歓びの毒牙
原題:L'UCCELO DALLE PLUME DI CRISTALLO
ホラー映画ファンの誰もが通る作品−−−ダリオ・アルジェント 『ダリオ・アルジェント 鮮血の美学』が全国で開催!
1969年/イタリア映画/テクニカラー/テクニスコープ/98min/配給:ザジ フイルムズ/ 提供:カルチュア・パブリッシャーズ、イメージファクトリー・アイエム、ABC出版/宣伝:スローラーナー
1999年10/2(土)〜11/5(金) 各回入替制 東京、キネカ大森を皮切りに大阪、福岡、名古屋、札幌等全国順次開催予定の 『ダリオ・アルジェント 鮮血の美学』にて上映予定
公開初日 1999/10/02
公開終了日 1999/11/05
配給会社名 0089
解説
黒手袋をはめた、不気味な正体不明の犯人が、美女を次々と血祭りにあげていく。
犯人は、普段は正常そのもの、しかし犯行は血みどろの狂気の中で行われる。
シャーロック・ホームズシリーズやアガサ・クリスティらの英国ミステリーのも通じる知性とユーモア、そこにマカロニ・ウェスタンの血と暴力を加えて、当時流行していたニューロティック・スリラージャンルに新風を巻き起こした『歓びの毒牙』は、現在イタリアン・ホラーの巨匠と呼ばれるダリオ・アルジェント監督の1969年のデビュー作である。黒手袋、連続殺人、一人称カメラ、と後のアルジェント映画に登場する要因が既にここで登場しており、一つのジャンルに90年代末の今なおこだわりを見せ続けている映画作家アルジェントを知るうえで実に興味深い作品。当時29歳だったアルジェントは、監督になるまでの2年間、脚本家として活躍していた。セルジオ・レオーネ監督の『ウエスタン』の共同執筆者であったベルナルド・ベルトルッチから、一冊の小説、フレドリック・ブラウンの『通り魔』を紹介されたのがそもそもの始まりだった。最初、映画化権を買おうとしたが高くてかなわず、アルジェントは自分なりに物語を再構築し、まずは脚本家として物語を書き上げた。最初、プロデュースをイタリアのゴッフレード・ロンバルドに依頼し、『暗くなるまで待って』のテレンス・ヤングに監督を依頼する予定だったが、紆余曲折の末、晴れてアルジェント自身が監督デビューを果たす事となった。
デビューに当たり、アルジェントは師匠レオーネの『夕陽のガンマン』に、冒頭のナイフを並べた場面でオマージュを捧げている。原題は「人は誰でも獣の本能を秘めている」というアルジェントの持論から、水晶の羽を持つ鳥と付けられた。
以後9尾の猫四匹の蝿といったタイトルのスリラーを連発し、この3作はアニマル・トリロジーと呼ばれている。出演はトニー・ムザンテ、スージー・ケンドール、エンリコ・マリア・サレルノ、エバ・レンツィら。ヒッチコックの『知りすぎていた男』で暗殺者を演じたレギー・ナルダーがここでも暗殺者を演じているのが面白い。
撮影は『ラストエンペラー』でアカデミー賞に輝くヴィットリオ・ストローラ、音楽はマカロニ・ウェスタンで馴染み深いエンニオ・モリコーネ。プロデュースにはダリオの実父サルバトーレ・アルジェントがあたっている。
ストーリー
アメリカ人作家サム・ダルマス(トニー・ムザンテ)は、執筆のためイタリアのローマに滞在していた。珍鳥についての新刊を発表したばかりのある夜、彼はたまたま通りがかったギャラリーで、二人の人間がもみ合う現場を目撃。たちまち黒ずくめのコート姿の一人は逃げ、残ったもう一人の女は血だらけで床にうずくまった。彼女は画廊経営者の妻モニカ(エヴァ・レンツィ)だった。助けようと近づいたサムは、運悪くギャラリーのガラスの二重扉に挟まれ、身動きが取れなくなる。警察からは、逃げ損なった犯人ではないかと疑われる。サムはあっという間に殺人未遂の目撃者と重要参考人になってしまう。モロシーニ警部(エンリコ・マリア・サレルノ)はサムのパスポートを取り上げ、強引に捜査への協力を押しつけてきた。ローマでは美女ばかりを狙った連続殺人が短期間に3件発生しており、警察は神経質になっていたのだ。やがて犯人の魔の手はサム自身と恋人ジュリア(スージー・ケンドール)にも迫ってくる。自宅にかかってきた脅迫電話に奇妙なきしみ音が混じっており、モロシーニはその音源を気にしていた。サムは、自ら犯人探しを決意する。やがて、新たな犠牲者が出る。犯人は独身の女性宅に侵入し、鋭利なカミソリで犠牲者に切りつけていた。最初の犠牲者が、骨董屋で一枚の奇妙な絵を売った後に殺されたと知ったサムは、その絵の作者に会い、絵にまつわる過去の陰惨な事件の事実を知る。その後、電話のきしみ音の正体が、珍しい鳥の鳴き声であることが判明、サムは事件の核心に近づくが…。
スタッフ
監督・脚本:ダリオ・アルジェント
製作:サルバトーレ・アルジェント
撮影:ヴィットリオ・ストローラ
編集:フランコ・フラティチェッリ
音楽:エンニオ・モリコーネ
キャスト
トニー・ムザンテ
スージー・ケンドール
エンリコ・マリア・サレルノ
エヴァ・レンツィ
マリオ・アドルフ
レギー・ナルダー
ウンベルト・ラオー
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