原題:ON HOUR PHOTO

今度のロビンは怖いーー。全米マスコミがロビンの演技に戦慄!

2002年8月21日全米初公開

2002年/アメリカ/98分/ 配給:20世紀フォックス

2007年05月25日よりDVDリリース 2003年06月19日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年06月19日よりDVD発売&レンタル開始 2003年2月1日よりシャンテシネほか東宝洋画系にて公開

(C)2001 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 2003/02/01

配給会社名 0057

解説


アカデミー賞助演男優賞に輝いた「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」を始め、数々のハートウォーミングな役柄で20年以上に渡って映画ファンを魅了してきたロビン・ウイリアムズが、これまでのコミカルなイメージとはまったく違う「ストーカー」を演じた戦標のスタイリッシュ・サイコ・スリラーが本作である。
彼が演じるのは、大型ディスカウントショップの片隅にあるスピード現像カウンターで働くサイ・パリッシュ。長年、愛情と誇りを持って生真面目にこの仕事に携わってきた彼だが、私生活では家族も友人もいない孤独なひとり身である。そんな彼にとっての特別な常連客がニーナ・ヨーキンだった。彼女が持ち込む写真が語るのは、裕福な夫や愛らしい一人息子との愛情に満ちた何不自由ない家庭生活。サイにはないすべてがそこにはあった。いつしか彼は、幸福を絵に描いたようなヨーキン家のスナップ写真をひそかに自宅に飾り、自分がその家族の一員になったような空想にふけることをひそかな楽しみとするようになっていた。だがある時、ヨーキン家の予想もしていなかった現実を知って深く傷つき、ショックを受けた彼はその瞬間から危険なストーカーに豹変する…。
スタンダップ・コメディアンとしての原点に戻るため、三年間スクリーンから遠ざかっていたウイリアムズだが、復帰後はかねてから表明していた悪役志向を実践に移し、ダークな役柄に果敢に挑んでいる。復帰二作目の「インソムニア」では鬼気迫る殺人犯役で観客をあっと驚かせたが、続く本作では、より複雑な内面を持つ男を、外見まで変える懲りようで大胆かつ繊細に演じ、またもや絶賛を浴びている。“ウイリアムズの計算され尽くした名演”(ワシントン・ポスト紙)、”微妙なニュアンスに富む、背筋の凍るような忘れがたい役柄”(ニューヨーク・オブザーウァ一紙)など彼への賛辞はとどまるところを知らない。幸福な一家への思い入れが異常なまでに高じた結果、彼らを恐怖に陥れる行動に出るサイ。一見ごく普通の穏やかで親切な男が、秘められた狂気を次第にエスカレートさせていく様には、戦標を禁じえない。と同時に、弧独であるがゆえに一途に思いつめ、追い詰められていく彼の姿にはどこか哀しさも付きまとう。今までで最も怖く、最も寂しい男を絶妙なバランス感覚で演じきったウイリアムズにとって、本作は新しい代表作になることだろう。
共演はニーナ役に「グラディエーター」でトップスターの仲間入りを果たしたコニー・ニールセン。その夫ウィルに「25年目のキス」でブレイクしたミシェル・ヴァルタン。またサイを追跡する刑事を人気TVシリーズ「ER/緊急救命室」の“ベントン先生”ことエリック・ラ・サールが演じている。
監督・脚本はミュージック・ビデオ界の鬼才マーク・ロマネク。音楽業界ではカリスマ的人気を誇る才人で、彼の撮ったマドンナとナイン・インチ・ネイルズのクリップがニューヨーク近代美術館のコレクションに加えられたことからも、その芸術性への高い評価をうかがい知ることができよう。日本でも彼の作品はディープなファンを生んでおり、例えば高橋幸宏は1985年のロマネクの映画監督デビュー作「天国からの中継」にインスパイアされて「Broad cast From Heaven」というアルバムを出しているほどである。キューブリックを敬愛し、本作ではスコセッシの傑作「タクシードライバー」のトラヴィスのような人物像を目指したというロマネク。流血や殺人といった即物的な怖さに頼らない、あくまで心理的な怖さで勝負した脚本と人物造型、そして抑えた静謡なビジュアルが、ウイリアムズの隙のない名演と相乗効果をあげ、本作をユニークなサイコ・スリラーにしている。
製作は「ボーイズ・ドント・クライ」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」などのクオリティ・ピクチャーを連発して一躍注目を集めている新興製作会社キラー・フィルムズの女性プロデューサー・コンビ、クリスティーン・ヴァション&パメラ・コフラー。若手監督に大胆な創作の自由を提供することで知られるキラーフィルムズのバックアップなしには、本作は成立しなかったに違いない。またアカデミー賞5部門受賞に輝いた「アメリカン・ビューティー」のスタン・ヴロドコウスキーがプロデューサーに名を連ねている。
クルーにはロマネクとミュージック・ビデオの仕事で組んだ経験のあるスタッフが結集した。撮影監督は「ファイト・クラブ」「K-19」のジェフ・クローネンウェス。プロダクション・デザイナーはリメイク版「サイコ」、「セル」のトム・フォーデン。衣裳デザインは「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」やマドンナとのコラボレートで知られるアリアンヌ・フィリップス。他には、編集を「裏切り者」のジェフリー・フォード、音楽を「ラン・ローラ・ラン」のラインハルト・ハイル&ジョニー・クリメクが担当している。本作は米国では2002年8月25日に封切られ、限定公開なが51館あたりのアベレージが4万5.000ドルを超すという、他に大きく水をあける好成績をあげている。

ストーリー


地元の買い物客でにぎわうディスカウントショッピングセンター、サブマート。その一角の写真カウンターが、サイ・パリッシュ(ロビン・ウイリアムズ)の仕事場である。20年以上写真を扱ってきたサイは、たとえ機械任せのスピード現像といえども、決して仕事をおろそかにはしない。顧客の注文には可能な限り笑顔で応じ、大切な思い出の一瞬を捉えたひとこまを、真心をこめて一枚一枚最良の状態で仕上げるのだ。だがそんな彼の熱心な仕事ぶりに気づく者はここには誰ひとりいなかった。
 ニーナ・ヨーキン(コニー・ニールセン)はサイにとって特別な常連客である。彼女の間にはジェイクという一人息子(デイラン・スミス)がいる。世の親たちの例にもれず、ヨーキン夫妻にとってもジェイクが生まれた日からカメラは重要な日用品となったのだ。何不自由ない暮らしとたくさんの愛情に包まれた幸福な三人家族の姿を、自分が現像した何千枚もの写真を通して、サイは長いこと見守ってきた。天涯孤独の彼が、自分もこの完壁な家族の一員になりたいといつしか願うようになったとしても、驚くにはあたらない。だが写真というものは幸福な瞬間しか捉えないものだ。記憶に残しておきたくないような場面を写真に残す者はいない。それにサイの思い入れば、少しばかり1度を超えていたかもしれない…事事その日もサイはフィルムを預けに寄ったニーナとジェイクを温かく迎えた最後の一枚が残っているライカのカメラをもったいからとニーナに向けるサイ。だが彼女が嫌がるので、彼は自分に向けてシャッターを切る。ヨーキン家に自分の顔写真が一枚加わったことにサイはささやかな満足を覚える。
後刻、ニーナが写真を受け取りに来る。もちろんサイの仕事は完壁だ。いや、それ以上と言ってもいい。通常判より大きなサイズに仕上げてあるのはサービスだ。代金の端数はおまけする。ジェイクが9歳の誕生日を迎えたと聞けば、商品の使い捨てカメラをプレゼントする。ニーナとジェイクの喜ぶ顔がサイの心を和ませる。夜、ファミリー・レストランでサイが一人、写真を眺めている。今日ニーナが現像に出したものを彼は自分用に1セット余計に焼いていたのだ。のぞき込むウェイトレスにサイは“甥”のジェイクを誇らしげに見せる。
 だが、幸福なヨーキン家はサイの幻想にすぎなかった。特に最近、ニーナはウィルの愛がさめたように思えてならない。その夜、ふたりは言い争う。ウィルが留守がちで自分やジェイクを省みないと不満をぶつけるニーナ。仕事のない時、サイは読書や買い物、ドライブをして過ごす。本はニーナが買っていたのと同じもの。のみの市で買い求めるのは昔の女性が写っている一葉の古い写真。ドライブ先はヨーキン家。その表に車を止め、彼はサイおじさんがニーナやジェイクと過ごす楽しい休日を想像するのだった。
ジエイクがサッカーチームで練習しているところに仕事帰りのサイが現れる。ジェイクが欲しがっていたエヴァンゲリオンの玩具をプレゼントしょうと寄ったらしい。だがジェイクは、親に怒られるからと遠慮する。ショッピング・モール。買い物に来たニーナが休んでいると、通りがかったサイが声をかけてくる。長い付き合いにもかかわらず、店以外で出会うのは初めてだ。サイが自分と同じ本を読んでいることに気づくニーナ。その途端、今まで単なる写真店の店員としてしか見ていなかったサイに急に親しみが湧いてくる。子供はいるの?恋人は?尋ねる彼女に、サイは先日買った写真を見せて、亡くなった母親だと言う。
 ある日、サイは上司のビル(デイリー・コール)から解雇を告げられる。現像機のカウンターと実際の売り上げが大きく食い違っているというのだ。サイが以前からヨーキン家の写真を自分用に焼き増していたせいである。落ち込むサイ。ニーナがフィルムを出しに来ても、彼の受け
答えは虚ろである。その夜、自宅の壁一面を埋めるヨーキン家の写真を見ていたサイは、数日前に来たマヤという名の女性客(エリン・ダニエルズ)とウィルが
一緒に写っている集合写真があることに気づく。翌日、マヤから預かった写真を確認したサイは、懸念が当たっていたことを知って動揺する。写真の中で抱き合うウィルとマヤ。彼らは愛人関係にあったのだ。長年信じてきた“完壁な家族”はまやかしだった!サイのショックは大
きかった。ニーナに知らせなくては。そう思った彼は、ウィルと写っているマヤの写真を現像済みのニーナの写真の中に忍ばせると、同僚のヨシにクビになったことを告げて店を去る。サイは写真を受け取りに来たニーナの車をつけ、彼女がウィルの裏切りを知ったことを確認する。だがニーナはそのことを夫に言おうと
はしない。なぜだ?ーーサイは納得がいかない。翌日サブマートに現れたサイは、ヨシに一本のフィルムを預けて去る。そこには彼が盗み撮りしたビルの幼い娘の姿が写っていた。ヨシからそれを見せられたビルは、恐怖にかられる。事情を聞いたヴァンダージ刑事(エリック・ラ・サール)が警官をサイの自宅に向かわせる。その頃、サイはウィルとマヤがチェックインしたホテルにいた。家族を裏切り、幸せを台無しにしたウィルに、その代償を支払わせるために…

スタッフ

監督:マーク・ロマネク
製作:クリスティーン・ヴァション、パメラ・コフラー、スタン・ヴロドコウスキー
製作総指揮:ロバート・B・スターム、ジェレミー・W・バーバー、ジョン・ウェルズ
撮影監督:ジェフ・クローネンウェス
美術:トム・フォーデン
編集:ジェフリー・フォード
衣裳デザイン:アリアンヌ・フィリップス
音楽:ラインハルト・ハイル&ジョニー・クリメク
音楽監修:クリス・ドゥリダス
キャスティング:デボラ・アキーラ、トリシア・ウッド

キャスト

サイ・パリッシュ:ロビン・ウィリアムズ
ニーナ・ヨーキン:コニー・ニールセン
ウィル・ヨーキン:ミシェル・ヴァルタン
ジェイク・ヨーキン:ディラン・スミス
ビル・オーウェンズ:ゲイリー・コール
マヤ・バーソン:エリン・ダニエルズ
ジェームズ・ヴァンダージ刑事:エリック・ラ・サール
ポール・アウターブリッジ刑事:クラーク・グレッグ
ヨシ・アラキ:ポール・ハンセン・キム

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