原題:Aokigahara

樹海に消えた、悲しく切ない、そして凄まじいほどの純愛

第25回東京国際映画祭・特別招待作品 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭・Dシネマの潮流2012 (オープニング作品)

2012年/日本映画/104分/カラー/ヴィスタサイズ/DCP/5.1ch 配給:アークエンターテイメント

2013年1月12日(土) 有楽町スバル座ほか全国ロードショー

Ⓒ新城卓事務所

公開初日 2013/01/12

配給会社名 1350

解説


男と女が純愛の果てに辿りついたのは、奇跡の命が宿る森だった
そして、そこで繰り広げられる、時空を超えた悲恋物語

私を好きにならないで、と女は言った。男はすべてを失ってでも女を守りたいと思った。何ひとつ思い通りにはいかない世の中で、純愛を貫こうともがき続けた二人は、幽玄なる富士山麓の樹海に分け入り、自らの生に決着をつけようとした。やがて二人の情念は時空を超え、彼らの人生に触れた者たちに不思議な縁をもたらす——。
万物の生命が生い茂るパワースポット、青木ヶ原を舞台に、魂を揺さぶる悲恋物語が誕生した。原作は、石原慎太郎の短編集「生死刻々」に収録されている一編。映画化にあたり、作者本人が企画、製作総指揮を手がけている。監督は、『秘祭』『俺は、君のためにこそ死にいく』でも石原と組んでいる新城卓。これまで様々な死のかたちを通して生を照射してきた最強のコンビが、年間自殺者が3万人を超える現代日本に、美しい“死に様=生き様”とは何かを問いかける。
キャストにも筋の通った俳優たちが揃った。樹海で命を絶った男の幽霊に導かれ、遍歴を辿っていく映画の語り手であるペンション経営者に勝野洋。妻子ある身でありながら恋に落ち、死してなお思いを遂げようとする男に矢柴俊博。男の愛に揺れる天涯孤独のヒロインに前田亜季。その他、田中伸一、石原良純、ゴリ(ガレッジセール)、二木てるみ、左とん平、渋谷天外、津川雅彦らが脇を固め、円熟した演技で物語にさらなる奥行きを与えている。

ストーリー



樹海に残された儚くも美しい愛の断片
二人に何が起こったのか?

富士山麓、苔むした溶岩の上に木々が鬱蒼と茂る青木ヶ原樹海。一度迷い込んだら簡単には抜け出せないその神秘の森には、日本各地から決死の思いを抱えた者が集まってくる。世間から姿を消したいと願う彼らはその実、誰かに見つけてもらいたいのか、遺体が見つかるのは遊歩道からさほど遠くない、人の目につきやすい所ばかりだ。
忍野村でペンションを経営する松村雄大(勝野洋)が行きつけのバーで出会った男(矢柴俊博)もそんな一人のように見えた。松村が参加する毎年恒例の青木ヶ原の遺体一斉捜索に同行したいと申し出た男は、翌日の捜索で、約二年前の遺体となって発見される。松村が丁寧に葬ると、男はふたたび現れて頭を下げた。
松村が功徳を施した気になったのもつかの間、男の幽霊は現れ続ける。村の住職(津川雅彦)から、男はお前に頼みたいことがあるはずだと言われた松村は、県警の友人から男の身元を聞き出し、彼が入婿として若旦那をつとめていた東京の老舗紙問屋を訪れる。男の名は滝本道夫、熱烈な恋愛を経て結婚した妻の志津(長谷川真弓)と息子がいた。しかし遺族は二年前に金庫の金を持って家を飛び出した滝本を許しておらず、遺骨の引き取りを拒否する。不審に思った松村は調査を続け、やがて紙問屋の番頭(渋谷天外)や滝本の親友だった大前(田中伸一)の話から、滝本と加納純子(前田亜季)という若い女性のせつない関係が浮かび上がる。
滝本は、ライオンズクラブの慈善活動で幼稚園に勤める純子と出会った。幼い頃、富士山麓で起きた交通事故で両親を失い、自身も足に障害を負いながらも天真爛漫に生きる彼女への気持ちが、同情から愛情に変わるのに時間はかからなかった。滝本の思いに気づいた純子は「私を好きにならないで」と告げたが、一線を越えない交際はますます二人の絆を深めていった。そして純子が白血病で倒れた時、滝本はたとえ何を失おうとも彼女を守る決意をし、破格の費用がかかった手術のかいもあって病は快復したかに見えた。だがある日、純子は受け続けなければいけない化学療法をやめ、一人黙って姿を消した——。
今、純子はどこにいるのか。二年前、滝本は最後の電話で大前に「純子を見つけた」と言ったという。強く結ばれた二人が一緒に見つからなかったのはなぜなのか。松村は謎を追って樹海へ向かう。

スタッフ

企画・原作:石原慎太郎(文芸春秋 石原慎太郎『生死刻々』所収)
製作・監督:新城 卓
脚本:水口マイク、新城 卓
プロデューサー:中田信一郎
プロデューサー:室岡信明
音響:寺嶋民哉
撮影監督:岩渕 弘
照明:木村太朗
美術:金勝浩一
製作:新城卓事務所

キャスト

勝野洋
前田亜季
矢柴俊博
田中伸一
ゴリ(ガレッジセール)
中村育二
石原良純
長谷川真弓
二木てるみ
左とん平
渋谷天外
津川雅彦

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