第27回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門正式出品 第39回香港国際映画祭 正式出品

2014年/日本/カラー/158分 配給・宣伝:太秦

2015年1月17日より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!

©寿々福堂/アン・エンタテインメント

公開初日 2015/01/17

配給会社名 0864

解説


人間なんてまっぴら。大人なんてクソくらえ。
犬になりたい少女と呪いをかけられた先輩、ふたりはちょっぴり不思議な旅に出る。

「犬になりたい。」進路調査書にそう書いた16歳の知世子は案の定呼び出しをくらった。大人になるって何かを諦めること——?映画好きで変わり者の先輩・正宗は、そんな知世子を主人公にして映画を撮ることに。不機嫌な知世子にカメラを向ける正宗もまた知世子と同じ思いを抱えていた。ふたりはカメラを片手に“ここじゃないどこか”を目指して旅に出ることを思いつく。

大島真寿美の青春小説「チョコリエッタ」の透明感あふれる世界が待望の映画化。
10年の構想を経て風間志織監督が描く、
思春期の危うさや儚さ、そしてかけがえのない気持ち——。

前作『せかいのおわり』では、恋愛がもつ喜びと切なさを見事に切り取り、海外でも高い評価を受けた監督、風間志織。「春の手品師」で文學界新人賞を受賞した大島真寿美の同名小説を10年の構想を経て映画化した本作では、勉強して受験して就職して大人になる、みんなが当たり前に進んでいく未来に苛立ち戸惑う、そんな青春の季節にもがく少女と先輩のひと夏を描く。言葉と言葉の間に流れる時間、交わされる視線に存在する時間、みすごしやすい大切な時を鮮やかにとらえている。そして、夢と現実が入り混じる遊び心あふれる映像で、映画史に燦然と輝く巨匠フェデリコ・フェリーニにオマージュを捧げた。

森川葵×菅田将暉 瑞々しいキャストが作り上げる、ほろ苦い青春の季節

いつもどこか不機嫌な少女・知世子を演じるのは、10代に絶大な支持を誇るファッション誌「Seventeen」の人気モデルであり、『劇場版 零〜ゼロ〜』、宮藤官九郎脚本の「ごめんね青春!」などで瑞々しい存在感が注目を浴びる森川葵。髪をベリーショートに切り、危うさと愛らしさを併せもつ難役を体当たりで演じた。
知世子の閉ざされた心にカメラを向け続ける映画部の風変わりな先輩・正宗役には、『共喰い』、『そこのみにて光輝く』で天才的な演技をみせつけ映画界を席巻する若手実力派・菅田将暉。思春期特有のセンシティブな感情や行動を個性的なキャラクターを通して繊細に、時に激しく演じている。感性豊かな主演ふたりのまっすぐな演技のぶつかり合いはまさに青春そのもの。
脇を固めるのは、市川実和子、村上淳、須藤温子、中村敦夫ら実力派。さらに、登場人物の思いとリンクする歌詞が印象的な忌野清志郎の「jump!」をカバーした、森川葵が歌う不思議かわいいエンディング曲も必聴だ。

ストーリー









「ずうっと旅しよう」
「わたしもう帰ってこなくたっていい」

知世子をチョコリエッタと呼んだのは母親だった。
兄弟のように育った愛犬ジュリエッタとチョコリエッタ。知世子が5歳のとき、母親が交通事故で亡くなった。それ以来、ジュリエッタだけがいつも心の支えだった。
けれどそのジュリエッタも知世子が16歳になったときに死んでしまう。知世子はジュリエッタと同じくらい短く髪を切り、犬になろうとする。そのくらいジュリエッタのいない世界はくだらなくて退屈だったのだ。

進路調査に「犬になりたい」と書いて担任から呼び出しをくらった日、知世子は映画研究部の部室を訪れた。母が好きだった映画フェデリコ・フェリーニの『道』を見ればジュリエッタに会えるような気がしたのだ。しかし、そのビデオテープは部室にはすでに無く、昨年卒業した正宗先輩の私物だったと知る。

街で偶然再会した浪人中の正宗は自室で、自分で撮った映像の編集をしていた。「目指すは永久浪人」とうそぶく。「先輩、死にたいって思ったことはある?」知世子の問いに「殺したいと思ったことならある」と答える正宗。そんな正宗の衝動を止め支えてくれたのは祖父だった。正宗をバイクの後ろに乗せて旅に出て、知らない土地の知らない人々を見せて回った。映画を正宗に教えたのも祖父だった。その祖父も既に他界している。

正宗は知世子に「俺の映画に出ないか」と言う。知世子は仏頂面の不機嫌な顔をカメラに向けながらも、何となく正宗に自分と似たところを感じ、だんだんと正宗を受け入れていく。

まるで、フェリーニの『道』のザンパーノとジェルソミーナのように、バイクに乗ってふたりの撮影旅行が始まる。街を走り、山を走り、海に出る。喧嘩、事故、初めてのホテル。旅は二人に何をもたらすのか——。

スタッフ

監督:風間志織
プロデューサー:伊藤直克
原作:大島真寿美
脚本:風間志織、及川章太郎
撮影:石井勲
照明:大坂章夫
録音:湯脇房雄
美術:丸尾知行
音楽:鈴木治行
スクリプター:田口良子
助監督:石井晋一
VFXコンポジター:大野俊太郎

キャスト

森川葵
菅田将暉
市川実和子
村上淳
須藤温子
岡山天音
三浦透子
渋川清彦
クノ真季子
宮川一朗太
中村敦夫

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