原題:TUVALU

彗星のごとく映画界に登場したヴァイト・ヘルマー監督、世界中の映画祭で賞賛の嵐!

FIPRESCI賞 ゲント映画祭 観客賞 キエフ映画祭 イーストマン・コダック奨励賞 ホーフ映画祭 最優秀装置賞(舞台装置家協会) ホーフ映画祭 最優秀編集賞 マガジン・映画編集 観客賞 リューネン映画祭 プリ・デュ・ラ・ジュネス(青少年賞)チュービンゲン映画祭、フランス映画 バイエリッシャー映画賞  新人監督 フェスティバル「フェイス・オブ・ラブ」モスクワ ドニ・ラバンとチュルパン・ハマトヴァに俳優賞 フェスティバル「フェイス・オブ・ラブ」モスクワの特別審査員賞 コダック・ビジョン・アワード 最優秀撮影賞 スラムダンス ザールビュッケンのマックス・オフュルス賞の観客賞 ポルト映画祭 特別審査員賞 ポルト映画祭 観客賞

ドイツ2000年06月22日公開

1999年/ドイツ映画/92分/35mm/白黒&カラー シネマスコープ/ドルビーSR/配給・宣伝:アルシネテラン

2001年11月7日DVD発売/2001年11月7日ビデオ発売&レンタル開始 2001年2月17日より春・シアター・イメージフォーラムにて独占ロードショー

公開初日 2001/02/17

公開終了日 2001/04/27

配給会社名 0013

公開日メモ 彗星のごとく映画界に登場したヴァイト・ヘルマー監督、世界中の映画祭で賞賛の嵐!

解説


彗星のごとく映画界に登場したヴァイト・ヘルマー監督、世界中の映画祭で賞賛の嵐!

1999年、ドイツ映画界から1人の映画監督が長編デビューを果たした。彼の名はヴァイト・へルマー。ヴィム・ヴェンダースを師と仰ぎ、短編映画では50個以上の受賞歴を持つ彼が、10年以上企画を温めてきた意欲作「TUVALU」をついに発表したのだ。その驚くべき革新的なスタイルと語り口、醸し出す独特な雰囲気によって、この不思議なファンタジーはモスクワをはじめ、キエフ、スラムダンス、ゲント、リューネンなど各国の映画祭で15以上の賞を獲得、マックス・オフュルス賞も受賞した。こうして、ヴァイト・ヘルマーという新人監督と本作「TUVAlU」の評判は、世界中で次第に高まっていったのである。

革新的なセピア色の映像とグローバルな言語

本作の中で描かれるのは、時間も空間も超越した他に2つとしてない不思議の国。ブルーやグリーンなど様々に変化するセピア色の映像はモノクロームで撮影したフィルムを、後から少しづつカラーで包付けしたという、ヘルマー監督こだわりの出来。1940:年代のライトを用いることによって柔らかな光を演出したり、ガラスをカメラの前に置くことで一部の映像を消してしまうといったアイディアも採用した。また登場人物たちが話すのは、おおげさなジェスチャーを交えた、英語やフランス語など幾つかの言語を組み合わせたような言葉。そこにはまさに、新しさの中にどこか昔ながらの懐かしさも感じられる、ヘルマー監督の独特な世界観が息づいているのだ。

世界中から集められた不思議の国の住人たち

いつか船長になることを夢見ているアントン役を演じるのは、フランスの個性派俳優で『ポンヌフの恋人』などレオス・カラックス作品の常連ドニ・ラヴァン。彼が恋するキュートな女の子エヴァに扮するのは、『ルナ・パパ』でその愛くるしい存在感を印象づけたチュルパン・ハマートヴァ。その他のキャストも実に多彩な顔ぶれ。ヘルマー監督は国際的なキャスティングにしょうと、数年かけて12カ国でカメラテストを行い、その結果、表情豊かなインパクトのある俳優たちが世界中から集められた。フランスからはドニ・ラヴァンの他、アントンの父親カール役のフィリップ・クレー、アメリカからはアントンの兄グレーゴル役のテレンス・ギレスピー、ルーマニアからはマルタ役のカタリナ・ムルジア、そしてチュルパン・ハマートヴァはロシア出身。奇妙な室内プールに集う登場人物それぞれが個性的で、そのアンサンブルは絶妙である。

遥かなるツバルをめざして攻防は始まった…。
ツバルというのは、南太平洋に浮かぶ実在の島の名前で、”8つの島”という意味。エヴァの父親が彼女に遺した地図に描かれていたのがツバルであり、日頃から船長になるのを夢想していたアントンは、その地図を見て、遥かかなたの島に憧れるようになったのだ。一方、エヴァも父親の意思を継ぎ、ツバルを目指すことに。ちょっとした誤解がもとで、船旅に必要なピストンをめぐり攻防を繰り広げるアントンとエヴァ、そしてアントンに敵意を抱く兄グレーゴルの陰謀。1本のピストンが更なる事件を招いていく。本作は、まだ見ぬ国への思いを募らせながらいっか旅立つ日を夢見る、アントンとエヴァの冒険ファンタジーである。

ストーリー



どこか遥か遠い時代の、とある国のおはなし。ある荒れた土地の一角に、かつての賑わいをすっかり失ってしまった室内プールがある。地下室には、プールの水圧と温度調節を行う古い機械が蒸気をあげながら稼動していた。機械を操るピストンを管理するのは、プールのオーナーで盲目のカール。いつも膨らませたスイムベストを身につけ、威厳を保っている。その息子アントンは父親の手伝いをしながらいつか船長になって航海の旅にでることを夢見ている。今だプールの外へ出たことのないアントンは、見晴らし台から双眼鏡を覗き、辺りの様子を眺めるのが外の世界との唯一の接点だった。
 プールの常連客は数える程しかいない。泳げない老婆と元船長だというグスタフ氏、それから寝床のないホームレスの面々。アントンと受付係のマルタは、今もかつてのようにプールが繁盛していると信じ込んでいるカールのために、毎日テープレコーダーで喚声や水音を流し、バタンバタンとドアを叩いて人の気配を作り出す。こうしてカールは何の疑いも持たずに監視員の役目を果たしているのだ。
 ある日のこと、グスタフ氏が娘のエヴァを連れてプールにやって来た。若い女の子など見たことのないアントンは、のぼせ上がって一目惚れ。エヴァの方も、おどおどした不思議な青年に興味を抱く。スーツに身を包んだアントンの兄グレーゴルが、高級車で父親のカールを迎えに来た。2人の行き先は、プールから少し離れた荒地に立つアパート。プールの再開発プロジェクトを企むグレーゴルは、邪魔なアパートを取り壊そうとしていたのだ。見情らし台から父親と兄が向かう先を望遠鏡で覗いていたアントンが目にしたのは、グスタフとエヴアの姿。しかもグスタフは爆破寸前のアパートの中にいる。アントンはパチンコでエヴァにそのことを知らせ、間一髪グスタフは助けられた。グレーゴルは爆破の成功に得意顔で、父親に札束をちらつかせる。
 その晩、ノックの音にアントンがドアを開けると、常連のホームレスたちと一緒にグスタフとエヴァの姿があった。アパートを爆破されたため、住む所がなくなったのだ。次第に親しくなっていくアントンとエヴァ。しかし、そんな2人の仲睦まじい様子を、グレーゴルは嫉妬の思いで見つめていた。

そんな折、事件は起きた。グレーゴルが天井から投げ込んだ石が、プールめがけてまっさかさまに落下、その石をキャッチしょうとしたアントンの努力も空しく、グスタフに直撃したのだ。そのまま彼は還らぬ人に。アントンのせいだと思い込んだエヴァは、グレーゴルが手配した救急車に乗り込み、アントンを睨みつける。どうしていいかわからないアントン。
追い討ちをかけるように、プールの存続も危うくなってくる。死人を出してしまったことで、警官と監視官により事故現場が検証され、プールの管理状態が改善されない限り、営業ができなくなったのだ。なんとしても次の検査にパスしなければならない。
 グスタフはエヴァに小さな船とツバル島の地図を遺していた。ツバルヘの航海を夢見るエヴァ。しかし、船を長い船旅に耐えるようにするためにはピストンによって稼動するよう改良しなければならない。そして、ピストンはプールの地下室にある機械のピストンから得るしかない。

アントンはプールにとって一番大切なピストンを持ち去ろうとしているエヴァの姿を目にする。下水道に逃げるエヴァをアントンは追いかけ、2人はピストンをめぐって揉み合いに。とうとうアントンはピストンを奪い返す。しかし無意識にエヴァの胸に手を触れていたアントンは、彼女からのキスに頭が真っ白になっていた。気がつくと、ピストンは持ち去られた後。今までプールから一歩も外に出たことがないアントンは躊躇う。しかし今は緊急事態。勇気をふりしぼってグスタフの船へと向かう。眠っているエヴァを横目に、ピストンを取り返す。そして、アントンは机の上の地図に気づき、”ツバル”の地形をそっと写し取った。
 第2回目の検査も迫ったある日、グレーゴルがプールの救済のためだと言って、最新型の入場券自動販売機を持ってきた。テクノロジー、システム、プロフイットという名の機械はお金を入れるだけで人場券が出てくるスグレモノ。しかしアントンはマルタの仕事がなくなってしまうのではないかと心配顔。カールは激怒し、その機械を思い切り押し倒して壊してしまった。検査当日。アントンとマルタはホームレスたちの協力を得て、なんとか監視官の目をごまかそうとしていた。しかし一方では、グレーゴルが常業停止をもくろみ警察官を気絶させてニセモノになりすます。アントンたちの味方の警察官は、目を覚ますと監視官の頭をポカリ。ニセの監視官になりすます。そんな状況で2回目の検査は始まった…。

スタッフ

監督:ヴァイト・ヘルマー
脚本:ミヒャエラ・ベック
撮影:エミール・クリストフ
プロダクションデザイン:アレキサンダー・マナッセ
音楽:ユルゲン・クニーパー
音響効果:ゴラン・ブレゴヴィチ

キャスト

ドニ・ラヴァン、
チュルパン・ハマートヴァ
フィルップ・クレー
カタリナ・ムルジア
テレンス・ギレスピー
E.J.カラハン

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