原題:The Sun Legend of the End of the Tokugawa Era

日本文化に多大なる影響を齎し続ける、
映画界至宝のエンターテインメント!

1957年/110分/モノクロ/スタンダード/
配給:日活

2011年12月23日(金・祝)よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

(C)日活

サブ題名 デジタル修復版

公開初日 2011/12/23

配給会社名 0006

解説


銭がなくとも、その身ひとつで時代を駆ける!
江戸時代末期の品川で起こる波瀾万丈、悲喜交々の人情物語

時は幕末、文久2(1862)年。品川の地に北の吉原と並び称される色町があった。相模屋という遊郭へわらじを脱いだ主人公の佐平次は、勘定を気にする仲間三人を尻目に、呑めや歌えの大尽騒ぎ。実はこの男、懐に一文も持ち合わせていないのだが・・・。
“居残り”と称して、相模屋で働くことにした佐平次は八面六臂の大活躍! 巻き起こる騒動を片っ端から片付けてゆく。自らの身に起こった困難をものともせず、相模屋に滞在していた高杉晋作らとも交友を結び、乱世を軽やかに渡り歩くのだった。

日本映画史を代表する喜劇の最高傑作が
最新技術で銀幕に甦る!

来る2012年に100周年を迎える日本最古の映画会社である日活。数多あるライブラリーの中から、後の100年まで残したい1本として、日活および川島雄三監督の代表作である本作をデジタル修復する作品に選んだ。撮影当時のスタッフが修復に携わり、“修復すること”の意義を見つめ直して作業に当たった本作は、単にきれいにするのではなく、57年に製作された当時そのままの状態を復元することに重きをおき、日本映画黄金期の勢いを感じさせる作品として生まれ変わった。

ここでしか観ることができない、豪華キャストの競演!
夭折の天才・川島雄三が日活に遺した奇蹟の物語

45歳という若さでこの世を去った川島雄三監督。『洲崎パラダイス 赤信号』(56)や『しとやかな獣』(62)など人間の性をシニカルかつ客観的に描き、全51作品を世に送り出した。古典落語「居残り佐平次」を軸に、「品川心中」「三枚起請」など様々な噺を一本の物語に紡ぎ上げた本作は、2009年キネマ旬報オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇において『東京物語』(53/小津安二郎監督)、『七人の侍』(54/黒澤明監督)、『浮雲』(55/成瀬巳喜男監督)に続いて第4位に輝き、多くの落語家が「落語種を映画にして唯一成功した作品」との太鼓判を捺し、喜劇を生業とする様々なジャンルの文化人たちに愛され続けている川島雄三の代表作である。50年代のオールスター・キャストが織り成す、笑いあり涙ありの江戸の“粋”なこころに、生きることの喜びを感じさせ、閉そくした現代日本に、元気と知恵、そして喝を入れてくれる珠玉の時代劇だ。

ストーリー



文久2(1862)年11月下旬といえば明治維新まであと6年という、幕末の混沌たる時代に世情もひとしお暗い頃だったが、ここ品川宿の飯売旅籠(遊郭)の町並だけは、弦歌嬌声に賑わっていた。その旅籠の一軒「相模屋」の表で異人を斬り、相模屋に登った3人の青年があった。これは長州藩士で攘夷派の志道聞多(二谷英明)、大和弥八郎、伊藤春輔といった志士たちだったが、そのとき彼らの落とした外国時計を拾い、ニヤリとして同じ相模屋へ登った町人があった。この男佐平次(フランキー堺)といって、仲間3人を連れてのお遊びだった。

 この相模屋にこはる(南田洋子)という売れっ子の女郎がいた。そしてこはるの部屋には、高杉晋作(石原裕次郎)をはじめ、志道ら3人が入り浸り、御殿山英国公使館焼打ちの謀議を凝らしていたが、楼主伝兵衛(金子信雄)や妻お辰(山岡久乃)は彼らの積もる勘定に手を焼いていた。一方、佐平次はといえば、例の口八丁手八丁で早くも美女を侍らせて上機嫌。ところがこの男、懐中無一文で、混血児の若衆喜助(岡田真澄)の持ってきた勘定書にも、ああだこうだと御託を並べて、その挙句追い帰してしまったというのだから大変な代物。かくして佐平次の居残りが始まった。

 荒神様の祭の前日は、晴着だ草履だと女たちは金策に四苦八苦するものだが、佐平次居残りの2日目がその祭の前日。おそめ(左幸子)はまったく客がつかず暇を持て余しており、毎晩たらいまわしの荒稼ぎに繁盛するこはるが怨めしくてならず、いっそ誰かと心中し、浮名流して世を去ろうと貸本屋金造を騙し、桟橋から海へざぶん。と行ったのは実は金造だけ。後を追うはずのおそめは、顧客梵全坊主が来たとの知らせに、死ぬのをやめて引き返したというのは、死んだ金造には全く浮かばれない話。

 さてこの相模屋に徳三郎(梅野泰靖)という道楽息子がいた。この日も長い放蕩から朝帰りして親爺に勘当だと怒られても馬耳東風。金造が入水したころは、佐平次の部屋で底抜け騒ぎだった。しかも徳三郎は、“遊びと恋は別もの”と、女中おひさ(芦川いづみ)にのぼせているとは勝手な男である。

 明けて荒神様の祭。佐平次は依然として居すわり、勘定に来る喜助を泣かせていた。伝兵衛これを知って「喜助にゃ給金はやれん」と怒り心頭。そこへ佐平次がやって来て伝兵衛に、それお肩を、それ算盤をとちょっかいを出す。挙句の果てに、追われて行燈部屋に籠城となってしまった。ところがこの男黙って引っ込む代物ではない。いつの間にやら玄関へ飛び出して番頭まがいの仕事を始めてしまったのだがその要領のいいこと。

 例の拾った時計を修繕して高杉に届け、これを勘定のカタにと預かって来て帳場へ出したり。一方で、倉造(殿山泰司)、清七という親子が同じこはるに通い続けたのがばれて、親子喧嘩となると、これもまんまとうまくまとめるといった具合。しかもその度にご祝儀を頂戴して懐を温めるというのだから、番頭仲間がひがんだり、ぼやいたりするのも無理のないことである。こうして図々しい居残りが数日続くうちに、仕立物まで上手にこなす佐平次の器用さは、遂にこはるをいかれさせてしまった。
 そんなある日、死んだはずの金造がやって来たのだった。おそめがぶるぶる震えだしたのは当たり前。ところがこれが本物だというのだから二度びっくり。実は、心中の遺恨晴らしに仲間に棺桶をかつがせて嫌がらせに来たのだったが、これも佐平次が見事撃退してしまったから、今度はおそめが感激し、佐平次は、こはる、おそめの2人から口説かれるということになった。

 ところが佐平次は、こんな2人には目もくれずに大奮闘!

そのころ徳三郎は、おひさの父大工長兵衛(植村謙二郎)が金に窮して、おひさを女郎にしようという話を聞いて憤慨し、賭けで儲けておひさを引き取ろうとして大穴をあけ、これが親爺にばれて座敷牢へ閉じ込められてしまっていた。するとおひさは徳三郎に同情して結婚を決意し、その橋渡しを佐平次に頼んだ。佐平次は、これを手数料十両で引き受けたというのだからどこまでちゃっかりしたものやら。

 この夜、高杉らは焼玉の実験に成功した。

 あけて12月12日。こはるの部屋で高杉らが公使館焼打ち是非の大論争をしていると突然佐平次が入って来て、炭もろとも焼玉を炭取に始末し出した。高杉らの狼狽は大変なもので、あいつクサい、斬ろうということになった。一方御内所では、例の勘定のカタの時計がたったの十五両と判り、侍ども追い出しとなったが、この役も佐平次が買って出た。ここでまた一策を弄し、長州藩江戸詰見廻役鬼島(河野秋武)の前で、侍どもに恥を忍んで大芝居を打たせ、百両せしめて、御内所へ回したから伝兵衛はほくほく、佐平次は一挙に名誉挽回してしまった。

 さて橋渡しを頼まれたおひさ、徳三郎の一件は、おひさが座敷牢を破るのを伝兵衛に見つかるように仕組み、結局おひさも牢に入れられて、一応めでたしめでたし。その上佐平次は長兵衛が御殿山工事場へ出入りしているのを利用して長兵衛に異人館地図を作らせ、これを持ってくればおひさを救い出してやる、と持ちかけた。そして地図は高杉らに渡し、焼打ちの舟に徳三郎、おひさを便乗させて駆け落ちさせるというあっぱれな名案を編みだし、これが図にあったのだから、高杉らは狂喜乱舞。長兵衛もおひさも涙を流して喜ぶ。何とも才たけた男である。

 その夜のこと。こはるとおそめは今夜こそ佐平次に言い寄ろうと色をなしてしのぎを削っていたが、その時御殿山に火が上がった。この事件の隙に、佐平次は御曹司駆け落ちの責めを感じここらが退け時と旅支度を始めた。そこへ、こはるとおそめが侵入して来て、佐平次の奪い合いとなってしまった。佐平次が困り抜いているところへ、喜助が飛び込んで来て、こはるの客、杢兵衛大尽(市村俊幸)が、こはるがいないと騒いで眠らないから取りなしてくれと拝みだした。佐平次は渡りに舟と行ってみると、なるほど大変なもの。そこで佐平次は、こはるは急死したとごまかしてその場を繕い、翌朝早く旅支度をして表へ出てみると、なんと杢兵衛がいる。そしてこはるの墓へ案内しろと迫る。ちょっと手こずったが、そこは佐平次、近くの墓地でいい加減な石塔を「これがこはるの墓で……」。杢兵衛喜んで拝んだが、ふと頭をあげてみるとこれが子どもの戒名。ことここに至ってとちるのは佐平次の面目にかかわると、真っ赤になって怒る杢兵衛を尻目に、荷物を担いで東海道の松並木を韋駄天のごとく走り去っていった。

スタッフ

製作:山本武
監督:川島雄三
脚本:田中啓一、川島雄三、今村昌平
風俗考証:木村荘八
撮影:高村倉太郎
照明:大西美津男
録音:橋本文雄
美術:中村公彦、千葉一彦
編集:中村正
音楽:黛俊郎
助監督:今村昌平
特殊撮影:日活特殊技術部
製作主任:林本博佳

資料提供:宮尾しげを、安藤鶴夫

修復監修:橋本文雄、萩原泉
共同事業:東京国立近代美術館フィルムセンター
技術協力:IMAGICA、IMAGICAウェスト、AUDIO MECHANICS

キャスト

フランキー堺:居残り佐平次
左幸子:女郎おそめ
南田洋子:女郎こはる
石原裕次郎:高杉晋作
芦川いづみ:女中おひさ
市村俊幸:杢兵衛大盡
金子信雄:相模屋楼主伝兵衛
山岡久乃:女房お辰
梅野泰靖:息子徳三郎
織田政雄:番頭善八
岡田真澄:若衆喜助
高原駿雄:若衆かね次
青木富夫:若衆忠助
峰三平:若衆三平
菅井きん:やり手おくま
小沢昭一:貸本屋金造
植村謙二郎:大工長兵衛
河野秋武:鬼島又兵衛
西村晃:気病みの新公
熊倉一雄:のみこみの金坊
三島謙:粋がりの長ンま
殿山泰司:仏壇屋倉造
加藤博司:息子清七
二谷英明:長州藩士志道聞多
小林旭:久坂玄瑞
関弘美:伊藤春輔
武藤章生:大和弥八郎
徳高渓介:白井小助
秋津礼二:有吉熊次郎
宮部昭夫:長嶺内藤太
河上信夫:岡っ引平六
山田禅二:坊主悠念
井上昭文:ガエン者権太
榎木兵衛:ガエン者玄平
井東柳晴:吉原の附馬
小泉郁之助:呉服屋
福田トヨ:新造おとら
新井麗子:女郎おもよ
竹内洋子:女郎およし
芝あをみ:女郎おてつ
清水千代子:女郎おうの
高山千草:女郎おさだ

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