女刑事RIKO聖母の深き淵
横溝正史賞受賞作品 '98ゆうばりファンタにてジャン=ユーグ・アングラード賞受賞!
1997年製作/日本映画/上映時間99分
1998年9月4日、東映ビデオよりレンタル開始 1998/4/25より都内先行ロードショウ公開!
公開初日 1998/04/25
解説
『女刑事RIKO聖母の深き淵』は、優れたサスペンス小説に贈られる横溝正史受賞作品となった、柴田よしきの「RIK0−女神(ヴィーナス)の永遠」とその続編にあたる「聖母(マドンナ)の深み溝」の映画化である。監督は’96年、浅野忠信主演の「Focus」で商業映画監督デビューを飾り’97年ベルリン国際映画祭第2部門受賞(NETPAC賞・ベルリン新聞記者賞)ほか、国内、海外の映画祭で注目を浴びた井坂聡。脚本は井坂聡監督自身と96年に「幸福のパズル」で読売テレビシナリオ賞を受賞した新鋭、田中利花が担当。
日本映画における刑事サスペンス映画で女刑事を主人公にした社会派作品は意外に少ない。これは日本の警察組織が典型的な男社会であるからかもしれない。海外においては『羊たちの沈黙』(’91)のジョディ・フォスター(FBI)や、『ファーゴ』(’96)のフセンシス・マクドーマンなど等身大のヒロインが果敢にスクリーンで活躍している。『女刑事RIKO聖母の深き淵』は、単なる事件追いのストーリーでは無く、現代女性の生き様を投影しながら緑子=RIKOという、新時代に向けての一人の女性の生き様を描いた作品である。
『女刑事RIKO聖母の深き淵』では、警視庁捜査一課の刑事までのしあがりシングルマザーとして自己の愛を模索し過去の引きずりながらエキスパートとしての仕事と母親としての自己の両面に立ち向かって行く主人公の村上緑子を演じるのは、大林宜彦監督作品『青春デンデケデケデケ』(’92)でスクリーン・デビューを飾り、近作ではサブ監督の『弾丸ライナー』(’96)、『ポストマン・ブルース』(’97)で注目される滝沢涼子である。また、RIKOの上司、安藤警部役に『大誘拐』(’91)、『きけ、わだつみの声』、(’95)の風間トオル、RIKOの元同僚、高須役に『写楽』(’95)『瀬戸内ムーンライトセレナーデ』(’97)の永澤俊夫が演じる。さらに麻生祐未、原田美枝子、刑事コロンボの声でお馴染みの石田太郎、大杉漣、鈴木一真、橋爪浩一ら演技派が脇を固める。
なお音楽を日本の伝説的レゲエバンド「ミュートビート」の元メンバー宮崎泉と藤井フミヤやUAのプロデューサーとしても知られる藤原ヒロシが担当するのも話題のひとつである。
ストーリー
神宮前署の警部補、村上緑子(RIKO)らは、インターネットのプログラマーから美少年レイプの実録ビデオを押収した。ビデオに映る被害者は目隠しされ局部はモザイクがかけられていた。何のために犯人は少年たちをレイプしたのか?。捜査を続けるうちに被害者のひとりに辿り着くが、既にその少年は自殺していた。
一方、本庁でも一連の少年レイプ事件と身代金目当ての誘拐事件の関連性から捜査一課の安藤明彦警部を中心に極秘に調査をはじめていた。
緑子は、もともとは本庁の安藤と働くエリート刑事だったが、数年前、安藤との不倫が発覚し神宮前署に左遷された。当時、同僚の高須は緑子に対して好感を持っていたが、彼女が出世のために安藤と関係を持ったのではないかという疑惑から彼女をレイプしてしまう。緑子は高須の仕打ちに”沈黙”を選んだ。不条理な男社会の警察組織。緑子は自立と再生のため裏切りと屈辱の中で刑事として生き続けることを改めて決意する。
そんな緑子の心の支えになってくれたのが神宮前署交通課の陶山麻里だった。麻里と緑子は互いに友情以上のものを感じていた。緑子は、彼のこと、仕事のこと、何でも麻里に相談した。本庁の警部補になるまでひたすら自己を捨て、安藤との関係に深く傷ついた緑子にとって麻里の存在はかけがいのない”心の癒し”だった。
一連の捜査が大きな進展を迎えた。緑子の部下、鮎川慎二刑事が、少年レイプのビデオを見直すうちに、犯人らしき人物をつきとめるが、もう少しのところで無残にも殺害されてしまう。しかも、殺害現場には緑子の指紋が残されていた。慎二とも肉体関係にあった緑子は、所轄の刑事から容疑をかけられる。さらに追い討ちをかけるように、ショックで倒れた緑子は女医から自分が妊娠していることを知らされる・・・。
村上緑子は妹、菜々子の力を借りながら2歳になる息子、敦彦を女手ひとつで育て、仕事を続けている。敦彦の父親は既に殉職していた。かつて、緑子と不倫関係にあった本庁捜査一課安藤明彦は妻との死別を機に緑子と再婚して自分の子供として敦彦を育てることを望んでいたが、緑子はかたくなに拒んでいた。
ある非番の日、緑子は菜々子に押し切られ敦彦とともに公園デビューを果す。緑子は、そこで三津田佐智子という不思議な女性に出会う。彼女の息子は、どうやら遠くの病院に入院しているらしい。敦彦との一時の団欒も束の間、ポケベルが突然鳴り、緑子は現場へ急行する羽目になる。
ホテルの密室で神田都子という女性の全裸死体が発見された。死体は一発の銃弾で頭をブチ抜かれていた。本庁は、容疑者をあららうちに三津田寿という男と辿り着いた。寿は、何とあの公園で緑子が出会った佐智子の夫だった。しかも、三津田夫妻は3年前に乳児を誘拐され未解決になっている事件の被害者だったのだ。
当時、事件を担当していたのは、かつて本庁のホープ、麻生龍太郎だったが、彼は事件直後に刑事をやめ、小さな探偵事務所をはじめていた。麻生の力を借りて事件解決に乗り出した緑子は、事件の接点が、敦彦の通う若菜保育園にあることをつきとめる・・・。
スタッフ
製作・企画:原 正人
プロデュース:山下健一郎
プロデューサー:赤井淳司、永井正夫
原作:柴田よしき
脚本:井坂 聡、田中利花
ダイアログ:筒井ともみ
撮影:佐野哲郎(J.S.C.)
照明:森谷清彦
音楽:宮崎 泉、藤原ヒロシ
キャスト
村上緑子(神宮前署生活安全課警部補):滝沢涼子
高須義久(警視庁捜査一課警部補):風間トオル
陶山麻里(神宮前署交通課巡査):中里博美
武蔵野署の女医:原田美枝子
鮎川慎二(神宮前署生活安全課課長):橋爪浩一
安藤明彦(警視庁捜査一課警部):風間トオル
麻生龍太郎(私立探偵):中原丈雄
安藤琴美(安藤の妻):麻生祐未
敦彦(緑子の息子):森 孝晃
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