ローマ国際映画祭2009正式招待作品(EXTRA 部門)

2008年/日本/カラー/140分/
企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場

2008年10月11日(土)〜19日(日)まで、アトリエ春風舎にてロードショー

公開初日 2008/10/11

公開終了日 2008/10/19

配給会社名 1008

解説


オールキャスト劇団青年団による初の本格長編映画作品

フランスの文豪バルザックの作品群「人間喜劇」に着想を得て作られた、単純なオムニバスでも群像劇でもない、映画の、映画による、映画にしかできない「世界の掴み方」。
 劇団青年団(主宰平田オリザ)が制作の主体となり、それでいて演劇に媚びない映画作りは、かつての山中貞雄と前進座のように映画作りのひとつの可能性をごく静かに提唱します。

 出演は劇団青年団で活躍する実力派俳優陣で固められ、非プロダクションならではの完成度の高い芝居を見せてくれます。またダンサー岩下徹とコントラバス奏者齋藤徹が本人役で特別出演、披露される見事な即興セッションも見所となります。
 脚本・監督は前作「ざくろ屋敷 バルザック『人間喜劇』より」が今冬パリで開かれるKINOTAYO映画祭2008において三池崇史監督や万田邦敏監督らベテラン勢の作品と並び特別上映が決定するなど、評価の高まる新鋭・深田晃司です。
 制作から興行までもひとつの小劇団が主導するかたちで行われる、新しい映画の形にぜひ触れてみて下さい。

この映画では、静かな日常の中に交わされるダイアローグを丁寧に積み重ねることで、人間関係の些細な綻びを明確にし、そこから浮かび上がる「孤独」の様相を、3つのエピソードを通じて描き出します。
 第1話では、恋人に振られたばかりの女性が、偶然見かけたダンサーにサインをもらうために夜の街を駆け回るなかで、自らの喪失感を確認し、また解放されるまでを描きます。第2話では、アマチュア写真家の女の子が初めて行う写真展の一日を舞台に、友情への期待と失望が描かれます。第3話は、欠損した身体を脳があるかのように認識し続けてしまう「幻肢症」をモチーフに、右腕を事故で失った夫とその妻の間に横たわる溝と孤独を描き出します。
 それぞれのエピソードは独立しながら、何人かの登場人物は章を跨いで姿を見せます。あるエピソードで重要な役割を果たした人物の、また別の場所、別の時間に生きる姿を描くことで、映画世界をより立体的な構造をもったものとして提出すことが狙いです。これは、フランスの文豪バルザックが自らの小説群「人間喜劇」で作り上げた方法論を、ひとつの映画世界に圧縮し再現しようという試みでもあります。
 結果、全体に生きる個の孤独と、そこにある「可能性としての救済」をより明確に描きだすことがこの映画の目指した着地点です。

 製作体制における本企画の最大の特徴は、この作品が「劇団青年団が作る初めての映画作品」だということです。
 20年以上の活動歴を持ち「静かな演劇」の旗手として知られる劇団青年団による映像制作への進出は、演劇ファンに少なからぬインパクトを与えることでしょう。
 劇場を所有する劇団で映画を制作することによる安定した制作・上映環境の確保はより自由な創作環境の保証につながり、また既存のルートとはまた別種の長期的な上映先が確保されます。
 また、青年団は国内外で広く公演活動を行う劇団のため、地方、及び海外への長期的な上映活動も十分期待できるものと考えています。

【青年団若手自主企画】
 「青年団若手自主企画」は青年団の新たな展開として、1997年より開始されました。
 この若手自主企画は、青年団演出部に所属する若手の演出家が企画を提案し、若手俳優陣とのワークショップなどを通じて、その実現性を探り、立案決定していくという過程を踏んでいます。
 若手自主企画は、若手の演出家が自由にそして大胆に探る実験的な場であり、そのため、演目は青年団の過去の作品に留まることなく、これまでも、実に多様な作品が上演されています。

ストーリー




「白猫」
 ファンであるダンサーのサインを求め、ふたりの女が雨音響く夜の街を駆け抜ける。女性の抱く願望と孤独が夜の帷に垣間見える。山海塾の岩下徹が本人役で特別出演、コントラバス奏者・斎藤徹との即興セッションを披露している。

 「写真」
 アマチュアカメラマンの女の子が初めて開く写真展の一日を通して描かれる、友情への期待と失望。現代日本において消費されていく「芸術」の一風景が冷ややかに切り取られていく。芸術家のアイデンティティとは何かを問い掛ける一遍。

 「右腕」
 欠損した身体を脳があるかのように認識し続けてしまう「幻肢症」をモチーフに、右腕を事故で失った夫とその妻の間に横たわる溝と孤独を描き出す。東京人間喜劇、最終話。ドラマ・映画・CMで注目を集める志賀廣太郎が出演。

スタッフ

脚本・監督・編集:深田晃司
制作:松井千佳 安倍健太郎
助監督:鹿川裕史
撮影:藤井光 長野徹志 戸倉徹 宇野淳也 手塚奈美
照明:原春男 合田典彦 島田貴仁 加納俊哉
録音:高島良太 高島知哉 松井千佳 戸倉徹
整音:新垣一平
特殊メイク:沼崎勝巳 山本義生 岩谷綾乃 三代川史枝 古瀬麻理
操演:近藤佳徳
劇中舞台照明:伊藤泰行
劇中曲:齋藤徹
オンライン編集:浦部直弘
現場応援:後藤才蔵 真山俊作 長谷川健 住中浩史 William Zarour 福原康則 藤原慎一郎 新野高久   
美術協力:深澤研
劇中ニュース映像:長谷智恵子
マタニティ・ヨーガ指導:飯島睦子

キャスト

足立誠 
井上三奈子 
荻野友里 
角舘玲奈 
志賀廣太郎 
根本江理子 
古舘寛治 
山本雅幸 ほか

岩下徹(特別出演) 
齋藤徹(特別出演)

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