原題:Maybe Again Tomorrow

2001年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭出品

2000年/日本/87分/ 「あしたはきっと・・・」製作委員会提供 配給:大映

2001年9月21日DVD発売&レンタル開始 2001年9月7日ビデオ発売&レンタル開始 2001年5月19日より新宿シネマカリテにてレイト・ロードショー公開 2001年4月28日よりワーナー・マイカル・シネマズ茨木、東岸和田にて公開

公開初日 2001/04/28

配給会社名 0058

公開日メモ 吹石一恵主演第1作、三原光尋監督のさわやかな青春映画

解説


17歳の夏は、とっても不思議な夏でした。
『20世紀ノスタルジア』の広末涼子、
『がんばっていきまっしょい』の田中麗奈のように、
『あしたはきっと…』では吹石一恵がヒロインを伸びやかに演じ、
その魅力を余すところ無くスクリーンに映し出します。

吹石一恵初主演映画
映画『ときめきメモリアル』で鮮烈にデビュー、明石家さんま・木村拓哉ら大物タレントとのCM・ドラマ共演で一躍アイドルとして注目を集めた吹石一恵。新世紀に大学生となる彼女が高校生活最後の年に選んだテーマは「青春ファンタジー」です。ひと夏の恋と不思議な出逢いを通して、17歳の女の子が成長する姿が爽やかに、そしてちょっぴりノスタルジックに描かれます。

“スキ”って言えた、夏休み
誰もが忘れることのできない「初恋」の想い出。たとえそれが片思いに終わったとしても、恋することは素敵なことだと信じたい。ヒロインの胸に迫る切ない思いは、美しい心象風景となって私たちの心を癒してくれます。この映画をすべての恋する人たちに贈ります。心の宝箱に大切にしまっておいてください。そして時々取り出して、懐かしんで欲しいのです。

ひかり輝く青春映画
監督はシリアスな青春映画からアクションコメディまで、幅広いジャンルで次々に快作を発表する俊英 三原光尋。今回は気心の知れたベテランスタッフや期待の若手キャスト沢木哲、尾野真千子らと共に、学生時代に慣れ親しんだ大阪、こまがたに駒ヶ谷を舞台に「17歳の恋」を丁寧に描いています。丘陵地帯にひろがる葡萄畑ののどかな風景と、ヒロインのファンタジックな体験は初夏の風を感じさせてくれます。また、国内のみならず海外でも活躍するピアニスト仲道郁代が演奏するメロディも、本作の大きな魅力のひとつとなっています。(カラー・ビスタ・上映時間88分)

ストーリー

広がる青空のもと、山裾に建つ高校。
屋上に人影 − 女の子が一人、ぼんやりと景色を眺めている。
「それはあたしにとって、最高の夏休みになるはずだった。まさか、こんなことになるなんて……思ってもいなかった。」

主人公・水沢夏音は、緑となつかしい町並みが残る、葡萄の産地に暮らす17歳。
父、母、祖母、妹という家族構成で、実家は葡萄園を営んでいる。
仲良しのおばあちゃんは、今入院中。
このところ容態が芳しくなく、ずっと眠り続けている。
心配な夏音は、毎日学校の帰りに病院へ—。
側にいても、おばあちゃんは目を覚ます気配がない。
白い病院の壁、窓から差し込む静かな光、遠くに聞こえる雑音—。
こんな風になってから、もう3カ月—。家族も慣れてきた。
夏音はおばあちゃんの寝顔に話しかける。
他愛のない学校の出来事や、誰にも話すことのできない悩み—。

季節は初夏—。
夏音は空手部に所属しており、まもなく開かれる大会に向けて練習の毎日を送っている。
で、その実力の程は……?
素質はいいものを持っているが、本番に弱く、いつも実力を発揮できぬまま終わってしまう。
欲がないと言われる。今一歩の所で、もういいやと思ってしまう。
人を押し退けてまで、勝とう!とは思わない。
よく遅刻するのも、そんな気持ちの現われかもしれない。
「水沢。遅刻のペナルティ分かっているな。グラウンド5周。はい、ご苦労さん。」
道場に着くなり、顧問教師の西沢の声が飛んだ。
「おすっ」
「女子が『おすっ』って言うな。ハイでいい。ハイで」
「ハイ!」
グラウンドに向かう夏音に、親友の藤野香織が肩をすくめてみせた。

3年の女子部主将・倉持美喜子の気合の入った声が、一際大きく聞こえる。 倉持美喜子は、県のベスト8に入った選手で、女子の中で一番強い。
男子部員も一目置く存在だ。
夏音達2年生は、厳しい3年生への反発もあって、1年生にはざっくばらん、友達のように接している。たまにアイスを奢って、先輩風をふかせるくらいだ。
「たかが1、2歳しか違わないのに、規律だ礼儀だって……どーだっていーじゃんね」 楽しくやるのが一番!

もう一つ、夏音がこの堅苦しくて、だるい空手部を続けるのはワケがあった。 —恋だ。
片想い…。高校に入ってからずっと好きな先輩がいる。
3年の男子部主将、谷口高貴。
しかし、思いを伝えるどころか、谷口に対しては、ついぶっきらぼうな態度をとってしまう。——全然、可愛くない。きっと、ヤな感じだ。

そんなある日、親友の香織が、夏音の幼なじみ寺島裕司に告白したいと言い出した。 裕司と夏音は家が隣同士。
家業が同じ葡萄園ということもあって、子供の頃からのけんか友達だ。 小さい頃はよく泣かした。
とにかく夏音がキューピット役を引き受け、香織と裕司はめでたくカップルになった。 「よかったじゃん」と言いながら、夏音の心は複雑だ。

「夏音も先輩に告白しちゃいなよ」
香織達友達が、はっぱをかける。でも部内で告白してフラれたら、相当カッコ悪い・・・。 夏音は病院の窓から外を眺めながら、ため息をつく。
「おばあちゃん、どうして人は人のことを好きになったりするんだろ・・・・」

ある日、友達とのトランプゲームで負けた夏音はペナルティで好きな人にその思いを告白することになってしまう。
谷口先輩に告白?!。
考えるだけで、胸がドキドキだが、なんとなく先輩も夏音には気がありそうな素振り・・・。
ここで勇気を出せば自分も変われるような気がする・・・・。
もしかすると、憧れの先輩と二人で夏祭に行けるかもしれない・・・。

皆の見守る中、部活終わりの自転車置き場でやっとの思いで谷口を呼び止める。
「あの・・・先輩、好きです!」
「ごめん水沢。悪いけど・・・・今付き合っている子がいるから・・・」

あ〜あ・・・私の人生はこの夏で終わった。気分は限りなく暗く、どこまでもどこまでも落ち込んでいく・・・。おまけに谷口先輩の彼女はなんとあの倉持美喜子先輩だった。 楽しいはずの夏祭が・・・・
「神様・・・。もう一回やり直させて。今日という日をナシにして!」

「本当にそうしたい?」

振り向くと、浴衣姿の見慣れない女の子が立っていた。
あなたは誰?
ヘンな色の夕焼け空が二人を包む・・・。

目が覚めるといつもと同じ朝。しかし、新聞を見ると昨日と同じ日だ!一体どうなってるの。

放課後。
たきつける香織達に、告白中止宣言をする夏音。
ふられると判っているのに、告白する馬鹿はいない・・・。

自転車置き場で谷口先輩と出くわす夏音。でも告白はしない。
「先輩・・・。自転車、乗せてもらえませんか?友達と約束してて遅れそうなんです」
「え・・・俺も約束があるんだけど」
「先輩、お願いします。一生のお願い!」

先輩の自転車の後ろに乗っている夏音。先輩の背中・・・。
心臓の音を聞かれないことを願いながら、ちょっとだけ顔を寄せてみる。
今だけいいよね。最後の思い出・・・。

二人乗りの甘い記憶・・・その夢心地のままで一人で夏祭に行く夏音。
告白もしていないのになんだかウキウキしている夏音に香織は首を傾げる。 「ね、夏音、ほんとは他に好きな人がいるんじゃないの」

夕暮れの葡萄畑で花火を見ている夏音。気がつくとあの浴衣姿の女の子がいる。
「どう?今度はうまくいきそう?」
今度ってどういうこと・・・?
「やり直してうまく行った?」
夏音が同じ日を2度繰り返したことを、女の子は知っているみたいだ。

家に帰ると、しばらくして裕司が来た。
久しぶりに子供の頃の思い出話をする二人。心が緩んで、つい夏音は泣き出しそうになる。
「どうした?大丈夫かよ」
そっと裕司が肩を抱いてくれる。
その時、暗闇でかすかな音がした。
−香織だった。
「あたし、判っていた。ずっと、そうじゃないかって思ってた・・・」
「違うよ、香織。誤解だって・・・」
走り去る香織の後ろ姿—ただ、呆然と立ちすくむ夏音と裕司。

翌日。空手部の練習が始まる時、部員の一人が道場に駆け込んできた。
「大変。倉持先輩、腕、怪我したらしいよ」
あたしが自転車で送ってもらったから、谷口先輩は倉持さんとの待ち合わせに遅れて・・・・。

学校の屋上に一人立つ夏音。ぼんやりと景色を眺めている。
「まさか、こんなことになるなんて…」
見渡すと、一面の葡萄畑が、日の光の中キラキラと照り返っていた。
こんなのダメだ。どうしたらいい・・・。

その時、遠くから自分を見詰めているあの浴衣姿の女の子が・・・。

そうだ!

「お願い!もう一度時間を戻して!」

スタッフ

製作:越智常雄、後藤正恵、高野力
プロデューサー:藤門浩之、福井政文、多井久晃
原案:北野勇作、三原光尋
脚本:高橋美幸
監督:三原光尋
撮影:本田茂
照明:高坂俊秀
録音:永口靖
編集:宮島竜治
音楽:藤田辰也
(オリジナルサウンドトラック  シネマ・モンスーン)
ピアノ演奏:仲道郁代
衣装・ヘアメイク:山咲とも
助監督:武正晴
プロデューサー補:北田由利子
スチール:清水奈緒
宣伝:稲葉一隆
製作:讀賣テレビ放送株式会社、株式会社IMAGICA
株式会社ワコー、オフィスウエンディ
写真協力:株式会社ワニブックス
配給:大映株式会社2001
「あしたはきっと・・・」製作委員会

キャスト

吹石一恵
沢木哲
大島由香里
小島美保
駒勇明日香和田愛美
佐藤隆太
吉田朝
留美
尾野真千子

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