原題:OH ! MY THREE GUYS

涙を拭いもせずに、ぼくたちは笑っている。

☆大阪国際シネマドリームいずみさの映画祭'98出品作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/izumisano/index.htm

1994年/香港映画/広東語/94分/カラー/ビスタサイズ/配給:ポニーキャニオン+スローラーナー

1999年11月13日よりキネカ大森にて待望のロードショー公開

サブ題名 三個相愛的少年

公開初日 1999/11/13

配給会社名 0068

解説

涙を拭いもせずに、僕たちは笑っている。
仲間といる切なさと淋しさ、そして幸せ。

 広告プランナーのホイ、売れない俳優のカウ、脚本家のファーは幼なじみ。ひとつのマンションで一緒に生活をしている。ゲイでもある彼らは、お互いに支え合い、時には喧嘩し、それぞれの仕事に悩み、恋に揺れ、たまには仲間たちと仮装パーティーで羽目を外す。それなりに幸福な生活をおくっているはずだった。しかし、いつのまにか”ひとつの死”が彼らにしのびよっているのに、彼らは気づかなかった…。

 仲間と生きる幸福、そこで得た勇気、その切なさと淋しさを描いた傑作の登場です。監督は香港映画界、期待の新鋭デレク・チウ。候孝賢や楊徳昌を生んだ台湾ニューウェイヴの胎動期に台湾に留学していた彼は、94年香港返還を控えた不安定な気分と喪失感に満ちた第2作「沙甸魚殺人事件」を監督。一躍注目を集める存在となった。『ぼくたちはここにいる』は「沙甸魚殺人事件」に続く第3作。「侯孝賢監督の初期の作品が好きだ」という言葉通り、この作品は前作から一転してユーモラスでちょっぴりセンチメンタルなハートフル・コメディに仕上がっている。

3人の仲間を演じるのは、香港映画には欠かすことの出来ない俳優の一人である『つきせぬ想い』『ヒーロー・ネバー・ダイ』のラウ・チンワン。最近は監督としても心境著しい『初恋』『ドラゴン・ヒート』エリック・コット、そして舞台では脚本・演出・出演の全てをこなしコメディアンとして高い評価を得、デレク・チウ監督とはそのデビュー作からコンビを組むウォン・ジーワー。芸達者な三人が、ともすればシビアな部分に偏りがちなストーリーをユーモアにくるんだ演技で見せてくれる。そして、3人に共感を示すヒロインをン・シンリンが清楚な魅力で演じている。

ストーリー

広告プランナーのホイ、売れない俳優のカウ、脚本家のファーは幼なじみ。ひとつのマンションで一緒に生活をしている。ゲイでもある彼らは、お互いに支え合い、時には喧嘩し、それぞれの仕事で悩み、恋に揺れ、たまには仲間たちと仮装パーティーで羽目を外す。それなりに幸福な生活をおくっている。

ある日ホイは、コンドームを売るためのプロジェクトを任される。そして、男と女の問題だからと相棒として指名されたのは、フクメイだった。社内ではクールで笑顔を見せない切れ者として評価されているホイ。しかし、それは、彼の仮の姿だった。ショーウィンドの縫いぐるみを見て微笑むホイ。彼は、社内で自分がゲイであることを悟られないためにも、わざと感情を表に出さず、人とも関わらないようにしていたのだ。
「俺には手助けはいらない」
そんな頑ななホイを見て、フクメイは笑った。
「あなた女性経験がないみたい。コンドーム便ったことある?」

仕事をきっかけにお互いのことを話し始めるホイとフクメイ。「女が怖い」と言うホイに「そんなことお見通しよ」と言うフクメイ。メイは、そんな彼を映画に誘う。しかし、いつものホイの別れ話のしりぬぐいをしていたガウの勘違いから、ホイがゲイだということがバレてしまうのだった。ホイに好意を感じていたフクメイにはショックが隠しきれなかった。会社にバレルと落ち込むホイ。脚本の仕事が上手くかないファーも恋人との別れ話がこじれ、乱闘騒ぎを起こしてしまう。
しかし、会社にゲイであることバレず、フクメイとの仕事は大成功に終わった。ホイをゲイだと知ってもフクメイの気持ちは変わらなかった。フクメイは「彼といると安らぎを覚える」とガウに言った。

ある日、脚本のクレジットから自分の名前を外されたファーが憤懣やるかたなくマンションに帰ってくると、暗闇のなかにガウが座っていた。ガウは身体の調子が悪く。エイズ検査を受けていたのだ。彼は今日、医者から再検査を告げられたのだ。そんな彼のためにフクメイは粥をつくって食べさせた。「ボクの妻の座も危なくなってきたな」仕事がないガウは、忙しいホイとファーの代わりにいつも食事を作っていたのだ。

幼い弟たちをつれ遊園地に遊びに行くガウたち。しかし、彼がゲイであることに無理解な彼の父親は、弟たちをガウの前から連れ去るのだ。

そして、ホイと恋人になることは出来ないフクメイも、またアメリカに渡って仕事も恋もやり直すという手紙を残して会社を辞めた。揺れるホイ。そして、ある日。ガウはテレビに出ることになる。「社会論断」という番組にゲイとして発言するのだ。

ブラインドの向こうで顔を分からないようにしながら、香港の人々のゲイの無理解について話すガウ。時には静かに、時には激して。そして、ついに彼は言う。ブラインドを外す、と。彼はブラインドの外にでる。
「心から望みます。いつかこんな風に、皆さん、ボクはゲイです!」

会場から拍手で包まれた、その時、苦痛に顔を歪めガウが倒れた。思わ前ガウを助けようとカメラの前に飛び出すホイたち。そんな彼らにガウが言う、やめろ、顔が映ってしまう、と。

ガウの言ったとおり、ホイがゲイであることは会社にバレ、彼は辞めなければならなくなる。そんなホイを励まそうと再び彼の前に表れるフクメイ。ホイもファーも必死で金を工面してガウを旅行に連れ出そうとする。
でも、カウは今一つ旅行にのらない。
ガウは二人に提案する。それよりもパーティーをしようと。

仮装パーティーが始まった。パイナップルの扮装をするカウ。大騒ぎをして、その後、しみじみ歌をうたう仲間達。「みんなのこと絶対に忘れない」とガウは言い、涙を流す。ホイとフクメイの距離も近付いていた。フクメイと唇に触れるが、なかなか上手くいかない一晩を過ごすホイ。

しかし、帰宅したホイを待っていたのは、ドアに貼られた「ガス充満、ベル押すな」とガウの字で書かれた張り紙だった。
カウ、死ぬな!
必死で部屋に飛び込むホイだった。

ガウは戻らなかった。
仲間達は、あの仮装パーティーのビデオを見ていた。
そして、その終わりに自殺する前にガウが残したメッセージが収録されていた。

「バイバイ」

そろそろホイもファーも、そしてフクメイも、それぞれの道を歩き始めなければならない時がきたのだ。

スタッフ

監督:趨崇基 テレク・テウ
プロデューサー:羅傑承 スティーブン・K・S・ロー
エグゼグティヴプロデューサー:陳加玲 チャン・カーリン
美術:張学潤 ネルソン・チョウ
撮影:談智偉 タム・チンワイ
音楽:劉以達 タッツ・ラウ
脚本:杜國威 レイモンド・トゥ
製作:永高電影有限公司

キャスト

劉青雲 ラウ・チンワン
葛民輝 エリック・コット
黄子華 ウォン・ジーワー
呉傭蓮 ン・シンリン

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