2016年/日本/54分/配給:Au Praxinoscope

2017年8月5日(土)よりユーロスペースにてロードショー

(C)Yamamura Animation

解説

2002年『頭山』が、第75回アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネートで注目を集め、昨年度からは映画芸術科学アカデミー会員となるなど、世界的に活躍するアニメーショ ン作家・山村浩二の最新短編集のロードショー公開が、この度決定致しました。
最新作『サティの「パラード」』は、1917年バレエ・リュスのパリ初演100年を記念して制作。奇しくも今年2017年は日本のアニメーション誕生100年の年でもあります。エリック・サティの曲名「右と左に見えるもの(眼鏡なしで)」から着想を得たプログラムタイトルを冠した『山村浩二 右目と左目でみる夢』は、映画的な構造を離れ、アニメーションという枠をも超えた表現へ踏み出す山村の次のステージをみせてくれる必見のプログラムです!

怪物学抄(2016/6分10秒/音楽:ヘンデル)
Fig(無花果)(2006/4分31秒/音楽:山本精一)
鶴下絵和歌巻(2011/1分56秒/サウンドデザイン:笠松広司)
古事記 日向篇(2013/12分06秒/音楽:上野耕路)
干支 1/3(2016/2分00秒/音楽:冷水ひとみ)
veresh(2013/1分28秒/音楽:モーリス・ブラックバーン)
鐘声色彩幻想 (2014/3分38秒/音楽:モーリス・ブラックバーン、エルドン・ラスバーン)
水の夢(2017/4分15秒/音楽:キャサリン・ヴェルヘイスト)
サティの「パラード」(2016/14分12秒/音楽:エリック・サティ

ストーリー

<『サティの「パラード」』(2016年/14分12秒)>
詩人、映画監督のジャン・コクトー、画家ピカソ、音楽家エリック・サティがバレエ・リュスのために創作した舞台「パラード」は、1917年にパリで発表された当時、サーカスや大道芸、映画など世俗的な演芸をバレエの舞台に乗せたことでスキャンダルを巻き起こした。サティの音楽は、まだフランスに入ったばかりのラグタイムジャズやシャンソンのメロディーなどをコラージュして、現実の騒音、タイプライターやくじ引きの装置、ピストルの音などを実際にならすなど斬新なものだった。サウンドトラックは、オランダのサックス奏者で作曲家のウィレム・ブロイカーの編曲、演奏による「パラード」を、91年に録音された音源をそのまま何も足さず使用している。ウィレム・ブロイカーはジャズ関係者には知る人ぞ知る音楽家で、2010年に亡くなるまで、10人編成のオーケストラ・ウィレム・ブロイカー楽団とともに西ヨーロッパ全域、ロシア、オーストラリア、インド、中国、日本、アメリカとカナダなど各国をツアーし、音楽教育分野のイノベーターでもあり世代と国境を越えて音楽界に影響を与えたアーティストだ。
もともとジャズの要素と世俗的な内容を盛り込んだ「パラード」に、ブロイカーのライブ感溢れる野生的な演奏はピッタリで、その演奏に魅了された山村浩二が、百年前のサティの舞台音楽をアニメーションで再現する構想を得たのが、本作である。サティ生誕150年の 2016年に世界83の映画祭で上映され人気を博し、13の賞を受賞。ついにここ日本での一般公開となる。

<『怪物学抄』(2016年/6分10秒)>
澁澤龍彦的ヨーロッパ中世の怪物学の雰囲気を湛えた、怪物たちの百鬼夜行。「筋肉質な暗闇」 「レントゲンケーキ」など奇妙な言葉に合わせ展開する怪物たちの饗宴。未知の怪物の百科全書が繰り広げられる架空の舞台は、見るものと見られるものの関係を揺るがす。アイディアの元は、山村浩二が2013年ごろから手帳にスケッチしていた怪物のイラストと、翻訳されて奇妙に聞こえる言葉に興味をもって発想、創作していた断片的な言葉遊びのメモが、サティの「パラード」制作直後に結びつき、アニメーションとして完成した作品。音楽は、中世ヨーロッパの印象を表現するため、ヘンデルのチェンバロ曲を使い、冷水ひとみのアレンジと演奏で実現した。映画的な構造を離れ、羅列されて、言葉と絵を並列にあつかう見せ方は、映画の二次元性に注目する山村が新しい表現に挑戦した作品といえるだろう。また単にお気に入りの怪物を見つけ楽しむこともできるキュートで楽しい作品でもある。アニメーション完成後すぐに絵本化が決まり、今回映画公開と合わせ出版されることが決まった。

スタッフ

キャスト

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https://www.youtube.com/watch?v=G8Ju7slNm0s&feature=youtu.be
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