原題:A Soldier’s Daughter Never Cries

大晦日の夜、あの時のお父さんを忘れない

1998年ヴェネチア国際映画祭 1998年トロント国際映画祭

1998年9月18日全米公開

1998年/イギリス/カラー/ヴィスタサイズ/127分/日本語字幕:松岡葉子/原作:角川文庫 提供:日活・N.D.F./配給:日活

2001年6月22日ビデオ発売&レンタル開始 2000年12月9日より有楽町スバル座にて感動の新春ロードショー!

公開初日 2000/12/09

配給会社名 0006

公開日メモ ジェイムス・アイヴァリー監督が贈る、この冬一番、心暖まる父娘の物語

解説


『シン・レッド・ライン』原作者ジェイムズ・ジョーンズの娘カイリーが描いた自伝的小説を映画化。
名匠ジェイムズ・アイヴォリー監督が魅せた新たな魅力。
『A Soldier’s Daughter Never Cries 』は、『眺めのいい部屋』(86)、『モーリス』(87)、『ハワーズ・エンド』(92)、『日の名残り』(93)と、抑制のきいた映像表現の中に人間存在の深遠を描き続けてきた名匠ジェイムズ・アイヴォリー監督の最新作であり、1990年に発表された米国人作家カイリー・ジョーンズのベストセラー小説(角川書店刊)の映画化作品である。カイリー・ジョーンズは、「地上より永遠に」や「シン・レッド・ライン」等の戦争文学で知られるアメリカの高名作家ジェイムズ・ジョーンズの娘である。この映画の原作は、実際に1960年代と70年代前半をパリで暮らし、その後アメリカへ帰国した原作者一家の自叙伝的小説の体裁をとっている。とりわけ、作者自らの父との思い出を投影した退役軍人である小説家の父ビル・ウィリスとその娘シャンヌの情愛あふれる深い絆がシャンヌの視点から刻明に描かれ、映画にもそれは主題として色濃く反映されている。 J・アイヴォリー監督は、この原作に惹きつけられた理由として、ヨーロッパで過ごすアメリカ人作家の生活と昔の自分を思い出させるような子供が登場するところを挙げている。これまでのイギリスの伝統ある文化を中心に描いてきたアイヴォリーにとって本作品は、彼自身の自伝的要素も含む、身近なアイヴォリーを感じられる新たな側面が感じられるであろう。

少女から大人へと美しく成長していくハリウッド注目度NO1.女優リーリー・ソビエスキー主演。
 シャンヌを演じるのは、『ディープ・インパクト』(98)、『アイズ・ワイド・シャット』(99)、『愛ここにありて』(99)と、ハリウッド・メジャーの大作に次々と出演してその演技が高く評価され、いまハリウッド若手女優の中で最も期待されているリーリー・ソビエスキー。少女から脱皮し青春期にさしかかる、女性が人生の中で最も美しく輝く時を、持ち前の清楚な美しさと知性あふれる演技で好演している。
 シャンヌの父ビル・ウィリスに扮するのは『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(73)『スター誕生』(76)『コンボイ』(78)でアメリカン・ヒーローを熱演した名優クリス・クリストファーソン。アメリカの古き良き時代の父親像にはうってつけといえるだろう。養子のビリーを、シャンヌと分け隔てなく育て、子供たちに深い愛情を注ぐ母親マルセラを、『ワールド・アパート』(87)でカンヌ映画祭主演女優賞に輝き、『ある貴婦人の肖像』(96)でアカデミー助演女優賞にノミネートされた女優バーバラ・ハーシーが演じる。シャンヌの人間形成に大きな影響を与える養子の弟ビリーとクラス・メイトのフランシスには、ディカプリオ版『ロミオ&ジュリエット』(96)『推定無罪』(90)のジェシー・ブラッドフォードとクラシク歌手で、映画でもその唄声を披露してくれるアンソニー・ロス・コスタンゾがそれぞれ扮している。他にフランシスの母フォーテスキューをフランスの人気女優ジェーン・バーキンが、ビリーの生みの母を『ビーチ』(99)でレオナルド・ディカプリオの相手役を務めたヴィルジニー・ルドワイヤンがそれぞれ演じ、脇を固めている。

 製作は、J・アイヴォリーと手を組んで30年を越す盟友イスマイル・マーチャント。さらに脚本のルース・プローワー・ジャブバーラ、撮影のジャン=マルク・ファブレ、音楽のリチャード・ロビンズ、衣装のキャロル・ラムゼイ等、長年J・アイヴォリー監督作品を支えてきたスタッフが参加している。

ストーリー


シャンヌのパリ。 1960年代 パリ。
 ビル・ウィリス一家。父ビルは、元軍人で、現在は有名なアメリカ人の小説家。母マルチェラは、感情豊かで、楽しいことが大好きな女性。家ではいつも賑やかな音楽がかかり、ポーカーを楽しむ人でいっぱいだった。娘シャンヌは、そんな両親の愛情を一身に受け、パリで生活していた。
 ある日、ブノワという6歳になるフランス人の少年がビル・ウィリス一家の養子に迎えられた。ブノワの実の母親は、15歳のときに彼を産んだ未婚のフランス女性で罪悪感と後悔の念から書類上の養子縁組の手続きをやめてしまう。このことで、ウィリス一家は、いつかはブノワが取り上げられてしまうのではと危惧するのであった。突然の弟の出現で、嫉妬したシャンヌは、自分を溺愛してくれる子守りカンディダに甘え、大人たちの愛情はまだ自分のもとにあるのと感じ、小さな心を安堵させるのだった。里親から里親へとたらい回しにされてきたブノワは、スーツケースに荷物をまとめたまま常に手から離さず、いつでも孤児院に戻れるように身構えている。ある晩、夜風が強く、ブノワは落ち着いて眠れずずにオネショをしてしまう。困っているブノワに気がつき、シャンヌがやさしく声をかけ、その晩2人は、シャンヌのベットでおしゃべりをしながら一緒に寝る。シャンヌとのわだかまりもなくなり、ビルとマルチェラのあふれんばかりの優しさと愛情によって、ブノワは自分の手元からかたときも離さなかった孤児院からもってきたスーツケースをビルに渡す。そして、名前を‘ブノワ’から新しい父親と同じ名前、‘ビリー’にかえたいといい、父ビルはブノワが本当の息子だとという熱い実感に充たされた。そして、ブノワもまた、本当のビル・ウィルス家の一員になったのだ、と家族の絆はよりいっそうを強まった。 父ビルは、あらためて、ブノワ=ビリーの母親と連絡をとり、正式に養子縁組の契約を結ぶ。ブノワの母親は、ブノワに姿をみせずに、事務的にサインをすませ、自分がブノワを産むときにつけていた日記を手渡す。それは、ブノワに対する母親の愛情がぎっしりつまったものだった。いつか、「もしも、ブノワが望んだら日記を渡してほしい」、といって去っていった。
 ある日、ビルは家族にアメリカに帰ることを提案した。理由は、子供たちがフランスの価値観に染まりきってしまわないように10代のちにアメリカに移ったほうが良いということ。もうひとつは、ビルの持病である心臓病が悪化し、アメリカ人の医師の治療を受けたいと考えたからである。一家は、アメリカに行く事を決意する。シャンヌは、フランシスにアメリカ行きを告げ、親友だと思っていたフランシスから好きだったと告白されて驚く。 シャンヌは、思春期を過ごしたパリを離れ、アメリカへ。

シャンヌのアメリカ 1970年代。
 ウイルス家のアメリカでの新しい家は東海岸で沼地を入り江を一望できる素晴らしい場所にあった。アメリカに移っても、パリでの習慣となっていた夜通しポーカーはかかせない。 シャンヌとビリーは地元の高校に通うが、他の生徒になじむのはパリよりも難しかった。
 父ビルはこの世を去った。父の死という悲劇が家族を襲うが、シャンヌとビリーは無き父の遺志をしっかりと継ぐ。シャンヌは大学へいき、ビリーは母と姉が頼れるような本物の男=父親の代りになること。それは、ビリーにとってずっと憧れていた本物のアメリカ人になるのだった。ビリーは、マルチェラから渡された本当の母親の日記をシャンヌによんでくれと頼む。愛と信頼という深い絆で、姉と弟はしっかりと結ばれ、ビルが愛したロングアイランドの家には、一家の団欒の声が絶え間なく、響いていた。

スタッフ

監督:ジェイムズ・アイヴォリー
脚本:ジェイムズ・アイヴォリー&ルース・プラワー・ジャブヴァーラ
製作:イスマイル・マーチャント
撮影監督:ジャン=マルク・ファブル
音楽:リチャード・ロビンズ
編集:ノエル・ボワソンプロダクション
デザイン:ジャック・ブフノワール(フランス)、
     パット・ガーナー(アメリカ)
衣装:キャロル・ラムゼイ
音響:ルドヴィク・エイノウ
アート助手(フランス):アンドリュー・リトヴァック
共同製作:ポール・ブラッドリー
製作総指揮:リチャード・ホーレイ、ナイーム・ハフィーズカ
共同製作総指揮:シャロン・アレル、ジェーン・バークレイ
キャスティング:アネット・トゥルメル(フランス)、
        トリシア・トメイ(アメリカ)、
        セレスティア・フォックス(イギリス))

キャスト

ビル・ウィリス:クリス・クリストファーソン
マルチェラ・ウィリス:バーバラ・ハーシー
シャンヌ・ウィリス:リーリー・ソビエスキー
フォーテスキュー夫人:ジェーン・バーキン
カンディダ:ドミニク・ブラン
ビリー・ウィリス:ジェシー・ブラッドフォード
ビリーの母:ヴィルジニー・ルドワイヤン
フランシス・フォーテスキュー:アンソニー・ロス・コスタンツォ
キース・カーター:ハーリー・クロス
ママドゥ:イザック・ド・バンコレ
ボヴィエ校長:マーシャ・メリル
フル二エ先生:ナタリー・リシャール
友人ボブ・スミス:ボブ・スウェイム
ビリーの父:アントワーヌ・シャン
シーラ・オショネシー:ミシェル・フェアリー
デヴルー先生:サラ・アグゼール
ソーシャル・ワーカー:マリー・アンリオ
フラワー先生:ピエール=ミシェル・シヴァディエ
同級生1:スコット・トマス

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