原題:don

『かさぶた』『7本のキャンドル』のアボルファズル・ジャリリ監督作品

1998年サン・セバスチャン国際映画祭 審査員賞受賞

1998年/イラン映画/カラー/スタンダード/90分/配給:ビターズ・エンド

2002年10月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2000年4月29日より銀座テアトルシネマにてロードショー公開

公開初日 2000/04/29

配給会社名 0071

解説

●少年との出会いから生まれた奇跡の物語
ある日、ジャリリは板金工場で働く少年の瞳に目を奪われる。声をかけ、話を聞くと、彼にはちゃんとした名前も戸籍もないと言う。この少年が、主役のファルハードである。二人の運命的な出会いから本作『ぼくは歩いてゆく』が生まれた。 「子供たちを救うために映画を撮り続ける」と語るジャリリは、この少年のバックグラウンドを作品のテーマとして選び、脚本を仕上げ、撮影へと挑んだ。ジャリリは、少年と同じ目線に立ち、少年の表情、眼差し、言葉、日常に沸き起こる喜びや悲しみ、そして痛みまでもフィルムに刻んでいく。そこにすくいとられた少年の姿には、”生の輝き”、生きていくことの素晴らしさが溢れている。

●人生を動かす一本の映画の力
映画はファルハード少年の体験に基づいている。少年は自分の人生を演じることで、さらに新たな体験をしていく。そのことによって映画の中で少年は生き、その少年によって映画は命を吹き込まれる。
映画出演が、後に少年の人生に大きな影響を与える。ジャリリの尽力で、撮影終了後、少年は今まで手に入れることのできなかった戸籍と身分証を取得する。また、数ある名前の中から「ファルハード」を選び、正式な名前として登録する。そしてついに、念願の学校へも通い、文字を読み書きできるようになったのである。

ストーリー

●ぼくは歩く。未来をつかむために。
9歳の少年ファルハード。両親が出生届けを出さなかったため、戸籍も身分証も持っていない。だから、学校に通うこともできず、働き口を見つけても断られてばかり。それでも家計を助けるため働かなくてはならない。ファルハードは仕事を求めて街中を歩き回る。身分証を取るため、たった一人で役所へと向かう。ちゃんとした仕事を手に入れることができる日を、そしていつか学校で勉強できる日を夢見て。
ファルハードは決してへこたれない。自分なりの方法で、目的へと向かって進んでゆく。走ることなく、ゆっくりと、急いで、歩いてゆく。彼の瞳は、前を、未来を見据えて輝いている。観る者は、いつの間にかファルハードの生き方を応援し、そして彼の生き抜いていこうとする”強さ”に励まされるのである。

スタッフ

監督・脚本・編集・美術:アボルファズル・ジャリリ
撮影:ファルザッド・ジョダット
録音:ハッサン・ザルファム

キャスト

ファルハード・バハルマンド
バフティアル・バハルマンド
ファルザネー・ハリリ

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