原題:O Dragão da maldade contra o Santo Guerreiro (Antonio das Mortes)

シネマ・ノーヴォの誕生を告げた グラウベル・ローシャの代表作5本連続上映 グラウベル・ローシャ ベスト・セレクション

1969年カンヌ国際映画祭監督賞、ルイス・ブニュエル賞受賞

1969年/ブラジル・マパ・フィルム=フランス・クロード・アントワーヌフィルム製作/カラー/100分 配給:日本スカイウェイ/アダンソニア 配給協力:コミュニティシネマセンター 協力:ブラジル大使館

2011年6月18日(土)よりユーロスペースにてロードショー

公開初日 2011/06/18

配給会社名 0107/1104

解説


ローシャ自身が「私にとって、真に映画的といえる最初の試み」と語る作品。
アラゴアス州の小さな町では、若い聖女のもとに集った大勢の信者が激しく踊るのを憂慮した警察署長が旧知の殺し屋アントニオ・ダス・モルテスを呼び寄せた。信者の中にカンガセイロがいて、アントニオは早速この男に深手を与える。しかし町を支配する地主の姿勢を知り、信者の様子を見、聖女と話すうち、殺す相手を間違えていたのではないかと思うようになる。折しも地主の妻が優柔不断な情夫を差し措き、アントニオに夫の殺害を持ちかけた。そんなとき地主の雇った別の殺し屋一味が町に到着する。アントニオが真の敵は誰かを知る頃、彼らは信徒たちを惨殺し、両者の対決は迫っていた・・・。

タイトル・バックの大蛇を刺しつらぬく聖ゲオルギウス。その伝説がこの映画の下敷きである。聖書の英雄がブラジルでは土着化し黒人奴隷の解放の伝説に転化された。映画の中ではブラジルの原始宗教と共鳴し合い、フォークロアのパトスをかき立てる。伝承のバラッドに、ブラジルのシンセサイザー音楽の開祖マルロス・ノブレのスコアが絡みあい全編セッションといっても良い。
『黒い神と白い悪魔』とともに、一匹狼の死神アントニオが活躍する姉妹編だが、アントニオの無差別な殺戮が、革命と民衆の解放に事態を逆転させていくさまがアントニオに焦点を当てて描かれる。ローシャの作風は、より直接的に西部劇へと傾斜し、そんな世界の空気を、ユーモアさえ交えて体感させようとする。残虐非道な支配者のもとで、殺し屋がいつの間にか虐げられている農民を解放する役回りを演じるという逆転−−そこに民衆の願望が伺える。

ストーリー

スタッフ

製作・監督・原案・脚本・美術:グラウベル・ローシャ
撮影:アフォンソ・ベアード
編集:エドゥアルド・エスコレル
音楽:マルロス・ノブレ、ヴァルテル・ケイロス、セルジオ・リカルド、ブラジル北東部の民謡

キャスト

アントニオ・ダス・モルテス:マウリシオ・ド・バッレ
マトス:ウーゴ・カルバナ
ラウラ:オデーデ・ラーラ
教授:オトン・バストス
オラシオ大佐:ジョフレ・ソアレス
コイラーナ:ロリバル・ハリス
アントン:マーリオ・ブスマン
聖女:ローザ・マリア・ペンナ
マタ・バカ:ビニチウス・サルバトーリ
神父:エマノエル・カバルカンティ
バティスタ:サンテ・スカルダフェッリ
マダレーナ:コンセイサン・センナ
ミラグレスとアマルゴーサの住民たち

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