原題:a cool dry place

1999年度作品/アメリカ映画/カラー作品/ドルビーSR 上映時間:1時間38分/字幕スーパー翻訳:松浦美奈/配給:20世紀フォックス映画

2000年11月3日よりビデオ発売・レンタル開始 2000年6月10日より渋谷シネパレスにてロードショー公開

©1999 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 2000/06/10

配給会社名 0057

解説

ラッセルは若くて有能な弁護士。ある日突然、妻が幼い息子を置いて家を出て以来、シングル・ファーザーとして子育てに奮闘してきた。
けれど、仕事と”母”の両立は楽じゃない。やがてシカゴの一流法律事務所を首になり、カンザスの片田舎で働き始めたラッセル。ようやく、地元に住む女性との間に恋が芽生え、バスケット・ボールのコーチをしながら新しい人生を歩み始めたとき、妻が息子を取り返しにやってきた……!!
『クレイマー、クレイマー』で妻メリル・ストリープに逃げられたダスティン・ホフマンが、涙ぐましい父親ぶりを見せたのは1979年のこと。今や、子育てが女性だけの仕事でないことは”常識”だが、現実はそうたいして変わっていないのかもしれない。忙しい仕事に就く男性が、完壁な父親であることなど滅多にない。ましてや妻がいなければ、当然、しわ寄せは仕事に降りかかってくる。
愛していた妻と、打ち込んでいた仕事……。自分の持っていた大切なものを失ったと思っていた主人公が、一人の女性と出会うことで自分自身を発見し、息子との絆を取り戻していく。彼は、すべてを失ったことで、自分がどれほど多くのものを得たかを教えられる。そして、やがて和解が訪れ、彼は人間として、父親として、大きく成長していく。
男なら誰でも身につまされる物語。女性なら、こんな男に恋をし、この物語に感動するに違いない。離婚カップルが増え続ける昨今、タイムリーに登場するこの映画を監督したのは、ミシェル・ファイファー主演の「デンジャラス・マインド/卒業の日まで」を手がけたジョン・N・スミス。父親として3人の子供を育てた彼は、この物語を読んで心の奥深くに感じるものがあったと言う。その言葉どおり、自らの体験を映画の中に注ぎ込んで、リアルでエモーション溢れる感動的なドラマを作り上げた。
子育てに奔走する若いパパ、ラッセルを演じているのは、「スウィンガーズ」でスターダムにのし上がり、今ハリウッドで最も注目されているスター、ヴィンス・ボーン。
スピルバーグに認められて「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」に出演し、「サイコ」で新しいノーマン・ベイツ像を見せてくれたボーンは、今回、キャラクター中心の映画でその演技者としての本領を遺憾なく発揮している。
ラッセルの新しい恋人で、彼の不運を新しい人生と愛へと変えるベスに扮するのはジョーイ・ローレン・アダムス。「チュイシング・エイミー」でベン・アフレックの相手役を務め、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた彼女は、複雑な立場にあるガールフレンドという難役を力強く説得力をもって演じている。
また、ラッセルの妻ケイトには「コン・エアー」「パッチ・アダムス」のモニカ・ポッター。ベスの弟ノアには「キャスパー」「Born to beワイルド」のティーン・アイドル的存在デボン・サワ。ラッセルにカンザスの小さな法律事務所への就職の世話をする大学時代の友人ハーパーに「ザ・エージェント」のトッド・ルイーゾ。そして、ラッセルの幼い息子カルヴィンには、アメリカとカナダの大都市で行われた大がかりなオーディションの末、これが映画デビューとなるボビー・モートが選ばれた。ボーンをもってして「あんなに幼いのにこれまでに一緒に仕事をした多くの俳優より優れている」と言わしめた天性の才能で、父と息子の関係に真実味を与えている。
映画の視覚的イメージを捉えた撮影監督は、「ザ・プレイヤー」「プレタポルテ」などロバート・アルトマン監督とのコラボレーションで知られるジャン・ルピーヌ。プロダクション・デザイナーは、「フェイク」「ジョイ・ラック・クラブ」のドナルド・グラハム・バート。衣裳デザインは「クラッシュ」「裸のランチ」などデイビッド・クローネンバーグの仕事を支えてきたデニース・クローネンバーグ。11997年のカンヌ映画祭グランプリに輝く「スウィート・ヒアアフター」や「フェリシアの旅」などアトム・エゴヤン監督の盟友でもあるスーザン・シプトンが編集を担当している。また、「ヒート」「スピード」などで音楽アドバイザーやコンサルタントを務めたカート・ソベルが音楽を手がけている。

ストーリー

ラッセル(ウインス・ボーン)=通称ラスがカンザスのこの田舎町にやってきてからもう1年半になる。彼はシカゴの一流法律事務所で働く有能な弁護士だった。愛する妻ケイトと可愛い息子カルヴィン(ボビー・モート)=通称カルとともに、満ち足りた生活を送っていた。しかしある日、妹の結婚式に出かけると言って家を出た妻は、それっきり戻ってこなかった。残されたカルの面倒を見るために時間をとられた結果、事務所を首になったラスは、友人の紹介でこの町の小さな法律事務所に職を得て、つまらない仕事に甘んじていた。
草原の中にぽつんと建つラスの家。彼の朝はカルの世話から始まる。
近所の家で預かってもらえないときは、子連れ出勤も珍しくない。そんな彼に、同僚もあきれてクズのような仕事を押しつけていた。フロリダに住んでいるラスの父は、息子の窮状を見かねてカルを預かることを提案し、電気クラゲの標本を送ってくる。カルはパパとここで暮らしたいと思っているが、クラゲに“ママ”と名付けた息子を見ると、ラスの心も穏やかではない。そんなとき、ケイトから1年半ぶりに電話がかかってくる。息子に会いたいというのだ。自分勝手な彼女の態度にラスは怒って受話器を置く。
ラスは地元のバスケットボール・チームで監督代理をしている。ある日、彼は遅刻常習者のノア(デボン・サワ)と口論の末、スタメンから外してしまう。ノアからこれを聞いた姉ベス(ジョーイ・ローレン・アダムス)は、怒ってラスの車のフロントガラスにドッグフードをぶちまける。それがラスとベスの出会いだった。
ベスはバツイチで、離婚で勝ち取った馬の馬主でもある。ノアの暴言が原因だと知った彼女はラスに謝り、カルを乗馬に誘った。3人で食事をし、ラスの家でテレビアニメを見ながらの“デート”。まるで家族のようになごやかなつきあいの中で、しだいにラスはオープンで飾らないベスに惹かれていく。
しかし、二人が初めて結ばれた翌朝、シャワーを浴びていたラスに代わって電話をとったベスは、それがケイトからのものだと知る。ラスがまだ妻とつき合っていると思い込んだベスは、傷ついて家を出る。
シャワーから出てベスが帰っていくのを見たラスは、カルのせいだと思って八つ当たり。腐り始めたクラゲの標本を捨てようとしてカルとの間に険悪な空気が立ちこめる。と、そのときケイト(モニカ・ポッター)が玄関に現れる。
はじめは彼女を見て部屋に閉じこもってしまったカルだが、ラスの説得で母と子の聞には親密な関係が戻り始めた。「すべて私が悪いの」と言うケイトを「カルの気持ちを考えたことがあるのか!」と責めながらも、庭で泥んこになって遊ぶ二人を見ていると幸福だった日々の思い出が甦る。
ラスはベスの誤解を解くために彼女が働いている動物病院に出向いた。草原を散歩しながらケイトが家を出て行ったいきさつを話すラス。
しかし、彼が家に戻ると再びケイトが現れる…。

スタッフ

監督:ジョン・N・スミス
製作:ケイティ・ジェイコブス
   ゲイル・マトラックス
脚本:マシュー・マグダフィー
共同製作:デイビッド・コーツワース
撮影:ジャン・ルピーヌ
プロダクション・デザイナー:ドナルド・グラハム・バート
編集:スーザン・シプトン
衣裳デザイナー:デニース・クローネンバーグ
音楽:カート・ソベル

キャスト

ラッセル・ダレル:ヴィンス・ポーン
ベス:ジョーイ・ローレン・アダムズ
ケイト:モニカ・ポッター
カルヴィン:ボビー・モート
ノア:デボン・サワ
ハーパー:トッド・ルイージ
シャーロット:シボーン・ファロン
ラリー:クリストファー・バウアー

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