衛星劇場)
製作協力:フィルムメイカーズ
宣伝:ミラクルヴォイス
配給:ゼアリズエンタープライズ

キャスト

松田龍平
新井浩文
高岡蒼佑
大柴裕介
山崎裕太
忍成修吾
塚本高史
EITA
鬼丸
KEE
マメ山田

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