原題:Captain Corelli's Mandolin

『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督が贈る〈音楽に魅せられた兵士〉の愛と人生の讃歌——。

2001年5月4日全米公開

2001年アメリカ映画/CAPTAIN CORELLl'S MANDOLIN/シネマスコープ・サイズ/ドルビーSRD/ 日本語版字幕:戸田奈津子/2時間3分/原作:「コレリ大尉のマンドリン」(東京刮元社) 配給:ブエナビスタ

2005年03月18日より2005年5月20日までの限定DVDリリース 2002年5月15日よりDVD発売 2002年4月17日よりビデオ&DVD発売 2001年9月22日(土)より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

(C)2001 Universal Studios, Studio Canal and Miramax Film Corp. All right reserved.

公開初日 2001/09/22

公開終了日 2001/10/26

配給会社名 0069

公開日メモ 作品賞・監督賞を含むアカデミー賞7部門に輝く前作『恋におちたシェイクスピア』から3年——名匠ジョン・マッデン監督が、待望の新作『コレリ大尉のマンドリン』で再び世界中を大いなる感動で包み込む。

解説


苦難と悲しみの時代にあって、人生を愛し続けた男がいた。人の生命を奪うのが勇気と称えられる時代にあって、その手には銃よりもマンドリンが似合った男。号令よりも歌が得意で、男でも女でも、敵だろうと味方だろうと、人の心を虜にせずにはいられない快活さと誠実さ。そんなアントニオ・コレリ大尉のマンドリンは、悲しくも美しい人生の讃歌を奏でる。例えどんなに悲惨な時代でも、人生は限り無く素晴らしいものだと…。

作品賞・監督賞を含むアカデミー賞7部門に輝く前作『恋におちたシェイクスピア』から3年——名匠ジョン・マッデン監督が、待望の新作『コレリ大尉のマンドリン』で再び世界中を大いなる感動で包み込む。原作は、世界的なベストセラーとなった同名小説。とりわけ原作者ルイ・ド・ベルニエールの母国であるイギリスでは20人に一人が読んだといわれ、20世紀の100冊にも選出された不朽の長篇小説である。
舞台は第二次世界大戦下のギリシア・ケファロニア島。イオニア海に浮かぶこの美しい島で、当時どのような悲劇が繰り広げられたか、この映画によって初めて知る人も少なくないだろう。ギリシアは1941年にドイツ・イタリアの両軍に占領されてしまう。ケファロニア島を占領したのは主にイタリア軍だったが、いわばお目付役として少数のドイツ軍も存在した。島の人々にとって、イタリア軍は敵であったが、イタリア人ならではの天真欄漫さで、兵の中には島の人々と馴染みになる者もいた。イタリア兵にとっての悲劇は、1943年、イタリアの降伏から始まる。友軍であったはずのドイツ軍が武器の引き渡しをイタリア軍に命じ、抵抗したイタリア兵を虐殺したのである。無惨に放置された彼らの亡骸を埋葬したのは、ケファロニアの島の人々だった。
こうした歴史的背景をもとに創作された「コレリ大尉のマンドリン」は、音楽をこよなく愛するイタリア軍大尉アントニオ・コレリを主人公に、人生の喜びと悲しみ、そして悲劇の中で芽生えた愛の真実を描く、感動の人間ドラマである。

この心揺さぶる人間讃歌には、最高のキャストが用意された。主役のコレリ大尉を演じるのは、ハリウッド随一の実力派ニコラス・ケイジ。「これまで演じた事のない役だ。生命力に溢れ、少年の心をもったコレリだが、戦争という現実によって人生は楽しい事ばかりではないと痛感する。そして、彼は真の男に成長するんだ」と語るケイジは、役づくりのためにマンドリンを猛特訓。そのかいあって、映画の中で見事な腕前を披露している。
コレリと恋に落ちるペラギア役には、今ハリウッドが最も熱い視線を寄せるスペイン女優ペネロペ・クルス。「光り輝くカリスマ性と、華やかさだけではない美しさ。純真で、残酷で——ペラギアが持つ溢れんばかりの感情を、彼女も持っている」とマッデン監督が絶賛するクルスにとって、本作は生涯の代表作となるに違いない。
脇を固める俳優たちも、豪華の一言に尽きる。ペラギアの父で島の医師イアンニスに、名優ジョン・ハート。ペラギアの婚約者マンドラスに、『アメリカン・サイコ』の主演クリスチャン・ベール。そして、マンドラスの母ドロスーラ役を、『その男ゾルバ』『ナバロンの要塞』で知られるギリシアの大女優イレーネ・パパスが演じ、その確かな存在感が作品の奥行きを増している。
撮影は物語の舞台であるケファロニア島で行われ、二度のオスカーに輝くカメラマン、ジョン・トールはそのドラマティックな景観を余すところなく映像化した。作曲は『恋におちたシェイクスピア』『リトル・ダンサー』のスティーブン・ウォーベック。珠玉の名曲の数々も本作の大きな魅力であり、コレリが奏でた「ペラギアの歌」を若手人気オペラ歌手ラッセル・ワトソンが歌うエンド・クレジットまで、席を立たない事をお薦めしたい。

ストーリー

《1941年、ギリシア・ケファロニア島占領軍のイタリア兵を率いるのは、マンドリンを背負った不思議な大尉だった…。》

1940年——ギリシア・イオニア諸島最大の島、ケファロニア島——戦争の足音が近づく中、この島の医師イアンニスの最大の気がかりは、気丈で美しいひとり娘のペラギアだった。父親から医学の手ほどきを受け、次第に才能を開花させつつあるペラギアだったが、女が職業で身を立てるなどという選択肢は、伝統と慣習を重んじるこの島にはなかったからだ。父親の心配をよそに、当のペラギアは逞しくハンサムな島の漁師マンドラスとの恋に有頂天だったが、戦争はこの静かな島をも巻き込もうとしていた。イタリア軍が隣国アルバニアヘの侵略を開始し、ギリシアもその脅威にさらされていたのである。マンドラスはペラギアと婚約を交わし、イタリア軍と戦うためアルバニア国境へと出兵する。戦場に手紙を送り続けるペラギア。だが、彼からの返事はなく、過酷な戦況だけが島に伝えられた。

1941年——マンドラスの消息もわからぬまま、ペラギアの彼への思いは次第に薄れていった。4月、アルバニアでの戦争は終わりを迎える。ドイツ軍によるイタリア軍への援護により、ギリシアは降伏を余儀なくされたのである。消息不明だったマンドラスも帰ってきた。傷つき変わり果てた姿で、目だけは憎しみにギラギラさせて。恋の炎が消え去った今、彼の帰還はむしろペラギアを戸惑わせた。ケファロニア島はイタリア軍とドイツ軍に占領される。敵意に満ちた島民たちの目前を行軍するイタリア兵たち。緊迫感をやわらげたのは、隊列を率いるアントニオ・コレリ大尉だった。彼の背中には、なんとマンドリンが背負われていたのである。
イアンニスはイタリア軍将校を宿泊させるよう命令され、不足しがちな医療物資の提供を交換条件に渋々承諾する。やってきたのは、アントニオ・コレリ大尉。イタリア人らしい快活さで人生を愛する彼の瞳に戦争の陰りはなく、彼と部下たちはオペラ合唱隊を組んで見事な歌声を島中に響かせた。初めは敵意をみせた島の人々も、次第に屈託のない彼らに心を許していく。そして、気性の激しいペラギアですら、コレリに冷たい態度をとり続けることはできなかった。とりわけ、その澄んだマンドリンの音色を聞いた夜には。コレリはペラギアに自作の曲を贈る。「この曲のタイトルは『ペラギアの歌』。君のために作ったんだ」
マンドラスは島の解放を目指してパルチザンに身を投じる。次第に心惹かれ合うコレリとペラギア。だが、婚約者であるマンドラスにとって、ペラギアが敵兵を愛する事は二重の裏切りであった。ペラギアはコレリを愛する喜びと苦悩に引き裂かれる。

1943年——ムッソリーニの失脚にひき続き、ついにイタリアは降伏し、イタリア兵たちは故郷へ帰れると歓喜の声を上げる。しかし、ドイツ軍はパルチザンに武器が渡る事を恐れ、イタリア軍に武器の放棄を要求。コレリと彼の部下たちは、突如としてドイツ軍に武器を取り上げられ、その最中に4人のイタリア兵が銃殺された。マンドラスはコレリに、パルチザンに武器を渡すように迫る。「この戦争では誰を信じるべきか?一つだけ確かな事がある。ドイツ軍を信じるな」
島にはドイツの援軍が送りこまれつつあった。コレリは武器をパルチザンに委ね、彼らと共に闘う事を誓う。決戦前夜、悲嘆にくれるペラギアに心打たれ、コレリの腹心の部下カルロは約束する。「俺が彼を守る」と。
戦いの時がやってきた。必死の応戦もむなしく、イタリア軍は物量を誇るドイツ軍によって壊滅する。コレリと彼の部隊は、人里離れた廃嘘へと連れて行かれる。そこが処刑場だと気づく間もなく、一斉射撃によってイタリア兵は虐殺される。ただ一人、カルロが身を呈して守ったコレリだけが奇跡的に生命をとりとめた。マンドラスがコレリを見つけ、イアンニス医師の家へと運び込む。医療物資も底をつき、瀕死のコレリを助けるのは絶望的だったが、イアンニスとペラギアは彼のマンドリンの弦で折れたあばら骨をつないだ。
ペラギアの手厚い看護によってコレリの傷は回復したものの、部下たちに対する自責の念や、イアンニスとペラギアをも危険にさらしている事で、彼の心の傷は癒えることがなかった。ペラギアはコレリを島から脱出させる事にする。コレリは見送るペラギアに何かを告げようとするが、それを遮ったのはペラギアだった。この過酷な時代の中では、どんな約束も無意味だったからだ。だが、彼女の心は永遠にコレリのものだった。例え再び彼に逢う事はないと、感じていたとしても…。

1947年——ケファロニア島に再び平穏な日々が戻ってきた。コレリの面影を胸に医学を学ぶペラギアのもとに、ある日イタリアからの小包が届くが…。

スタッフ

監督:ジョン・マッデン
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ケビン・ローダー、マーク・ハファム
脚本:ショーン・スロボ
原作:ルイ・ド・ベルニエール
撮影監督:ジョン・トール
プロダクション・デザイナー:ジム・クレイ
編集:ミック・オーズレイ
衣装デザイン:アレクサンドラ・バーン
音楽:ステイーヴン・ウォーベック

キャスト

アントニオ・コレリ大尉:ニコラス・ケイジ
ペラギア:ペネロペ・クルス
イアンニス医師:ジョン・ハート
マンドラス:クリスチャン・ベール
ウェーバー:デビッド・モリシー
ドロスーラ:イレーナ・パパス
カルロ:ピエロ・マッジオ

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