原題:피에타 Pieta

第69回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞 第85回アカデミー賞外国語映画賞韓国代表 第49回大鐘賞映画祭審査員特別賞/主演女優賞 第32回韓国映画評論家協会賞 最優秀作品賞/監督賞/主演女優賞/国際批評家連盟賞 第6 回アジア太平洋映画賞審査員大賞(チョ・ミンス) 第13回東京フィルメックス観客賞(2年連続受賞) 第33回青龍映画賞最優秀作品賞 第17回サテライト・アワード外国語映画賞 第9 回ドバイ国際映画祭アジア・アフリカ長編コンペティション部門最優秀監督賞

2012年9月6日 韓国公開

2012年/韓国/104分/韓国語 提供:キングレコード、クレストインターナショナル 配給:クレストインターナショナル

2014年01月08日よりDVDリリース 2013年6月15日(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開

© 2012 KIM Ki-duk Film All Rights Reserved.

公開初日 2013/06/15

配給会社名 0096

解説


天涯孤独に生きてきた借金取りの男。男の母親だと名乗る謎の女。
生まれて初めて母の愛を知った男を待つ、衝撃の真実…。
そして、世界が言葉を失った、ある愛のカタチ。
この愛は、本物か、偽物か̶。
第69 回ヴェネチア国際映画祭で、北野武監督作『アウトレイジビヨンド』やポール・トーマス・アンダーソン監督作『ザ・マスター』など、世界の強豪を抑え、みごと金獅子賞を獲得。韓国映画史上初の世界三大映画祭における最高賞受賞という快挙を成し遂げた『嘆きのピエタ』。すでに、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンを制覇してきた、韓国映画界の異端派監督キム・ギドクの18 作目の最新作だ。

常識を覆す前代未聞の愛の結末に、世界が激しく胸を揺さぶられた、魂のサスペンス・ドラマ。
〈ピエタ〉とは、十字架から降ろされたイエス・キリストを胸に抱く、聖母マリアの像のこと。慈悲深き母の愛の象徴である。このタイトルからも連想されるように、本作では、子供への強靭な“母の愛”が、重要なキーワードの1つとなる。
生れてすぐに親に捨てられ、30 年間天涯孤独に生きてきた借金取りの男イ・ガンド。ある日、彼の前に、母親だと名乗る謎の女が現れる。戸惑い、疑いつつも、徐々に女を母親として受け入れていくガンド。果たして、女は本当にガンドの母親なのか?何故、今、突然現れたのか?
それまで、「金で人を試す悪魔」と呼ばれ、恐れられ蔑まれてきた冷酷無比なガンドが、母の愛に触れ、母への愛が芽生えることで、人間的感情に目覚めていく。同時に、守るべき大切な人を失う不安と恐怖に慄くガンド。その危惧が現実となった時、彼を待ち受けていたのは…。かたや、ある固い決意を胸に秘めた女もまた、ガンドと過ごすうちに、自分の気持ちの思いがけない変化に気づくのだった。本作は、数多のバイオレンス描写とは一線を画す、卓越した映像表現と語り口により、愛ゆえに強くも脆くもなる人間の姿を、エモーショナルかつ静謐に描き出していく。そして、予想をことごとく裏切る二転三転のドンデン返しと、ガンドに突き付けられる驚愕の真実。さらに、魂の慟哭が聞こえてくるような想像を絶するラストシーンが、観る者を未曾有の衝撃と感動で打ちのめすのである。

従来のイメージを払拭し、俳優としての新境地に挑んだ主演俳優たち。
悪辣非道な借金取りながら、精神面で幼児性を残すガンドを、多才多芸で知られる若手俳優イ・ジョンジンが、猛々しさと30男の幼気なさを巧みに使い分けて熱演。彼の驚くほどの演技吸収力に、ギドク監督は、「白紙のような俳優であり、そこに思い通りに絵を描かせてくれた」と絶賛を惜しまない。そのジョンジンが、100 万ドルと言われる笑顔を封印して演じたガンドの、真実に直面して決断する際に見せる、痛々しくも崇高なまでの美しさには、誰もが絶句してしまうことだろう。一方、母親チャン・ミソンに扮するのは、本作が17 年ぶりの映画ヒロイン役となる、ベテラン女優チョ・ミンスだ。ある思いを隠してガンドに近づき、彼には無縁だった母の温もりを注ぐミソンを、氷に素足も辞さない気迫に満ちた演技と圧倒的存在感で体現。ギドク監督をして「黒髪のマリア」と言わしめ、決然とした眼を潤ませ、切々と歌う子守唄や、最後に見せる慈愛にあふれた涙が観る者の深い感動を呼び起こす。堂々、韓国アカデミー賞である大鐘賞映画祭、韓国映画評論家協会賞などの主演女優賞に輝き、演技派女優として大きな飛躍を遂げた。

開発という美名の下、時代の推移と共に消えていく町・清渓川。
主な舞台となるのは、ソウル市内の小さな町工場がひしめき建つ、清渓川周辺。かつては、韓国の基幹産業の発展を支えた町だったが、今は周囲を高層ビルに囲まれ、そこだけが時代に取り残されたような風景が広がっている。ここはまた、教科書の入ったカバンの代わりに、重い荷物を背負って清渓川を行き来した、ギドク監督の幼年時代の記憶が刻まれた場所でもある。ギドク監督は、清渓川の歴史と一緒に忘れられていった人々の話をすくい上げようと考え、撮影ロケ地に清渓川を選んだという。板金、金型、切断、プレスなど、各エピソードに適した多種多様な店を探し、最後に、冒頭のシーンに相応しい、過去の清渓川の姿がそのまま残る空間を見つけ出した。清渓川の歴史をスクリーンに記録することに成功する。

ストーリー


ガンドは、債務者に保険をかけ重傷を負わせて返済させるという、極悪非道な借金取り立て屋。天涯孤独に生きる彼の前に、幼い頃に自分を捨てた母親だと名乗る女が現れる。

最初は疑念をもっていたガンドだったが、女から注がれる無償の愛に次第に心を開いていく。愛を知らずに生きてきた男が知る、かけがえのない母の愛。 しかし、思いもよらない衝撃の結末がガンドを待っていた…。

スタッフ

監督:キム・ギドク

キャスト

イ・ジョンジン
チョ・ミンス

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