赤い靴 デジタルリマスター・エディション
原題:The Red Shoes
─バレエ映画の金字塔であり、映画芸術の伝説、 そして、多くのクリエイター達が“創造エネルギーの原点”と称する傑作─
1948年アカデミー賞音楽賞、美術監督・装置賞受賞
1948年イギリス映画/カラー/128分/スタンダード/モノラル ※デジタル上映 配給:デイライト、コミュニティシネマセンター 宣伝:メゾン 後援:英国大使館 貿易・対英投資部 協力:チャコット
2011年7月2日(土) ユーロスペースほか全国順次公開
(c)1948 Carlton Film Distributors Limited. All Rights Reserved. Licensed by ITV Studios Global Entertainment Ltd. and Distributed by Park Circus Limited
公開初日 2011/07/02
配給会社名 1221/1222
解説
蘇る、バレエ映画の金字塔!
新たに制作されたデジタルリマスター・エディションが
いよいよ待望の日本上陸!
1950年3月1日、有楽座で1本の洋画が日本初公開された。アンデルセン童話「赤い靴」をベースに綴られる、バレエ・ダンサーの悲劇。観たこともない映像世界は観客を魅了し、瞬く間に話題となった。映画は大ヒットし、56日間で33万人を動員。日本には空前のクラシックバレエ・ブームが起こり、街にはバレエ教室が次々と出現。靴業界では、“赤い靴”が流行した。
不朽の傑作『赤い靴』は、イギリスの巨匠マイケル・パウエル&エミリック・プレスバーガーの代表作であり、バレエ界、美術界、音楽界からも最高のスタッフが結集した奇跡的作品。赤い靴の運命を背負って踊り続けるヒロインに、サドラーズ・ウェルズ・バレエ団(現ロイヤル・バレエ団)のプリマ、モイラ・シアラー。ロバート・ヘルプマン、レオニード・マシーンが振付し、ダンサー役で踊りも披露する。撮影は、テクニカラーの父ジャック・カーディフ。音楽のブライアン・イースディルは、アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞をダブル受賞。画家(ハイン・ヘックロス)を美術監督に起用したのも画期的な試みだった。中盤に登場する約17分のバレエ演目「赤い靴」のシーンは、映画芸術に革命を与え、そのセンセーショナルな衝撃は、今観ても全く色褪せることはない。
“マーティン・スコセッシ監修で蘇る名作!
スティーヴン・スピルバーグ。フランシス・フォード・コッポラ。『赤い靴』へのリスペクトを公言している映画監督は多いが、その中のひとり、スコセッシが同作のオリジナル・ネガ修復作業に着手。彼の監修のもと、2年の歳月をかけて完成された<デジタルリマスター版>は、2009年カンヌ国際映画祭で世界初公開された。いよいよ待望の日本上陸である。
バレエ芸術と映画芸術の見事な融合
そして、イギリスにしか成しえなかった最高のスタッフの結集
当時、世界にその輝きを放っていた英国バレエ界が総力を結集しただけに、本作では、目を見張るばかりの華麗なバレエが存分に堪能できる。ヒロインには新鋭モイラ・シアラーを抜擢。ロバート・ヘルプマン、そしてニジンスキーの後継者と称されたレオニード・マシーンの英国バレエ界2大ダンサーが特別出演。バレエシーン全体をヘルプマンが振付し、靴屋のパートはマシーンが自ら振付して踊った。また、プリマドンナのボロンスカヤ役にはフランスからリュドミラ・チェリーナを迎えるというあまりにも贅沢な配役が実現した。
三次元の空間芸術であるバレエを二次元の映像で表現するというパウエル&プレスバーガーの挑戦に応えたのは、撮影監督ジャック・カーディフ。彼は、飛躍的に進歩したテクニカラー技術を駆使し、カメラの速度、照明器具は勿論美術装置やメイクまで徹底的にこだわり、それまでに類のないセンセーショナルで驚異的な映像世界を展開させた。ダンサーが次々に移り変わる超幻想的な風景の中を舞うシーンには、ジョージ・ガンが考案して以来ガン・ショット・プロセスとして有名になった合成法が用いられ、テクニカラーの特殊技術の面に新生命を吹き込んだ。
ブライアン・イースデルの音楽を指揮したのは、サー・トーマス・ビーチャム。彼が率いるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏も素晴らしい本作は、映画芸術だけでなく、バレエ、美術、音楽といったあらゆる分野における“本物の芸術”を堪能できる。これは、英国芸術界の最高のスタッフが結集したからこそ成しえた奇跡だった。
イギリス映画の奇跡の1本は、アメリカからも最大の賞賛を受けた。全米各地で公開され、記録的な興行成績を収める。特に、ニューヨークの映画館ビジョー・シネマは3年以上も続映し、これがロングラン興行のはしりになった。
バレエ・ダンサーの悲劇。
愛を選ぶのか、踊り続けることを選ぶのか。
世界一のプリマを夢見るヴィクトリアは、バレエ団主宰者レルモントフに見出され新作「赤い靴」の主役に抜擢。公演は成功し、作曲家クラスターとの恋も実らせ結婚を誓う。しかし、彼女に踊り続けることだけを強いるレルモントフ。彼女は苦しみ、そして悲しい結末へ・・・。バレエ・ダンサーの2つに引き裂かれる心を描きつつ、芸術の神に愛された者が背負う宿命について、鋭く語りかけてくる。
ストーリー
レルモントフ・バレエ団「火の心」初公演
そして、ロンドンからパリへ
レルモントフ・バレエ団を主宰するボリス・レルモントフ(アントン・ウォルブルック)は、ロンドン公演の折、2人の新人を発見し、一座に契約した。1人は社交界の令嬢ながら一流のバレリーナ、ヴィクトリア・ペイジ(モイラ・シアラー)、もう1人は新進作曲家のジュリアン・クラスター(マリウス・ゴーリング)。2人は一座と共にパリへ渡る。クラスターはオーケストラ・コーチを受け持ち、ヴィッキーは群舞のダンサーとして踊った。優れた興行主であり、且つダンサーを養成する特殊な才能を合わせ持つレルモントフは、ヴィッキーの天性の才能を直ちに見抜いていた。なぜ踊るのかという問いに、迷わず、踊ることが生きることだからだと答える彼女を、一流のプリマに育て上げる決心を固めていた。一座には、イワン・ボレスラフスキー(ロバート・ヘルプマン)や、グリシャ・リュボフ(レオニード・マシーン)といった一流のバレエ・ダンサーが揃っていた。ヴィッキーは、恵まれた環境の中で、ただひたすら練習を重ねていた。ある日、プリマのボロンスカヤが結婚の決意を告白。皆は祝福するが、芸術至上主義のレルモントフは、パリ興行を最後にボロンスカヤを解雇してしまった。
新作バレエ「赤い靴」製作開始 一座はモンテカルロへ
一座は主役を失ったままパリからモンテカルロへ向かった。レルモントフは、此処で、かねてから企画していた新作バレエ「赤い靴」に着手、作曲にクラスター、プリマ・バレリーナにヴィッキーを抜擢する。大きなプレッシャーを、飽くなき情熱と、互いへの信頼で乗り越えていくヴィッキーとクラスター。2週間後、バレエ「赤い靴」の初演は華々しい成功を収め、ヴィッキーとクラスターは一夜にして大スターとなったのである。
「赤い靴」の成功後
レルモントフ・バレエ団のその後の勢いは、とどまることを知らなかった。そして、名声と注目の中心は、勿論、プリマとなったヴィッキーだった。「奇妙な店」「コッペリア」、そして「レ・シルフィード」。
一座が公演するどんな演目も、見事に自分のものにしていくヴィッキー。同時に彼女は、クラスターとの愛も育んでいった。
2人の仲が遂にレルモントフの知るところとなった。彼は烈火の如く怒り、クラスターを一座から追放する。ヴィッキーをバレエに専念させたいが故の行動だった。「両立は不可能だ。不確かな人間の愛に頼るバレエ・ダンサーは、決して芸術家にはなれない。踊ることを選んだ者に、ほかの人生はないのだ」。しかし、彼女は、レルモントフの思惑通りにはならなかった。彼女は、愛するクラスターの後を追いロンドンで結婚する。レルモントフは、失意のまま、モンテカルロを後に次の興行地へと移っていった。
再び「赤い靴」初日へ
クラスターとのつつましやかな結婚生活を送るヴィッキーだったが、脚光を浴びながら踊った日々を忘れることはなかった。気持ちを抑えきれなくなったヴィッキーは、モンテカルロに再訪していた一座と合流し、レルモントフにその意志を告げた。レルモントフは、ヴィッキーを再び一座に呼び戻すことに迷う理由などなかった。そして、彼女以外に踊らせるつもりがなく、ずっと封印してきた「赤い靴」の再演を、即座に決定する。ヴィッキーは、ロンドンで自作新曲の演奏会を控えるクラスターに、このことを告げられずにいた。
遂に「赤い靴」再上演の初日。
控室のヴィッキーの元にクラスターが訪れ、彼女を連れ戻そうとした。だが、レルモントフと激しく争ったクラスターは、彼女の許から永遠に去っていく。開幕時間が迫った。身を引き裂かれるかのように苦しむヴィッキーは、とうとう付き人の手をふりほどき、赤い靴の動きに身を任せた。靴は、階段を駆け抜け、クラスターを追って宙を舞った。
駆け寄ったクラスターに、ヴィッキーは告げる。
「ジュリアン。赤い靴を脱がせて」。
スタッフ
製作・脚本・監督:マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
音楽:ブライアン・イースデル
指揮:サー・トーマス・ビーチャム
演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
撮影:ジャック・カーディフ
編集:レジナルド・ミルス
美術監督:ハイン・ヘックロス
録音:ゴードン・K・マッカラム、チャールズ・プルトン
テクニカラー撮影:ジョージ・ガン、E・ホーグ
振付:ロバート・ヘルプマン
レオニード・マシーン
キャスト
ヴィクトリア・ペイジ:モイラ・シアラー
ボリス・レルモントフ:アントン・ウォルブルック
ジュリアン・クラスター:マリウス・ゴーリング
イワン・ボレスラフスキー:ロバート・ヘルプマン
グリシャ・リュボフ:レオニード・マシーン
LINK
□公式サイト□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す