原題:HENRY FOOL

あなたの才能をみつけます。

1998年カンヌ国際映画祭脚本賞受賞

1997年/アメリカ映画/137min/カラー/ドルビー/1:1.66 提供・配給:ポニーキャニオン/宣伝協力:アップリンク

2000年5月17日よりビデオレンタル発売 1999年11月6日よりシネ・ヴィヴァン六本木にてロードショー!

公開初日 1999/11/06

配給会社名 0068

解説

あなたの才能をみつけます。
ニューヨークの片隅に生きる超ジミでシャイな青年がある日突然有名作家に!
彼に書くことを教えたのは、自称作家の謎の浮浪者。
彼の救世主は決して天使ではない……。
ヒップでハイパーリアルな作風、その独特の清潔で簡潔な映像でカルト的ファンをもつハル・ハートリーの最新作『ヘンリー・フール』は、彼の過去のどの作品よりも実に多くの主題を持っている。ニューヨーク・クイーンズ地区のブルー・カラーの一家と、彼らを取り囲む人間たちのミニ大河ドラマ。最も意外に思われる人間が医家に生まれ変われるかを描いた、基本的にアップビートなポートレートである。そしてニンゲンがいかに予期しない展開を見せるものであり、また、それが人間にとって、いかに他人との関係を見直すきっかけになるのかを考察したものである。
『ヘンリー・フール』は、また、特に言葉の力というものに対する、完璧なコントロールと愛情に満ちた作品である。フレームの中で、ミディアムショットとアップを多用しながらも自己完結した世界を彼は構築してみせるのだが、この作品の原動力となっているのは、『言葉』である。ヘンリーの饒舌すぎる台詞から、フェイのトゲのある痛烈な一言まで、それがピタッとはまる時の『ヘンリー・フール』はもっとも笑えて、もっとも見るものの琴線にふれてしまう。
彼は、この作品で1998年カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞している。
舞台出身ながら、クールにヘンリーを演じるカナダ出身の舞台役者、トーマス・ジェイ・ライアン、線の細いマジメ人間サイモンを演じるジェームス・アーバニアク、毒舌・色悪のフェイを演じたパーカー・ポジ、またハートリーの妻二階堂美穂。非情に繊細に生き生きとユニークな登場人物を演じる俳優達の競演も見ものである。
マイク・スピラーの美しいカメラワーク、ハートリーが自身で手掛けた柔らかい音楽もまた、『ヘンリー・フール』という詩的でほろ苦い、そして謎めいた現代的都会の寓話をとても暖かく躍動感のある映画に仕上げている。

ストーリー

どうしようもなくシャイで口下手なゴミ収集人サイモン・グリム(ジェームス・アーバニアク)は、鬱病の母親(マリア・ポーター)と、セックス狂の姉フェイ(パーカー・ポージ)を一人で養っている。そこに現れたのが無精髭を生やした謎の浮浪者、ヘンリー・フール(トーマス・ジェイ・ライアン)。とてつもなく自己中心的で騒がしい男だが、言葉を操ることにかけてどこか天才的な彼は一家の地下室に住みつく。ヘンリーはサイモンに思ったことを紙に書き留めるように薦め、彼自身もまた『告白』と銘打たれた手書きの原稿を抱えており、時期をみて発表するつもりだという。ヘンリーにいわせれば、それは文学界のお歴々を揺るがすような作品らしい。
一方、サイモンの口から一端こぼれはじめた言葉は、止まるところを知らない。
しかも、それらは完璧な強弱五歩格の形式を取っている。サイモンは生まれながらの詩人だったのだ。彼を知る者は、その詩に感動し、反響もすごい。地元の店のおしの女性は二言三言読んだだけで突然歌を口ずさむ。サイモンをいじめていた女の子たちは、今やすっかりグルーピーだ。
その間ヘンリーは、サイモンの母親を誘惑する一方、フェイとも関係を持つ。そして13才の少女と淫行に及んだ罪で捕まり、現在仮釈放中の前科者だという事実が明らかになる。ヘンリーの推薦で、彼の元同僚だという編集者(チャック・モンゴメリー)を訪れたサイモンは、またヘンリーが出版社で働いていたわけではなく、ただの用務員であったことを知る。
ヘンリーはサイモンの作品を出版するかわりに、一部をインターネットで発表するように手配し、これをきっかけにサイモンは一挙に有名になる。熱心な出版社にアプローチされる日々。やっとヘンリーの精神的な呪縛から解放されるサイモン。一方ヘンリーの『告白』は酷評されて葬りさられてしまった。それが原因でサイモンとヘンリーは仲違いをしてしまう。
才能を開花させて脚光を浴びたサイモンとは対照的なヘンリーの人生。自由人だったヘンリーは、フェイとの間に子供も生まれ、いつの間にか生活のために働かなければならない毎日を送り始めていたのであった。
ある日、近所に住む養父の暴力に苦しむ娘を助けるために立ち上がったヘンリーは、争いの末養父を刺してしまう。最大の危機を迎えたヘンリー。
二人の友情を試すような予想もしない出来事に、サイモンは再び育った町へ足をむけた……。

スタッフ

監督・脚本:ハル・ハートリー
製作総指揮:ラリー・メイストリッチ、ダニエル・ジェイ・ビクター
キース・アベル、
アソシエート・プロデューサー:ジェローム・ブラウンスタイン
プロダクション・マネージャー:マシュー・マイヤーズ
編集:スティーブ・ハミルトン
美術:スティーブ・ローゼンウェイグ
撮影:マイク・スピラー

キャスト

ヘンリー・フール:トーマス・ジェイ・ライアン
サイモン・グリム:ジェームス・アーバニアク
フェイ:パーカー・ポージー
マリア・ポーター
ジェームス・サイトウ
ケビン・コリガン
リアム・アイケン
二階堂美穂
ジーン・ルフィーニ
ニコラス・ホープ

LINK

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