2008/DV/108min/カラー 配給:トリウッド

2008年12月6日(土)よりトリウッドにてレイトショー!!

公開初日 2008/12/06

配給会社名 0699

解説

ゴージャスな亀
嫉妬するくらいゴージャスな映像。
完成する前の「亀」の映像の断片を観た時、私は瞬時にそう思った。この画面を満たしている豊かさは何なのだ? 
「えび」「くらげ」と、水棲動物ばかりを作品のタイトルに選んできた池田将の映像は、どこか蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)を思わせるほど禁欲的であった(実際、私は彼を蔡明亮に紹介したことがある)が、それが両生類に進化した途端、一気に解放されたということなのだろうか? 

俳優たちが、すばらしい。もちろんそれは俳優たち自身がすばらしいというだけではない。演技はそれを見つめる演出家の視線によって解放され、イメージとして生き生きと輝くのだ。池田は、カメラの前の彼ら彼女らを丸ごと肯定しながら、更にその身体に依存することなく飛躍へ導く。柏田のカメラが、その身体を正確に映画的空間の中に位置づけていく。
池田の人間観察のおおらかさが、一人一人の人間にリアルな存在感を与えているが、映画という嘘をなんとか本当らしく見せようという姑息なリアリズムには頓着することがない。「まあ、いいじゃないか」という、徹底した現実の肯定と、それを飛躍させる非現実的な池田の作為が、ひとつのイメージとして結晶する。
唯一の欠点は、この作品がその絶妙のバランスを最後まで維持し、決して壊れなかったことだろうか?

映画監督/東京造形大学学長   諏訪敦彦

池田将(25)の「灰色の魚」「えび」「くらげ」に続く最新作。テンポの良い会話と的確なフレーム(撮影/柏田洋平)は、R・アルトマンのそれを髣髴とさせる群像劇。
主演は池田の盟友であり、自身も若手映像作家でもある、今出演作が目白押しの森岡龍。
音楽は勿論萬遊亭。
滑らかな語り口とストイックなテーマを併せ持つ、新しいタイプの作品の登場である。

ストーリー

寝静まった夜の町に響き渡る50ccバイクのモーター音。
忙しなく町を駆け回り新聞を配達する ヒト、鼻血を塞き止めながら受験勉強に打ち込む ヒト、バスルームで不発弾を抱え恋煩いに悩まされている ヒト、精神安定剤を飲み眠りにつく ヒト、ミラーボールを抱え稼いだ金を空中にばら撒く ヒト、その金を掴み取り喜ぶ ヒモ、そして離ればなれになった二匹の 亀…
淡々と切実な日常生活を送る10人の登場人物たちが織り成す三日間の群像劇。
ねじれた世界はときおり美しい。

スタッフ

脚本・監督・編集/池田将 
撮影・照明/柏田洋平 
助監督/日下部隆太
録音/柄澤大二郎
美術/飯塚智香、長谷川愛美、上東鷹介 
CG/柳沢大佑、豊田知香
音楽/土生裕、萬遊亭
出演/王丹戈、吉武真理子、森岡龍、篠原杏子、池田将、布施晋、西谷星来、中野晃太、
岩崎正敬、小嶋優希
協力/小島悠介、藤原恵子、彦坂愛実、片寄弥生、五十嵐耕平、斉藤朗子、西坂悠、佐々木健介、柳田修平、大久保翔太、西岡守、野中祐樹、大久保桂輔、岡崎有希子、吉田光希、村真司、大釜友美

キャスト

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