原題:CORD

妊娠すると、誰かが殺される…。

2000年6月10日インドネシア公開

配給/ギャガ・コミュニケーションズ 協力/株式会社エスピーオー

2001年3月2日DVD発売/2001年3月2日ビデオ発売&レンタル開始 2000年12月2日、新宿ジョイシネマ3ほかにて公開

公開初日 2000/12/02

配給会社名 0025

公開日メモ タイトルとなった"コード"とはヘソの緒(umbilical cord)のこと。実の母と子のみを結ぶはずのこの絶対的な象徴が、もし信じられなくなったとしたら!?——懐妊の喜びを、突如、人生最悪の出来事へと塗り替える、子宮ジャックの恐怖。

解説


医師は信用できるのか!?——軽率な医療ミスや医療関係者による利己的な犯罪が後を断たない今日、多くの善良な医者たちの影に隠れて、倫理をかなぐり捨てた少数がいることに、いま世間は恐怖している。折りしも現代は不妊の時代。自力で子供をつくることのできない夫婦が、人工授精という手段で子宝を授かることも珍しくはなくなったが、もし、狂気の医師の手で、子宮の中にまったく他人の受精卵を植え付けられたとしたら——!?

映画『コード』は、歪んだ現代においてはいつ起こっても不思議ではない、そんなショッキングな事件を描くエキセントリック・サイコホラーである。医師への不信感、不妊症候群と、社会問題とも密接なテーマが、けっして他人事では済まされない身に迫る恐怖を醸し出す。タイトルとなった”コード”とはヘソの緒(umbilical cord)のこと。実の母と子のみを結ぶはずのこの絶対的な象徴が、もし信じられなくなったとしたら!?——懐妊の喜びを、突如、人生最悪の出来事へと塗り替える、子宮ジャックの恐怖。女性なら誰しも身体の奥底からの嫌悪を感じずにはいられない、そんなセンセーショナルな作品が登場した。92年の「ゆりかごを揺らす手」が子供を産めない母親の狂気を静的に描いた傑作とするなら、人妻の子宮に寄生してまでも子供を得ようとする『コード』は同じテーマを動的に描き出した傑作。狂気をほとばしらせる産婦人科医夫婦による拉致・監禁のおぞましい顛末は、スティーヴン・キング原作の「ミザリー」をも凌駕する!

主演は、「フランキー・ザ・フライ」「相続人」と話題作で多彩な演技力を披露するダリル・ハンナ。監禁される妊婦という難役を迫真の演技で魅せる。彼女を拉致する産婦人科医には「バッファロー’66」で一躍カリスマ的人気を獲得したヴィンセント・ギャロ。そのクールな演技は、まさにサイコホラー映画においても際立った精彩を放つ。そして、妊娠できないことで狂気に陥る医師の妻には、「チャイルド・プレイ チャッキーの花嫁」「バウンド」のジェニファー・ティリー。はじめは夫の凶行に荷担しているだけに見えた妻が、徐々に狂気の本性をあらわにしはじめる名演は、キャシー・ベイツが演じる「ミザリー」のアニー、グレン・クローズ演じる「危険な情事」のアレックスら、サイコ・ヒロインの系譜に『コード』のへレンという新たな名を刻んだ。監督は、97年の「デストラクション 制御不能」でダイナミックなアクションを披露したシドニー・J・フューリー。サイコホラーという対極のジャンルでもその斬新な演出力を如何ん無く発揮している。

ストーリー



アン(ダリル・ハンナ)と敏腕実業家ジャック(ブルース・グリーンウッド)の夫妻は、裕福な家庭で愛に満ちた生活を送っていた。しかし、恵まれた二人がいかに求めようとも叶えられないことがひとつ…それは愛の結晶、元気な赤ん坊を授かることだった。自力で懐妊することをあきらめた夫妻は産婦人科を訪ね、人工授精の処置を受ける。後は妊娠を待つばかりとなっていた或る夜、愛の営みの後にアンが嘔吐した。遂に妊娠か!?夫妻は訪れた幸せの予感を胸に、固く抱き合った。

しかし、数日後の夜、ジャックの出張中にアンは何者かに襲われる。意識を奪われ、拉致・監禁されたのは見知らぬ家の地下室だ。どうやら片田舎にポツンと建つ一軒屋らしい。両手を縛られ、足とベットを鎖で繋がれたアンに声をかけるのは、いかにも危険そうな若い夫婦である。妻のヘレン(ジェニファー・ティリー)は舌ったらずな口調が怪しい倒錯タイプ。その夫は…何と人工授精を受けた産婦人科で働く医師フランク(ヴィンセント・ギャロ)だ!彼はアンがいま身篭っている胎児が受精卵をすり替えた自分たちの子であると告げる。自分のお腹で子供を産めないヘレンの代わりにアンの子宮を乗っ取ったというのだ。
子供を産んだらその後できっと殺される!突き付けられた新聞には、アンが事故死扱いされているという記事。もはや拉致された彼女を捜そうという者さえ誰もいないのだ———。こうしてアンの恐怖に出産準備が始まった。栄養のある物を食べさせようと猫なで声で擦り寄ってくるヘレンは、ちょっと抵抗するとすぐに、キレまくり、暴力をふるう。夫のフランクは犯罪を犯しても良心の呵責をまるで感じない男のようで、平然とアンの胎教を指導する。何度も逃亡を試みては失敗しますます劣悪な状況に陥るアンは、だんだん膨らみはじめたお腹に、出産の喜びどころか、死へのカウントダウンを見つめるしかなかった。

そして過酷な時が過ぎ、臨月を迎えた或る日のこと、事態は突如、思わぬ方向へとむかう。フランクがアンの子宮から羊水を抜こうとすると、これが赤ん坊を殺しかねない危険な処置と知ったヘレンが逆上して、フランクを殺してしまうのだ。死の間際にフランクが口走ったのは、お腹の子が彼らの子ではなく、まぎれもなくアンとジャックの子供だという衝撃の事実!
完全に狂気にとらわれたヘレンは、もはや誰の子供かに関係なく、ただ赤ん坊への執着心だけを募らせ始めた。スキを突いて外に逃げ出したアンだったが、田舎の片道の公衆電話に辿り着いたのも束の間、迫ってきたヘレンのピックアップトラックが背後へと迫る!「ジャック、ジャック…。お願いだから電話にでてジャック…」留守番電話から漏れるアンの声に戸惑ったジャックがやっと状況を理解し、公衆電話の位置をつきとめ、現場へと駆けつけると、そこにはもはや大破した電話ボックスしか残されていなかった。途方に暮れるジャックは周囲を見回し、一軒の田舎家に目をとめる。あれがアンを監禁していた家かも知れない。彼はその家へと向かい、呼び鈴を押した…。

その頃アンは、ヘレンの追跡を振り切り、道に倒れていたところをひとりの青年に助けられる。病院へと運ばれ、もはや安全地帯であるはずのベッドの上で昏睡状態のアン。が、医師が様子を見に来ると、その背後に看護婦姿のヘレンが忍び寄った。彼女は何のためらいもなく医師の首筋に注射器を突きたてる———!!
再びアンが目覚めると、そこは逃げてきたばかりの暗い地下室。しかも床の上には血まみれのジャックが横たわっていた。迂闊にもヘレンの家の呼び鈴を押してしまったジャックは、バットで激しく殴打されてしまったのだ。一度は逃げ切ったという安堵感から一転、地獄へと連れ戻されたアンは、もはや夫の助けさえ期待できない。絶望するしか残されていないアンに、刻々と出産の時が迫っていた———。

スタッフ

監督:シドニー・J・フユーリー
脚本:ヤス・タカタ&ジョエル・ラデセック
原案:ジョエル・ラデセック
製作総指揮:マーク・アミン、ジェフ・ジェフリー、ジャイルス・パキン
製作:ゲイリー・ホウサム、ピーター・クローネンバーグ
撮影監督:カーティス・J・ピーターセン
衣装デザイン:ダレナ・ソスノウスキー
音楽:ロバート・カーリ

キャスト

フランク:ヴィンセント・ギャロ
アン:ダリル・ハンナ
ヘレン:ジェニファー・ティリー
ジャック:ブルース・グリーンウッド
エミリー:ジョハンナ・ブラック
ウェブスター医師:シャロン・バジャー

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