原題:ROGUE TRADER

20世紀最大の金融サスペンス

1998年/イギリス映画/104min/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル 日本語字幕:岡田壮平 提供:竹書房、クロックワークス 配給:クロックワークス

2001年1月25日DVD発売/2001年1月26日ビデオ発売&レンタル開始 2000年7月15日より渋谷シネパレス、新宿シネマミラノにてロードショー!

公開初日 2000/07/15

配給会社名 0033

解説

—“女王陛下の銀行”といわれたイギリスの名門ベアリングズ銀行を潰した男—

製作総指揮のサー・デヴィッド・フロストは映画化への動機をこう語る。「(ニックの手記を読んで)すばらしい話だということはすぐわかったああああ。あこれは、ぜひとも映画化権を手に入れて、映画にしなくてはと思ったよ。金銭欲、野心、そしてずさんな管理体制が引き起こした一大不祥事。そこに胸を打つ(ニックとリサ)のラブストーリーがからむんだ」。
この事件にドラマ性を感じた彼は映画の構想についてこう述べている。「この作品はただのドキュメンタリーにしてはだめだ。ロマンス、階級闘争、金銭欲、そして、ひとりの人間の破滅——これらすべてが俳優の演技を通してはじめて生きてくる。とにかく、『マネートレーダー 銀行崩壊』は実にスリリングなストーリーだ。といって、これは強盗や、レイプや、まして猟奇殺人の話でもない。いうなれば、“エリート犯罪”の話かな。涙あり、笑いあり、感動ありと、三拍子そろった話なんだ」。

映画化を決心したフロストはこの物語を監督のジェームズ・ディアデンに打診すると、彼はすぐに興味を示した。「この話には人生の教訓が詰まっている。ブラック・コメディでありラブストーリーであるが、つきつめれば、『マネートレーダー 銀行崩壊』はスリラーだ。実際、事件がどういうふうにして起こったのか、その過程におもしろさがあるんだ」。
監督は作品の方向性について、「ニック・リーソン本人の性格にとらわれないよう脚色し、誰もがもし彼の立場だったら、と思えるようにした。起こったことをそのっまま、まあ多少は味つけをして描き、観客があ主人公の内面を理解できるようにした。おそらくニック本人に共感を抱いている人は、あまりいないかもしれない。それでも『人生は破滅と隣合わせなんだ』と感じてもらいたかった。ユアン・マクレガーを主役に起用したおかげで、観客はユアンとニックを重ね合わせ、主人公に強い共感を抱くと思うね」と語っている。

この“事件”の主役ニック・リーソン役には、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でハリウッドスターの仲間入りを果たしたユアン・マクレガーが自ら演じることを強く望んだ。その理由は「今までやってきたなかで一番やりがいのある役だと思う。なんてったって彼はとんでもないピンチをくぐりぬけてきた男なんだ。あんなでかい損を出してしまったけど、そのまま突っ走るしかなかったわけだろう?知れば知るほどおもしろいね」。彼はあえてニックに会わなかったが、その理由についてこう語る。「直接会わずにすんで、実はホッとしてるんだ。だって、なんていえばいい?『やあ、ぼくは映画の中であなたの役をやってるんですよ。…で、あなたのほうは塀の中ってわけなんだ』なんて言えないだろ?」 ニックの成功の象徴である美しい妻リサ役を『スカートの翼ひろげて』(98年)『真夏の夜の夢』(99年)で可憐な魅力をみせたアンナ・フリエルが演じている。その他、シンガポールでニックの部下として働くジョージ役には舞台経験豊富なトム・ウー、崩壊していくベアリングズ銀行の象徴であるピーター・ベアリング会長を名優ジョン・スタンディングが演じるなどイギリスの映画・演劇界の実力派が結集して、本作を盛り上げている。

たった一人の男の出現により230年の伝統と栄華から崩壊の道を辿る名門銀行。実話だけが持つ圧倒的なリアリティと映像で魅せるスリリングな展開。『マネートレーダー 銀行崩壊』は、同じく金融界で野心に燃える青年の“栄光と挫折”を描いた『ウォール街』(85年)にひけをとらない娯楽性のある社会派サスペンスに仕上がっている。

ストーリー

1985年2月27日、全世界に衝撃のニュースが流れた——

ニック・リーソン(ユアン・マクレガー)は、学歴も無く、労働者階級出身ながら持ち前の巧みな話術で“女王陛下の投資銀行”と呼ばれる名門ッベアリングズ銀行に職を得た。インドネシアのジャカルタに配属されたニックは、金庫に放置された1億ポンド(約160億円)に及ぶ株券を現金化する仕事を与えられ、張り切って取り組んでいた。一方、ロンドンから新しいアシスタントのリサ・シムズ(アンナ・フリエル)が派遣され、ニックは恋に落ちる。業績をあげて帰国した二人は皆に祝福され結婚式をあげた。

新婚生活はシンガポールで始まった。ベアリングズ銀行がシンガポール国際金融取引所(SIMEX)に進出することになり、ニックは先物取引部門(Baring Futures Singapore)の責任者に抜擢されたのだ。念願の“トレーダー”になり、ニックはネアリングス大阪と連携して情報を得ることでSIMEXの誰よりも早く日経平均株価(NIKKEI)の動きをつかみ利益をあげていった。

BFSが軌道に乗り始めた頃、ミスを処理する一時的な口座を作るよう本店から指示があった。ニックは中国のラッキーナンバーからその口座を88888とするが、処理方法が変わり、存在を忘れていた。ある日、新人の部下キムが大きなミスをして2万ポンド(約320万円)の損失を出してしまう。責任を感じたキムは、自分の年収の4倍にもなる金額を「弁償します」と申し出た。ニックの上司サイモンは「キムを首にしろ、さもなければ損失を埋めろ」と冷たく言い放つのだった。キムに同情したニックは翌日の取引で損を取り戻そうとするが、相場を読み違え、損失は3倍に膨らんだ。報告を求められニックは「損失を取り戻した上に儲かった」と嘘をつき、取引を88888口座に隠す。

88888口座の穴を埋めようとニックは顧客の金を使って無許可の取引をしてしまう。無情にも相場は彼の思惑とは逆に動き、損失は1000万ドル(約10億円)に達した。注文が無いのに高額の取引を繰り返したせいで顧客の金だけでは足りず、ニックは本店に嘘をついて送金させた。それを元手に今度は先物取引よりもギャンブル性の高い(利益は大きいが、リスクも大きい)オプション取引を始めた。彼のした事は背任行為だった。

ニックは本店からの送金が正当に見えるように大口の新規顧客を獲得しようとしていた。幸運なことに、スイス信託銀行の資金運用係ピエール・ボーマルシェと出会い、SIMEX全体の40%に及ぶ取引を受注することができた。波に乗ったニックは相場の読みと巧妙な作戦で取引に勝ち、想像を絶する莫大な利益をあげることに成功したのだ。損失を取り戻した上に利益をあげ、シンガポールNO.1トレーダーの名声まで手にする。ニックは大きな賭けに勝ち、リサと二人で幸せなクリスマスを過ごした。そして88888口座との決別を心に誓うのだった。

スタートレーダーとなったニックのもとにボーマルシェから無理な注文が入った。ニックから大口顧客を奪おうとしたライバルが、手数料をとらない不正な取引を申し出てきたらしい。ボーマルシェはニックとライバルを競争させた。負けたくないという焦りから、ニックは見込のない高額取引の注文を受けてしまった。強気の勝負が災いし、儲けるどころかボーマルシェの指示どおりの取引さえできなかった。シンガポール最大の顧客を失い、再び88888口座に損失が残った。ニックは穴埋めの為に不正取引の資金を得ようと、再び本店に嘘の送金依頼をした…。

スタッフ

監督・脚本・製作:ジェームズ・ディアデン
製作総指揮:サー・デヴィッド・フロスト、ピッパ・クロス
クレア・チャップマン
製作:ポール・ラファエル、ジャネット・デイ
原作:ニック・リーソン 新潮社『わたしがベアリングズ銀行を潰した』
〈協力:エドワード・ホイットリー〉
撮影監督:ジャン=フランソワ・ロバン
衣装:レイチェル・フレミング
編集:キャサリン・クリード
音楽:リチャード・ハートリー

キャスト

ニック・リーソン:ユアン・マクレガー
リサ・リーソン:アンナ・フリエル
ジョージ・ソウ:トム・ウー
ヘンリー・タン:ダニエル・ヨーク
ロン・ベイカー:ナイジェル・リンゼイ
ボニー・リー:アイリーン・ング
ダニー・アルジロプロス:リー・ロス
ピーター・ベアリング:ジィン・スタンディング
ピーター・ノリス:サイモン・シェパード
サイモン・ジョーンズ:ピップ・トレンズ
ピーター・ベアリングズ夫人:ジョアンナ・デヴィッド
ブレンダ・グレンジャー:ティム・マッキナニー
トニー・ホウズ:ティム・マッキナニー
シティ:サラ・ルー
ハリー・リーソン:ピーター・クインス
キム・ウォン:ジェニファー・リム
スティーグ:クリスチャン・ソリメノ

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