原題:Naked of Defenses

第13回釜山国際映画祭出品作品 NEW CURRENTS部門出品作品 第30回ぴあフィルムフェスティバル グランプリ&技術賞(IMAGICA賞)&GyaO賞(USEN賞)

2008年/カラー/デジタル/88分 R-18+指定 配給:エスピーオー、マジックアワー

2009年10月10日よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

公開初日 2009/10/10

配給会社名 0116/0651

解説


 夫との冷え切った関係、単調な仕事。そんな日々を送る主婦の律子。妊婦の千夏との出会いが、律子の心に波を起こしていく。やがて律子の心に広がっていく暗い感情……。
 第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)でグランプリを含めた3賞を受賞し、第13回釜山国際映画祭コンペティション部門で最優秀賞を獲得するなど、国内外の映画祭で高い評価を集めている『無防備』が、ついに劇場公開を果たす。
 監督の市井昌秀は、お笑いトリオ“髭男爵”や劇団での活動を経て映画監督を志したという異色の経歴を持ち、前作『隼』で第28回PFF準グランプリと技術賞を受賞。多くの映画監督を輩出してきたPFF出身の新たな才能として注目を集めている。
 本作『無防備』は、監督の妻であり映画で千夏を演じた女優・今野早苗の妊娠がきっかけとなって誕生した。妊娠と出産という切り口から傷ついた女性の再生の物語を描こうと考えた市井監督は2ヶ月をかけて脚本を執筆。撮影準備は監督と今野の二人三脚で進められ、今野の出産シーンはそのまま映画のクライマックスとなっている。
 主人公・律子を演じたのは『隼』でも主演をつとめている森谷文子。過去の経験から心に傷を抱えて生きる女性の複雑な心理を巧みな演技によって見事に表現している。
 撮影は、監督の故郷である富山でおこなわれ、その風景は映画に独特の空気感を与えている。
 再生へ向かう女性の心理を、大胆かつ繊細に描き出した『無防備』。主人公・律子の姿は、観る者の共感と深い感動を呼ぶに違いない。

ストーリー

 ただひたすら田んぼだけが広がる中に建っているプラスティック工場。そこが木下律子(森谷文子)の職場だ。工場の製品から不良品をより分け、機械の調整をし、製品を運ぶ。そんな単調な作業を繰り返す毎日を律子は送っている。家に帰ると仕事から帰ってきた夫(西本竜樹)との会話はほとんどなく、食事も寝るのも別々の、ただ同じ家に暮らしているだけの関係だ。
 ある日の工場からの帰り道、律子は大きな買い物袋を抱えた妊婦を見かけ、気さくに声をかけて荷物を持つ。そして律子は、その妊婦と思いがけず再会を果たすことになる。臨時パートとして、その妊婦・山田千夏(今野早苗)が工場にやってきたのだ。
 無職の夫(朝真裕稀)に替わり妊娠中にもかかわらず自分が働くという千夏に、律子はじめ工場の一同は感心。先輩の律子は親切に工場の仕事を教え、千夏も律子に信頼を寄せていく。
 その一方で、千夏との出会いは律子の心にある傷を呼び覚ましていた。だが、千夏と一緒に時間を過ごす中で過去のつらい経験を明かすことができた律子は、その傷を乗り越えていこうとする。
 律子は夫との関係を修復しようと努力を重ねていくが、その気持ちは夫には届かず、すれ違いが重なっていくだけだった。
 そんな中、千夏の夫は仕事を見つけ、工場まで千夏を送ると優しい言葉をかけて仕事へと向かう。その様子を見かけた律子の中には、暗い感情が芽生えはじめていた。
 「あなたが普通にできることが、私にはできない……」。律子の心の中の暗い感情は、徐々に大きさを増していく……。

スタッフ

監督・脚本・編集:市井昌秀
撮影:関 将史
音楽:朝真裕稀
録音:茂木祐介
メイク:佐藤絵里
衣装:市井早苗
助監督:平波 亘、市村 優
撮影助手:工藤育子
制作:遠矢東宏

キャスト

森谷文子
今野早苗
西本竜樹
中村邦晃
柿沼菜穂子
熊埜御堂彩
朝真裕稀
市井 颯

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