『東京夜曲』『トニー滝谷』の市川準、初の完璧プライベートフィルム

第21回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門作品賞受賞作品

2008年/日本映画/HDcam/47分/カラー 配給:スローラーナー

2009年4月11日(土)より、 東京:ユーロスペースにて モーニング&レイトショー、大阪:梅田ガーデンシネマにて  ロードショー その後、名古屋シネマテーク、京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンター、シネマテーク高崎ほかにて全国順次公開 併映:『TOKYO レンダリング詞集』(27分)

© 2008 Jun Ichikawa office Ltd.

公開初日 2009/04/11

配給会社名 0048

解説


「もうわたしら、確かめ合うのやめよ…
生きとったらあかんとか、生きなあかんとか、
そんなん確かめんの、もうやめよ
確かめ合おうとするさかい
みんな、わやになってしまうんやんか…」

『buy a suit スーツを買う』の中で、今は浮浪者になっている夫ヒサシとその妹のユキさんと再会したトモ子は、こんな台詞を口にします。

「この台詞を思い出すと、なんだか勇気がわいてくる。」

市川準監督が遺したメモには、こんな言葉が書かれていました。

もうご存知だと思いますが、市川準監督は、この作品の本編集を終えた2008年9月19日未明に急逝されました。

『BU・SU』から始まり、『東京夜曲』、『トニー滝谷』と、これまで17本の長編劇映画を作られた市川監督が、「勢いだけで描いた“線”のような」、「ヌーベルヴァーグが16mmのカメラを持ち、外に飛び出してノーライトで映像を撮りはじめた当時の“初心”のようなものが、今回、自分の気持の中にもあったような気がする。」と、昨年の12月、自らもカメラを回し、出演を普段からキャラクターが面白いと思っていたCMの仕事仲間に依頼して、作られた作品です。

妻と別れ、失踪した兄を大阪から探しにきたユキ。
兄を取り巻く人たち、そして、東京はダメになってしまった、と呟く兄との再会。オール“関西弁”で紡がれる会話と、東京の風景。この作品は、とてもささやかな生の営み…東京の片隅で、焦燥感と空虚感の間を揺れながら、そっと繋がって生きる人たちの心模様を、切なくも温かく映し出した作品です。

併映:『TOKYO レンダリング詞集』
「人がいる場所」「人と流れる時間」「人がはきだす詞(コトバ)」。
その場所に立ち、その時間を感じ、そのコトバをのせて
東京に浮かび上がる情緒を“レンダリング”した映像作品
『TOKYO レンダリング 詞集』。

「出会わなければよかったなんて 言わないでくれ」

2008年、春先の東京。市川準が日常における“人を観る時間”の中で切り取ったいくつもの風景。
そして、その映像の上には市川監督にとってのギリギリの「詞(コトバ)」が綴られている。“実験”と云いながらも劇場のスクリーンで公開する事に拘り続けた市川監督がこの作品に込めたものはなんだったのか。
『TOKYO レンダリング詞集』は、『buy a suit スーツを買う』と同時に制作され、市川準監督自身がパソコンで全編の編集を行った。27分の映像が過ぎ去ったあとの残像の中にそのこたえが生まれるかもしれない。

ストーリー

東京・秋葉原。同僚のスミちゃんと共に大阪から上京し、秋葉原の駅に降り立つユキ。スミちゃんと駅で別れたユキは駅前の大きなビルの前で、蒸発した兄・ヒサシの大学時代の先輩・山口と落ち合う。今は広告代理店で仕事をしているという山口。ユキは、まったく消息がわからなかったヒサシから最近手紙が届き、住所が書いてあったことを話す。ヒサシの思い出など話す山口は、ノートパソコンを開きヒサシ宛に手紙を書きはじめる。これからヒサシに会いに行くユキに山口はプリントした手紙を渡し「会ったらよろしく」と、忙しそうにビルへ戻って行った。ヒサシの手紙の住所をたどってバスに乗ったユキ。東京の町並み。たどり着いたのは吾妻橋のたもとだった。隅田川に添って点々とダンボールの家がある。その片隅のひとつからゴソゴソと人が出てくると、それは兄ヒサシだった。やがてとつとつと話し始める兄妹。 東京で生きるということ…。 二人は、今は浅草に住むというヒサシの元妻・トモ子に、二人で今から会いに行くことになる…。

スタッフ

脚本・監督:市川準 助監督:末永智也 制作:宍戸貴義 衣裳:宮本まさ江 音楽:松本龍之介 整音:橋本泰夫 音響効果:佐々木敦生 協力:Tower Film、McRAY、カモメファン 製作:市川準事務所 

キャスト

砂原由起子 鯖吉 山崎隆明 三枝桃子 松村寿美子 佐藤慎一 柏木慎一 宍戸貴義 

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