原題:幸福時光/Happy Time

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html

2000年/中国/ 配給:20世紀フォックス(ジャパン)

2007年12月21日よりDVDリリース 2003年05月02日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年05月02日よりDVD発売&レンタル開始 2002年11月2日よりBunkamura ル・シネマ にてロードショー

TM and (C) 2002 Fox and its related entities. All rights reserved.

公開初日 2002/11/02

配給会社名 0057

公開日メモ 「あの子を探して」「初恋のきた道」と2本の話題作が公開されたチャン・イーモウ監督の新作。 主演は映画デビューとなる若干19歳のトン・チエ

解説


 チャン・イーモウは初めての監督作「紅いコーリャン」でベルリン映画祭の金熊賞を受賞して世界を驚かせた。「秋菊の物語」と「あの子を探して」で2度にわたってヴェネチア映画祭金獅子賞を獲得するという快挙も成し遂げた。「菊豆」と「紅夢」で米アカデミー賞にノミネートされ、「活きる」ではカンヌ映画祭の審査員グランプリに輝いた。三大映画祭を制した今、彼は名実ともに映画界の頂点にいる。そして、世界の映画ファンと批評家が待ち焦がれていた彼の新作は、「あの子を探して」「初恋のきた道」の作品世界に連なる感動的な物語。コン・リー、チャン・ツィイーに続く新しいミューズ、ドン・ジエを誕生させたことでも忘れがたい映画となるに違いない。

 原作は、「紅いコーリャン」で知られる現代中国の代表的作家モー・イエン(莫言)の短編小説。とはいえ物語は大幅に変更され、目の不自由な少女ウー・インも映画化に当たって新しく作り出されたキャラクターだ。しかし、監督は荒唐無稽なおとぎ話という側面では原作に忠実だと語る。確かに物語自体は破天荒で非現実的。そこに、ダークなユーモアを漂わせるのが監督の狙いだった。
 盲目の瞳に強い意志を感じさせるウー・インを演じるドン・ジエ(董潔)は、中国全土5万人の美少女の中から選ばれたチャン・イーモウの新しいミューズ。可愛らしさの奥に気丈さと健気さを秘めて、輝くような存在感。彼女が見せる涙とこぼれるような笑みには、人の心を揺さぶる力がある。

 また、監督が「役柄にぴったりで、彼以外には考えられなかった」というチャオ役のチャオ・ベンシャンを筆頭に、同僚たちを演じるリー・シュエチエン、フー・ピアオ、ニウ・ベン、ドン・リーファンら主要な俳優たちは皆、中国で知らぬ者はないほど有名な俳優。監督は今回、台本にこだわることをやめ、現場で俳優たちに読み合わせをさせた後、台詞を取捨選択していった。最初はチャンの即興的台詞に戸惑っていたほかの俳優たちもしだいに慣れ、自然発生的なその場の閃きで掛け合いのハーモニーが生まれるようになった。

 そして、撮影のホウ・ヨン、美術のツァオ・ジュウピン、サウンドのウー・ラーラー、編集のチャイ・ルー、音楽のサン・パオら、いずれも「あの子を探して」と「初恋のきた道」で組んだ気心の知れたスタッフたちが、至福の映像世界を演出している。

ストーリー



 近代化が進む中国、大連。中年の労働者チャオ(チャオ・ベンシャン)は喫茶店で太った女性とお見合いの真っ最中。もう18回も失敗している彼は何とかしてゴールインしたいと思っているが、結婚のために5万元を用意するよう言われて困り果てる。彼は工場をリストラされて失業中なのだ。

 チャオに相談された仲間のフーは、工場の裏の空き地に放置されているオンボロバスを改装し、若いカップルに至福のときを提供するラブホテルにすればいいと提案する。気は進まぬが、背に腹は変えられない。チャオはバスにベッドを置いて “至福の間”なる休憩所を開業した。 花屋が捨てたバラの花びらで花束を作り、一張羅のシャツを着て見合い相手の家に向かったチャオ。ホラ吹きの癖が出て、彼女に自分が“至福旅館”の社長だと嘘をついてしまう。

 彼女の家には甘やかされたおデブの息子のほかに、目の不自由な前夫の連れ子ウー・イン(ドン・ジエ)が住んでいた。継母にとってウー・インは厄介なお荷物。チャオが旅館経営者と聞いて、娘を雇ってほしいと迫る。しかたなく少女を“至福の間”で働かせようとするチャオ。ところが運の悪いことに、少女を連れて行った日にバスは撤去されてしまう。やむなく家に連れ帰ると、殺風景だった彼女の部屋はきれいに模様替えされ、息子のものになっていた。

 朝出て行って帰ったら居場所がない。交差点の真ん中に飛び出した彼女をチャオが引き戻すと、さっきまであんなに気丈だった少女の目に涙が浮かんでいた。少女の境遇に同情したチャオは、彼女を会社の寮と偽って自分のアパートに連れて行った。

 チャンは按摩が得意だという少女のために、フーや工員仲間の協力で閉鎖中の工場にニセの按摩室を作ることにした。チャンから心づけ用の5元紙幣を受け取った仲間たちが、ある時は師範大学のリー教授、ある時はレストランのニウ社長として順番にここを訪れた。

 ウー・インは一生懸命働いた。お客さんたちが気持ちよさそうに眠りこけると、自分まで癒されたようで嬉しくなった。もっともっと働いてお金が貯まったら、父親を探し出し、目を治したい。そして、最初に見たいのは、父親とチャン社長の顔。そう聞いてチャンは涙ぐむ。

 ある日、ウー・インを寝泊りさせている自分のアパートに戻ったチャンは、テレビを持ち出して質屋へ走る。空っぽになった台を触って首をかしげるウー・イン。やがて本物の紙幣がなくなって、ウー・インの手には白紙のお札が渡されるようになった。チャオと工員たち、善良で愛すべき人々の悲しくも可笑しいお芝居はほころびながらも何とか続くように思えたが……。

スタッフ

監督:チャン・イーモウ
脚本:グイ・ズ

キャスト

トン・ジエ
チャオ・ベンシャン
フー・ピアオ
リー・シュエチエン
ニウ・ベン

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