原題:SIMPATICO

あなたの匂いは、消せない 若き日の過ちーーー その日から、女は自分を、そして愛を偽りつづけた。

1999年トロント国際映画祭出品

2000年2月4日全米公開

1999年/イギリス・フランス・アメリカ合作/ビスタサイズ/106分/Dolby SR/ 6巻/字幕翻訳:関美冬/ 配給:ギャガコミュニケーションズ

22004年11月10日よりDVD発売開始 001年7月13日ビデオレンタル開始 2001年2月17日より有楽町スバル座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

公開初日 2001/02/17

公開終了日 2001/03/16

配給会社名 0025

公開日メモ あなたの匂いは、消せない 若き日の過ちーーー その日から、女は自分を、そして愛を偽りつづけた。

解説


 サラブレッドの馬主として巨万の富を築き上げたライル・カーターと、カリフォルニアのうらぶれた町で酒浸りの日々を送るヴィニー・ウェッブ。かたや人生の勝者、かたや敗者の道を歩むふたりの運命を分かつ出来事が起きたのは、20年前のことだった。彼らの過去に深い影を落としているのは、かつてのウェッブの恋人であり、いまはカーターの妻として生きるロージーの存在。果たして、3人のあいだには何があったのか? 20年前の事件の真相と共に、いま、愛の裏切りのシナリオが明らかになる。
 逃れようとしても逃れられない過去につきまとわれながら、苦悩と悔恨の人生を歩む3人の男女。心の解放を求めてあがき続ける彼らは、友情と愛を傷つけあった過去の真実と向かい合うことで、再生にいたる最初の一歩を踏み出していく。その過程で繰り広げられる壮絶な葛藤を、ミステリーの趣向を交えて描いた『背信の行方』は、現代アメリカ演劇界の最高峰サム・シェパードの舞台劇を、ゴージャスな5大スターの共演によって映画化した文芸の薫り高いラブストーリーだ。

  この5大スターに加え、人間関係の謎解きの妙味を持つ回想シーンには、『パラサイト』のショーン・ハトシー、『花嫁の父』シリーズのキンバリー・ウィリアムズ、ジョン・カーペンター監督の『Ghosts of Mars』で注目のリーアム・ウェイトが、若き日のウェッブ、ロージー、カーター役で出演。単なるそっくりさんに終わらないみずみずしい存在感を発揮し、青春の切なさを強く印象付ける。

  監督は、『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス、『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルドリーと並び、イギリス演劇界出身の新鋭として注目を集めるマシュー・ワーカス。トニー賞の作品部門を受賞した『アート』の演出家として知られる彼は、ロンドンとブロードウェイで『トゥルー・ウエスト』の演出を手がけたことから、原作者サム・シェパードの信望も厚い人物。今回は、自らシェパードに映画化の企画を持ちかけ、快諾を得て監督デビューを飾ることとなった。そのワーカスの右腕となり、舞台作品の映像化に多大な貢献を果たしたのが、撮影監督のジョン・トールだ。『レジェンド・オブ・フォール』と『ブレイブハート』で二度オスカーを受賞、『シン・レッド・ライン』でもオスカー候補にあがった彼は、背景にキャラクターの心象風景を溶かし込んでいく絵作りに、自然描写の達人たる持ち味を発揮。故郷に戻ったカーターが懐かしむ「アルファルファの匂い」までが伝わってくるようなセンシティブな映像を作り上げている。

ストーリー



 アメリカ最大のダービーが開かれるケンタッキー。ライル・カーター(ジェフ・ブリッジス)は、サラブレットの馬主として成功をおさめたレキシントン地方の名士。だが、栄光に包まれた彼の人生は、1本の電話によって崩壊の危機に見舞われる。電話の主は、ヴィニー・ウェッブ(ニック・ノルティ)。20年前、親友同士だったふたりは、当時ウェッブの恋人だったロージーも交えて競馬詐欺を働き、大金を手に入れたのだった。が、その資金を元手に事業を成功させたカーターとは対照的に、ロージーをカーターに奪われたウェッブは、酒に溺れる自堕落な日々を送っていた。そんな彼が、切り札として握っているのは、カーターの過去の不正を暴く証拠の数々。いま、それをダシにカーターを故郷のクカモンガに呼び寄せたウェッブは、ストーカー行為で訴えられている自分をピンチから救ってくれれば、代わりに証拠の品を渡すとカーターに持ちかける。

  しぶしぶ取り引きに応じたカーターは、ウェッブに訴訟を起こしたというセシリア(キャスリーン・キーナー)の家を訪問。その隙に、彼の車と所持品を奪って逃げたウェッブは、証拠の品を携えてケンタッキーへ飛んだ。いっぽうのカーターは、実はウェッブの恋人だったセシリアから、訴訟の話は真っ赤な嘘だと知らされる。あせってウェッブの行方を追い始めた彼は、忘れたくても忘れられない思い出が宿る酒場へとやって来た。 そこでカーターの脳裏に浮かんだのは、コミッショナーのシムズ(アルバート・フィニー)に不正がバレたことを、ウェッブとロージーに伝える若き日の自分の姿だった。 「もう一度大金が稼げたら、フロリダで馬のビジネスが始められるのに」 ポツリとつぶやいたカーター(リーアム・ウェイト)の言葉に、二度目の犯行を示唆したのはロージー(キンバリー・ウィリアムズ)だった。そのときから、シムズを罠にはめて脅迫し、不正を見過ごさせる計画を練り始める3人。それは、カーターと同じ野心に燃えるロージーが、ウェッブ(ショーン・ハトシー)を捨ててカーターと生きようと決意した瞬間でもあった。

  そのころ、ケンタッキーに到着したウェッブは、いまはエイムズと名前を変え、馬主斡旋会社を経営しているシムズを訪ねた。「カーターを踏みにじれるチャンスだ」と、証拠の品を差し出そうとするウェッブ。しかし、もはや過去と縁を切ったシムズはウェッブの言葉にとりあわず、逆にウェッブの訪問をカーターの携帯電話に連絡する。

  翌日、再びセシリアを訪ねたカーターは、ウェッブから証拠の品を取り戻す使者の役目を、彼女に依頼する。いざこざに巻き込まれるのをいやがったセシリアだったが、ケンタッキーダービーの招待状と引き換えに申し出を承諾。大金を持ってケンタッキーに飛び、証拠を買い戻す役割を頼みにシムズのもとへ向かう。

  いっぽうのウェッブは、証拠品を持ってカーターの邸宅に乗り込んだ。彼の胸にあったのは、証拠と引き換えにロージーの愛を取り戻せるかもしれないという微かな期待。しかし、ロージー(シャロン・ストーン)は、彼への愛よりも自分自身の野望をかなえる道を選んだことを明かし、ショックにうちひしがれるウェッブをすげなく追い返す。そんなロージーもまた、自分の犯した罪の大きさにさいなまれる20年間を送っていたのだ。

  いまや証拠の引き取り手は、クカモンガのウェッブ宅に行き着いたカーターだけとなったが、すでに彼は、偽りの成功を捨て、故郷で一から出なおす人生を始めようと決めていた。そんなカーターのもとへ、意気消沈して戻ってくるウェッブ。友情と愛を傷つけあった3人の過去のドラマは、いまようやく終わりを迎えようとしていた。  

スタッフ

原作:サム・シェパード
監督・共同脚本:マシュー・ワーカス
共同脚本:デビッド・ニコルス
撮影監督:ジョン・トール
音楽:スチュワート・コープランド
美術:エイミー・アンコナ
衣装:カレン・パッチ
編集:パスカル・ブバ

キャスト

ニック・ノルティ
ジェフ・ブリッジス
シャロン・ストーン
キャスリーン・キーナー
アルバート・フィニー
ショーン・ハトシー
リーアム・ウェイト
キンバリー・ウィリアムズ

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