ビューティフル
原題:Beautiful
隠しつづけた秘密は、しあわせへの鍵でした。 母から娘へ、娘から母へ、そして母から生まれたすべての人々に、 この幸せと感動を伝えたい。
2000年9月29日全米公開
2000年/アメリカ/112分/Dolby / SDDS /アメリカン・ヴィスタ 提供:キネティック、テレビ東京、博報堂、テレビ大阪 配給:キネティック
2002年08月23日よりDVD発売開始 2002年08月23日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年1月26日よりシネスイッチ銀座、関内アカデミーにて公開
公開初日 2002/01/26
配給会社名 0026
公開日メモ 母から娘へ、娘から母へ、そして母から生まれたすべての人々に、この幸せと感動を伝えたい。
解説
どんな王冠<ティアラ>よりも大切な、かけがえのない宝物。
その存在に気づいたとき、世界は美しく輝き出す。
自分の夢を追い求めるあまり母であることを捨ててしまったヒロイン、モナ。彼女を実の母親とは知らないまま愛くるしい少女に育っていくヴァネッサ。
ふたりが初めて親と子として出会い、本当の愛と喜びに包まれるのは、ミス・アメリカの全米決勝戦という華やかな舞台の上だった—。
2度のアカデミー賞に輝く名女優サリー・フィールドの監督デビュ一作『ビューティフル』は、失ってしまった母と娘の絆の再生を心温まるタッチで描き出し、世界中をしあわせの涙で包み込んだ感動作。全米ではベスト10入りする好成績でスタートし、女性はもちろん、母を、そして娘を思う男性たちの心をもとらえ、大ヒットを記録している。
愛情のうすい家庭で思春期を過ごしたヒロイン、モナの切実な夢はミス・アメリカになること。世界中の少女が憧れる美の王冠(ティアラ)を獲得し、人々に美しいと認められれば、自分の心の隙間も劣等感もすべて埋められ、人生を魔法のように変えられると信じていた。ところが、大人になったモナの前に立ちはだかったのは、軽い気持ちでつきあっていた男性の子供を妊娠し、未婚の母になってしまうという皮肉な現実だった。外見的には美しいけれど、人を愛することも愛されることにも不器用で、母になる心の余裕のないモナがとった選択は、母親であることを捨て、一人娘ヴァネッサを親友のルビーの子供として育ててもらうということだった。こうして娘の存在を世間にもヴァネッサ自身にも秘密にして、ミス・アメリカ優勝に向けて再スタートを切るモナ。一方、ルビーの愛情をたっぷり注がれ、可愛らしい少女に育っていくヴァネッサ。果たしてふたりが本当の親子として出会うときは訪れるのだろうか?『ビューティフル』の独創的な点は、ライバルを容赦なく蹴落とし、ミス・アメリカのコンテストを勝ち上がっていくモナの姿をユーモラスに描きながら、全米大会の決勝に向かって盛り上がる華やかなクライマックス・シーンで、母と娘の愛と絆を浮き上がらせるドラマティックな演出である。もう少しで夢が現実になりそうなとき、モナの心のなかでは今まで感じたことのないヴァネッサヘの熱い思いが高まり、激しい葛藤に引き裂かれる。そして周囲からも、ヴァネッサ自身からも生まれてくる疑惑。「わたしたち、なんでこんなに似てるの?」ヴァネッサの問いに胸を詰まらせ、まともな答えを返せないモナは、動揺を隠せないままステージに上がっていく。自分の人生でもっとも大切なことは、世界中の少女たちの偽りの憧れになること?それともたった一人の少女の温もりを受け入れること?会場の観客と全米の視聴者が固唾を飲んで見守るなか、突然、本当に自分が探し求めていたものに気づくモナの選択には、すべての人々が深い感動の涙を流し、彼女に祝福の拍手を送るだろう。そこから美しさは本当の輝きを発し、求めていた幸せがやってくる…。
主演のモナ・ヒバードを演じるのは『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』(97)でアカデミー賞にノミネートされたミニー・ドライヴァー。人の目に美しく映るということだけに執念を燃やし、母親にもなれない人間的には偏った女性モナ。しかし、その真剣さと、パワーみなぎる痛快な行動力からあふれ出るブラックなユーモアには苦笑せずにいられない。プロデューサーとして参加している妹ケイト・ドライウァーと一緒に一年がかりで役作りに取り組んだというだけあって、そんな複雑なモナのキャラクターを切なさと滑稽さの同居する演技によって、憎めない魅カ的なものに変えてしまうことができるのは彼女をおいてほかにない。モナの娘ヴァネッサは、この映画のもう一人のヒロインである。ヴァネッサ役のハリー・ケイト・アイゼンバーグがスクリーンに登場した途端、映画は瑞々しく輝きはじめる。『ポーリ—』(98)でデビュ一し、アカデミー賞ノミネート作『インサイダー』(99)にも出演。また、ペプシ・コーラのCMには2年間続けて起用され、全米では『A.I.』のハーレイ・ジョエル・オスメント以上に人気がある。母親と一緒に脚本を読んで出演映画を吟味するハリーは、自分でも脚本を執筆。まさに次世代のアメリカ映画を担う天才子役である。
モナのすべてを受け入れ、彼女の夢を叶えるただ一人の協力者として、ステージ衣装のデザインから、娘の母親役までかってでる大親友ルビーに扮するのは、『チェイシング・エイミー』(97)『ビッグ・ダディ』(99)のジョーイ・ローレン・アダムス。少女時代のモナが貯金をはたいて受講するビューティ・スクールの講師ヴァーナ・チクルス役には、キャスリーン・ターナー。元ミス・コンテスト優勝者で現在は少女達にステージでのターンの仕方や美しい歩き方を教えている皮肉な役所に、彼女のゴージャスな存在感がぴったりとはまり、笑いを産む。
監督のサリー・フィールドはこのデビュ一作で、良識スレスレのところで大胆不敵な行動をする新しいタイプの女性像を創り出した。ブラックユーモアのセンスで笑いをとりながら、次第にどっぶりとそのヒロインに共感させてしまう演出の冴えは素晴らしい。『ノーマ・レイ』(79)と『プレイス・イン・ザ・ハート』(84)の演技でオスカーを受賞した女優である彼女は、カメラのこちら側で女優たちから最高の演技を引き出す監督としてもアカデミー賞クラスであることを証明した。また、『ビューティフル』の最高の見せ場は、やはり全米一の美女を選ぶラストのミス・アメリカ・コンテストの華やかなショーのシーンである。一人一人特技を披露したり、スピーチをしたり、美しいだけではない知性をアピールするステージ。このステージを彩る華やかな衣装デザイナーやプロダクション・デザイナー、そして音楽監督など、ハリウッドの超一流のスタッフが集結し、クライマックス・シーンを最高潮に盛り上げている。
ストーリー
自分に無関心な母と定職のない義父と生活をする幼いモナ・ヒバードは、決して美しいわけでもないのに、ミス・アメリカになることを本気で目指している。ミス・アメリカになれば、誰からも愛され、全てを手に入れて、今の状況から抜け出ることができると信じて。
モナは誰の援助も応援もなくお金を貯め、ビューティ・スクールに登録し、地元の子供たちの大会に参加する。けれども、いつもトップ10にすら選ばれないし、他の子供達と仲良くする気もなく、母親は彼女の夢をサポートしょうとしない。学校でも友達のいなかったモナは、洋裁が得意で地味なルビーに出会い、自分の衣装デザインをしてくれることになった彼女と心からの親友になる。ルビーの優しい祖母もモナのよき理解者として温かく彼女を迎えてくれた。
時がたち、モナは美しく、が、相変わらず自分勝手な女性に成長していた。地元の看護施設で働くルビーはモナと同居し、コンテストの衣装作りなど何かと世話を焼いていた。そして二人のもう一人の同居人、7歳になる可愛い少女ヴァネッサがいた。彼女はルビーの娘として育てられていたが、顔も勝気な性格もモナそっくり。実は、ヴァネッサの本当の母親はモナで、ただ男たちにちやほやされたいために付き合っていたボーイフレンドの子供を生み、未婚の母になっていたのである。だが、モナの一生の夢、ミス・アメリカ・コンテストには生活保護者と子供のいる女性は参加出来ない。そのためにルビーが母親役をかって出たのだ。ヴァネッサは、モナが自分の実の親だとは気づかず、モナのことを嫌い、手におえない母親の親友だとしか思っていなかった。
数々の努カやライバルを蹴落とす裏工作の末、ついにモナはミス・イリノイに選ばれた。ミス・アメリカの本大会出場のキップを手に入れたのだ。しかし、その後、ルビーが介護していた老人が睡眠薬自殺をする事件が起こり、状況証拠からルビーが疑われたことで、二人の協力体制が崩れてしまう。ルビーは刑務所に入れられ、モナとヴァネッサは二人で生活することを余儀なくされる。モナを嫌っているヴァネッサだったが、ある日モナの両親のモナヘの冷たい態度に腹をたて、モナをサポートし始める。そして、モナはそんなヴァネッサを周囲の目にさらす危険も顧みず、本大会につれていくことにする。
いよいよミス・アメリカの本大会。モナのかつてのビューティーコンテストのライバルで、現在はキャスターになっているジョイスが、ヴァネッサのことをかぎつけ、モナをおとしめるスクープをTVで発表するチャンスを虎視眈々と狙っていた。一方、本当の娘との二人だけの生活が、モナの心に変化を呼び起こしていた。本当に欲しいものは世界中の少女の偽りの羨望?それとも一人の少女の優しいぬくもり?モナが勝利の栄光をつかむことよりも、ヴァネッサに自分が母であることを明かすことを選んだ時、ずっと求めていたものを手にすることが出来たのだ。
スタッフ
監督:サリー・フィールド
脚本:ジョン・バーンスタイン
製作:ジョン・バートッリ、B・J・ラック
製作総指揮:ディック・ヴァン、ケイト・ドライヴァー
ウェンデイ・ジャフエット、パリー・ロンドン
ベント・バウム、ステイーヴン・ステイブラー
マーチィン・フィンク、ディヴィット・フォレスト
ボー・ロジャース
撮影:ロバート・イェーマン
プロダクション・デザイン:チャールズ・ブリーン
編集:デブラ・ニ一ル=フィッシャー(ACE)
音楽:ジョン・フリッゼル
衣装デザイン:クリシ・カルヴォニデス=ダシェンコ
共同製作:マーク・モーガン、ジョン・バーンスタイン
ジェイド・ラムジー
キャスティング:アマンダ・マッキー・ジョンソン、キャシー・サンドリッチ
ユニット・プロダクション・マネージャー:ランジー・パーカー
第一助監督:ジョン・二一ルソン
第二助監督:ウェンディ・ランパッシ
アソシエイト・エディター:パトリック・J、ドン・ヴィト
ポストプロダクションスーパーバイザー:リサ・ロジャー
アート・ディレクター:レスリー・トーマス
キャスト
モナ:ミ二一・ドライヴァー
ルビー:ジョーイ・ローレン・アダムス
ヴァネッサ:ハリー・ケイト・アイゼンバーグ
ヴァーナ・チクルス:キャスリーン・ターナー
ジョイス・パーキンス:レスリー・ステファンソン
ローナ・ラーキン:ブリジット・ウィルソン
ワンダ・ラブ:キャスリーン・ターナー
ランス・デサルヴォ:マイケル・マッキーン
ミス・アメリカ・ミス・ホスト:ミゲーリー・コリン
ネドラ:リンダ・八一ト
ラーディ:ブレント・ブレスコ
モナ(12歳):コリーン・レニントン
ルビー(12歳):ジャックリーン・スタイガー
アルベルタ:シルヴィア・ショート
クララ:八一タ・ウェア
メリンディ・リンディブロック:アリ・ランディ
ミス・アラバマ:ロビン・レネ
ミス・ハワイ:チャンティ・ティウ
ミス・ミネソタ:サマンサ・ハリス
ミス・ウェスト・バージニア:ドーン・ハウサー
ミス・アイオワ:ジュリー・コンドラ
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