ジャン・ローランの血の誘い
原題:FASCINATION
淫靡な芳香の罠 欲望にまみれた退廃と背徳 血に飢えた魔性の本能がそこにある
1979年/フランス映画/83min 発売・販売:日本コロムビア(DVD税抜3,800/ビデオ税抜:16,000)
2001年7月20日DVD発売/2001年7月20日ビデオ発売&レンタル開始
ビデオ題名が変わって再発された場合の題名 美女のうごめき/鮮血に染まる死霊の館
解説
ゴシック・ホラーの大御所ジャン・ローラン監督の作品。年に一度古城で開かれる女だらけの夜会。血の味を知った淑女達の高貴な仮面の下に隠された淫らな欲望とは?
ジャン・ローランは、脚本もなしに2週間で撮ったこの作品をヴァンパイアに捧げるオマージュとしている。主演は、ポルノ出身のブリジット・ラエー。彼女はジャン・ローラン作品ではお馴染みだが、88年のジェス・フランコ監督作品『フェイスレス』では、ヘルムート・バーガー、ステファン・オードラン、テリー・サバラス、ハワード・ヴェルノン、ロバート・ミッチャムの息子クリスらと共演している。共演のジャン=マリー・ルメールは70年代後半のカルト系ヨーロッパ映画に欠かせない役者であるが、彼も出世して、今ではフランスでテレビ番組のレギュラーを務めている。
【チェック・ポイント!】
“REDEMPTION”レーベルで現時点での日本国内リリース・タイトル中半数を占め、レーベルの顔ともいうべき、ジャン・ローラン監督作品。ただし、本作は“ローラン”がまだジャン・“ローリン”として一般…には知られてないよな(苦笑)、一部の好事家に知られていた頃に『美女のうごめき/鮮血に染まる死霊の館』のタイトルで発売されていたことがある。まぁ、そうはいっても今じゃまず普通のレンタル屋じゃおいてないだろうし、またマニア御用達のような専門中古ビデオ店とかだとブツはあっても、足下見やがって、ふざけんなこの野郎!な値付けをされているのがザラなんで、例えばDVDだと税込みでも4,000でお釣りがきちゃって、しかも唇から滴る血の赤も色鮮やかな高画質っていうんだから、幻だった作品を手軽に観れるようにしてくれるこのレーベルの存在は、ファンにとってとっても貴重なのですよ。
さて、『ジャン・ローランの血の誘い』はローランお得意のレスビアン・ヴァンパイアものではあるが、ストーリー欄にもある通りで彼女たちは実際のモンスターとしての吸血鬼では無い。貧血症気味の貴族のお嬢様方(一部トウたってますが…)が治療のためにと牛の血を飲み始めたのがエスカレートし、牛以外の血を試すようになったというもの。そして、年に一度お城に集まっては前日に用意しておいた犠牲者の生血を啜る宴を催すことになったのだ。だから、生血を飲んでもそれでエナジーを補給し生を永らえるわけではなくて、あくまで生血への嗜好レベルでの飽くなき欲求の賜なのだ。それでもその生血に対する欲求は、愛する者を求める感情よりも強いのだ。
古城で宴の準備をする二人の女のうち、金髪のエヴァを演じているのは『猟奇殺人の夜』などジャン・ローラン作品常連のブリジット・ラエー。ジャケット・アートにもなっている、ヌードに黒マントといういでたちで、大釜をふるう図はなかなか魅力的だ。黒髪のエリザベートはフランカ・メイ。ブリジットを愛しながらも館に現れた強盗のマルクにも惹かれ、血の絆を裏切るのだが…。このほか、5名の女たちが後半では素裸に薄物だけを身に纏った姿で画面に登場、なかなかそそられます。ローランの演出自体は、やはりスロー・テンポではあるが、女吸血鬼を逆光でとらえたショットを始め、はっとする程美しいショットもあるぞ。
(殿井君人)
ストーリー
20世紀初頭、上流階級の婦人の間では、牛の血を飲むことが健康法として、珍重されていた。しかし、彼女たちは、いつの間にか牛の血では満足できず、人間の血を求めるようになっていた。
年に一度、グループの中で選ばれたものが、その肉体で男を誘惑し、メンバーたちに捧げるのだ。しかし、その俊の儀式は予期せぬ侵入者により、人間の強欲をあからさまにした凄惨なものとなった。
スタッフ
監督・脚本:ジャン・ローラン
音楽:フィリップ・ダラーム
撮影:クリスティーヌ・ルノー
製作:ユメックス・プロダクションズ&フィルムABC
キャスト
ブリジット・ラエー
フランカ・メイ
ジャン=マリー・ルメール
ファニー・マジエ
LINK
□IMDb□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す