原題:The Producers

奇才メル・ブルックス監督のデビュー作遂に日本初公開! 元祖おバカ映画

1969年アカデミー賞 オリジナル脚本賞受賞・助演男優賞候補(ジーン・ワイルダー) 1969年ゴールデン・グローブ 主演男優賞ミュージカル/コメディ部門候補(ゼロ・モステル)脚本賞候補.(メル・ブルックス) 1969年全米作家協会賞(WGA) WGA映画脚本賞受賞(メル・ブルックス) WGAアメリカン・コメディ映画脚本賞候補(メル・ブルックス) 1996年国立映画保存部国家映画認定 2000年AFI(全米映画組合)選出コメディ映画ベスト100第11位

全米1968年03月18日公開

1968年/88分/パテカラー/1:65ヴィスタ 日本語字幕:稲田嵯裕里 配給:ザジフィルムズ

2007年08月09日よりDVDリリース 2005年05月27日より〈期間限定出荷〉DVDリリース 2001年1月1日よりシブヤ・シネマ・ソサイティにてレイト・ロードショー!

公開初日 2001/01/01

公開終了日 2001/02/23

配給会社名 0089

公開日メモ 奇才メル・ブルックス監督のデビュー作遂に日本初公開!元祖おバカ映画

解説


世紀の大傑作 高橋克彦(作家)
 『プロデューサーズ』を世紀の大傑作と言い切ることに躊躇はない。いったい何度見ては笑い転げ、筋立ての上手さに感嘆したことだろう。メル・ブルックスは掛け
値なしの天才監督だが、その彼の文句なしの最高作品である。これが日本で劇場未公開だったと知って正直ショックを受けた。私の暮らす岩手はともかく、東京では必ず上映されたものと思い込んでいた。だが、それでこの作品に対する日本での評価の低さやソフト化における軽い扱いの理由が分かった。未公開ではまともな映画評も行われないし、一般の反応も確認できない。ソフト化への逡巡も当然というものだ。しかし……鑑識眼が足りない。ソフト化に携わった人たちは少なくとも製作の前に何度も見たはずだ。価値を見抜けず、そこらの三流映画と同一と見倣してしまったのだろうか。私なら世間の評価がどうであれ、20世紀の大傑作と銘打って普及運動に取り組む。これより面白い映画があったら勝負してきなさい、という感じだ。確か28、9年ほど前にテレビの深夜放送で見たのが最初で、以来、無数の映画を見てきたのに、この作品を超えるものにほとんど出会っていないという事実が大傑作であるのを証明している。つい最近、英国式ブラックユーモア満載の『モンティ・パイソン』シリーズが完全DVD化されたのを機会に購入し、不眠不休で笑いを堪能させて貰ったが、それだとて『プロデューサーズ』の個性にはかなわない。笑いの深みと人間描写に欠けている。派手さや奇想天外という意味でもこちらに軍配が上がる。 ゴージャスさと怪優による怪演は喜劇に付き物であるけれど、まさにこの映画はそのオンパレードで、そこにもメル・ブルックスのしたたかな才能を窺い知ることができる。ありがちな嵌め込みにせず、必要な伏線や当然の展開としてその場面を持ってくる。オーディションの際の仰天のフラワーソング。本番導入を華麗に彩る悪趣味とも言える圧倒的なヒトラー賛歌、アホな美人秘書が無心で踊りまくるゴーゴー、すべてが結末に繋がる伏線だ。こんなに計算され尽くした喜劇は他にない。ついでだが「ドイツとヒトラーの春」という挿入歌は、嬉しいことがあると無意識に口ずさむ私の愛唱歌となっている。この映画を50回以上も見ていると自然に覚える。
 ああっ、私もこの映画を大きなスクリーンで見てみたい。30数年を経て『プロデューサーズ』の真価が問われる瞬間となった。そこに立ち会いたいという気が無性にしている。

ストーリー


演劇プロデューサーのマックス・ピアリストック(ピアリー/ゼロ・モステル)は、ここのところ落ち目。かつてはブロードウェーの公演で成功し、高価なスーツを着て高級車を乗り回していたこともあったが、今は金に困っている。でっぷりと太ったピアリーの特技はバアさまキラー。老婦人たちにうまいことを言っては小切手を巻き上げている。
 折しも一人のバアさん相手に“伯爵婦人と運転手”ごっこで盛り上がっていると、見知らぬ若い男がやってきた。W&M事務所の会計士と名乗ったこの男は、レオ・ブルーム(ジーン・ワイルダー)で、帳簿の整理をするために来たのだ。この男もヘンなやつで、他人と打ち解けることができない。赤ん坊のころから肌身離さず身に付けているという毛布の切れっ端がないとパニックに陥るという癖がある。
 芝居の決算報告書を調べていたレオは、2000ドルの使途不明金を発見する。どうやらピアリーが遊んで使ってしまったらしい。「詐欺罪になりますよ」と言いながら、レオは金儲けの方法を考え付く。それは金を集められるだけ集めて、公演を失敗させてしまえばいいということだった。公演が成功すると投資者に金を返さなければならない。返さなければ詐欺罪で刑務所行きだが、公演が失敗すれば金は返さなくてもいい。「本当のワルなら100万ドルだって集めますよ」
 そうかッ!と思わず膝を打ったピアリーが考えた手はこうだ。まず最悪の脚本を見つけ、最悪の舞台監督と俳優を探し、バアさんたちから大金を集めてブロードウェーで公演、失敗したらすぐに打ち切って金を持って南米のリオにとんずらするというものだった。
 レオを抱き込んだピアリーは、最悪の脚本を発見した。「ヒトラーの春」という大駄作を書いたドイツ人のフランツ・リーブキン(ケネス・マース)をおんぼろアパートに訪ねると、ナチスのヘルメットをかぶって屋上でハトの世話をしていた。ヒトラーおたくのリーブキンはブロードウェー公演の話に大感激。続いて史上最悪と言われる演出家のロジャー・デプリー(クリストファー・ヒューイット)に会いに行くと、女装したデブリーはレオが気に入って演出を快諾。ヒトラーを選ぶオーディションでは「ブーメラン」と会場を間違えたLSDことロレンゾ(デイック・ショウン)といういかれた俳優が見つかった。「これなら公演は必ず失敗に終わる」とビアリーは確信した。
 バアさんたちから大金を集めまくったピアリーは、立派な事務所を構え、お色気たっぷりでゴージャスこのうえないが、英語もろくに話せない秘書ウーラ(リー・メレデイス)を雇う。バアさんたちとの投資の条件はそれぞれに利益の50%、100%を払うというもので万一公演が成功すれば大借金を背負うことになる。
 公演が始まり、ナチスの軍服を着たコーラスガールがラインダンスを踊るという陳腐なショーに観客は口あんぐり。たまに拍手をした客は袋叩きにされた。わざと評論家に金をつかませて怒らせるという寝技まで使ったピアリーは、してやったりとレオと祝杯を挙げた。ところが、途中からLSDの迷演技に大爆笑が起こり始め、なんと公演は大成功。もくろみが外れてがっくりする2人のところに、ヒトラーを笑い者にされたと怒り狂ったリーブキンが乗り込んで拳銃を乱射する瞬ぎに。こうなれば劇場を爆破して公演を中止させるしかないとピアリー、レオ、リーブキンの3人はダイナマイトを手に劇場に忍び込んだが…。

スタッフ

監督・脚本:メル・ブルックス
製作:シドニー・グレイジャー
撮影:ジョーゼフ・コフィー
音楽 指揮:ジョン・モリス
挿入歌 「ラヴ・パワー」
作曲:ノーマン・ブラッグマン
作詞:ハーブ・ハーテイグ
「我々は愛の囚人」「ヒトラーの春」
作詞・作曲:メル・ブルックス
編集:ラルフ・ローゼンブルム
助監督:マイケル・ハーツバーグ
美術:チャールズ・ローゼン
衣装:ジーン・コフィン
題字:エリナー・エミン
振付:アラン・ジョンソン
音楽監修:フェリックス・ジリオ
製作主任:ルィー・A.ストローラー
配役:アルファ=ベティ・オルセン
製作監修(エンバシー・ピクチャー&ユニバーサル・マリオン):ロバート・ポーター

キャスト

マックス・ビアリストック:ゼロ・モステル
レオ・ブルーム:ジーン・ワイルダー
“抱いて、触って”の老女:エステル・ウインウッド
ロジャー・デブリー:クリストファー・ヒューイット
フランツ・リーブキン:ケネス・マース
ウーラ:リー・メレディス
L.S.D.ことロレンゾ:ディック・ショウン
エヴァ・ブラウン:レネイ・テイラー
カーメン・ギヤ:アンドレアス・ヴシナス
大酒飲みのいい人:ビル・ヒツキー
医師ゲッベルズ:デイヴィッド・パッチ
ゴアリング:バーニー・マルタ
案内嬢:マドリン・ケイツ
地主:シーマン・ラスキン
バーテンダー:フランク・カンパネッラ
演劇批評家:ジョジップ・エリック
ホットドッグ売り:ジョン・ゼラー
オフィスを去る女性:ブルータス・ペック
カモの御夫人たち:アン・アイヴズ、アメレイ・バーリオン、エルジー・カーク、ネル・ハリソン、メアリー・ラヴ

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