少女は自転車にのって
原題:Wadjda
因習を重んじる世界で、まっすぐに生きる少女の姿を通して 未来への希望を描いた感動作
2014アカデミー賞外国語映画賞サウジアラビア代表 2012ヴェネチア国際映画祭 C.I.C.A.E.賞&CinemAvvenire賞&インターフィルム賞 2012ドバイ国際映画祭 最優秀作品賞&最優秀女優賞 2012タリン・ブラックナイト映画祭 ドンキ・ホーテ賞&ネットパック賞 2013ロッテルダム国際映画祭 ディオラフテ賞受賞 2013ロサンゼルス映画祭 観客賞 2013ヨーテボリ映画祭 観客賞 2013パームスプリング映画祭 注目監督賞 2013ダーバン国際映画祭 最優秀新人作品賞 2013フリブール国際映画祭 観客賞 2013トロムソ国際映画祭 ノルウェー平和映画賞
2012年/サウジアラビア・ドイツ合作/アラビア語/97分/ビスタサイズ/デジタル5.1ch 字幕翻訳:石田泰子/資料監修:辻上奈美江 配給:アルバトロス・フィルム
2013年12月14日、岩波ホールほか全国順次ロードショー
© 2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.
公開初日 2013/12/14
配給会社名 0012
解説
映画館の設置が法律で禁じられている国サウジアラビアから、奇跡の傑作が誕生した!ヴェネチア国際映画祭インターフィルム賞、ロッテルダム国際映画祭批評家連盟賞ほか世界中の拍手に包まれ、アカデミー賞外国語映画賞サウジアラビア代表にも選出された本作『少女は自転車にのって』は、サウジアラビア初の女性監督ハイファ・アル=マンスールのデビュー作だ。
10歳のおてんば少女ワジダは、幼なじみの少年アブドゥラと自転車競走がしたい。だから自転車が欲しい。しかし母は女の子が自転車に乗ることに反対で買ってくれない。それでもワジダは諦めず、自分でお金を貯めて買おうとするが目標額にはなかなかたどり着かない。そんな時、学校でコーラン暗唱コンテストが行われることになり、ワジダはその賞金で自転車を買おうと一生懸命コーランの暗唱に取り組むが・・・。
女性がひとりで外出することや車を運転することを禁じる国。映画は、この国で少女が直面する、女性として生きることの厳しさを直視しつつ、その中でも前向きに生きる少女ワジダの日常をストレートに映し出す。従来の慣習に従いながらもワジダに未来への希望を託す母親、自分の道を見つけ出そうとするワジダの勇気・・・この母と娘の絆には、だれもが共感し胸を熱くするだろう。希望に満ちたラストシーンに観る者は爽やかな感動に包まれるとともに、世界中の子どもたちの未来が明るいものになるよう祈らずにはいられない。
監督自身の実体験から生まれた、
温かな共感を呼ぶ勇気の物語
監督はサウジアラビア初の女性監督となったハイファ・アル=マンスール。サウジアラビアの保守的な小さな町で12人兄弟の8番目として生まれ育った。これまで、ショートフィルムやドキュメンタリー、テレビなどの仕事を通して、隔離された状態で生活するサウジアラビアの女性の声に耳を傾けてきた。本作では、慣習や規律に柔軟な子どもの目線で、サウジの抱える矛盾を鋭くもしなやかに描き出し、各国の映画祭が絶賛、“ヴァラエティ誌が選ぶ注目すべき監督10人”にも選ばれた。また、映画館のないサウジ社会に新たな風を起こし、この作品を国内で公開すべきかどうかの是非が新聞の一面に取り上げられた。
ワジダ役にはオーディションで選ばれたリヤド在住の12歳のワアド・ムハンマド。サウジではマスメディアを通じた俳優の募集が出来ず、娘をカメラに映すことに抵抗を示す家庭が多いため、女優選びはクチコミや伝手に頼らねばならず大変難航した。オーディションに現れたワアドはコンバースのスニーカーを履き、耳にはヘッドフォンを付けてジャスティン・ビーバーを聞きながら大胆な態度でワジダそのものだったという。母親役のリーム・アブドゥラはサウジアラビアで最も有名な女優でありテレビスター。古い家柄の家庭に育ったが、保守的な社会で挑戦を続ける数少ない女性のひとり。
本作はサウジアラビア国内ですべて撮影され、すべての役柄をサウジアラビアの俳優が演じた、初めての長編映画である。
ストーリー
サウジアラビアの首都リヤドに住む10歳の女の子、ワジダ。ある朝、男の子の友達アブドゥラと喧嘩をするが、彼は「男に勝てるわけないだろう?」と言い捨てて自転車で走り去る。自転車で競争をしていつかアブドゥラを負かしたい。「私も自転車を買うわ!」と叫ぶワジダ。
ワジダが通う女子だけの学校では、戒律を重んじる女校長がいつも目を光らせていて、笑い声を立てただけで「静かに!男性に声が聞こえてしまいますよ」と注意が飛ぶ。制服の下はジーンズとスニーカー、ヒジャブ(スカーフ)も被らず登校するワジダは当然、問題児扱いだ。
学校の帰り道、綺麗な緑の自転車がトラックで運ばれるのを目にし、思わず追いかけるワジダ。雑貨店に入荷したその緑の自転車をどうしても手に入れたいが、値段は800リヤル。家に帰って母にお願いするが、「女の子が自転車なんてとんでもない!」と相手にもしてもらえない。ならば自分でお金を貯めて買おうと決意したワジダは、手作りのミサンガを学校でこっそり友達に売ったり、上級生の密会の橋渡しのアルバイトをしたり・・・それでも800リヤルは程遠い。
上級生の女生徒が家族でない男といて宗教警察に捕まったという。密会の橋渡しがバレ、退学になりかけるワジダだったが、母が校長に謝罪し事なきを得る。しかし母には厳しく叱られ「絶対に自転車は買わせない!」と言われてしまう。
その夜、父と母の喧嘩の声が聞こえてきた。父は家を継ぐ男子を得るために、第二夫人を迎えようとしているらしい。「男の子が欲しい?俺たちにはもうムリだ」と言うと父は家を出て行ってしまう。
ある日、学校でコーラン暗唱コンテストが行われることになった。優勝すれば賞金は1000リヤルだ。コーランは大の苦手のワジダだったが、賞金で自転車を買うため、迷うことなく立候補する。宗教クラブにも入りコーランを暗記、また美しく暗唱できるよう練習を重ねる。
ある夜、父の宴会が自宅で催された。男たちの食事の後片づけをしながら、父の家の家系図を眺めるワジダ。だが、家系図に載っているのは男の名前だけ。女性であるワジダの名前は入っていなかった。思わずメモ帳に名前を書き、ヘアピンで家系図に名前を留める。
いよいよ大会当日、コンテストに臨むワジダ。これまでの努力と集中力でコンテストを勝ち抜いて行くが・・・。果たしてワジダは自転車を手に入れ、アブドゥラと競争をすることができるのだろうか?
スタッフ
監督・脚本:ハイファ・アル=マンスール
キャスト
ワアド・ムハンマド
リーム・アブドゥラ
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