カフーを待ちわびて
第1回「日本ラブストーリー大賞」大賞受賞作品 オリジナルラストで待望の映画化
2009年/日本/カラー/119分/ 配給:エイベックス・エンタテインメント
2009年2月28日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
公開初日 2009/02/28
配給会社名 0316
解説
沖縄にしかない時間・・・。
「嫁に来ないか? しあわせにします。」 少しの本心を交えて絵馬に書いた願い事。
どこかにそれを読む人がいて、絵馬に返事が来ました。
生きることに少しずつ傷つきながら遠く離れたところで暮らすふたりに、あるはずのなかった出会いが訪れる。これは誰もが求めていながら、本当にやってくることを信じる純粋な気持ちを忘れがちな、ちいさなしあわせについての物語。今まで知らなかった他人を、心から大切に思う気持ち。そばにいてくれるだけでそれがしあわせだと教えてくれるはず。
長編処女作『ハブと拳骨』で、60年代の米軍基地の周辺で慎ましい生活を営む家族の愛と悲しみを描いた中井傭友監督は、二作目にあたる本作で再び沖縄を舞台に選び、日常のなかに立ち現われる小さな恋の奇跡の物語を描き出した。
主人公の友寄明青(あきお)には、近年数々の映画で感受性の高い演技を披露し、若手実力派俳優として成長著しい玉山鉄二。本作では内面の感情を押し殺した青年の純粋さと心の内面のドラマを瑞々しく演じている。彼の日常に舞い降りる不器用な天使のような幸(さち)には、マイコ。『山のあなた〜徳市の恋〜』で草?剛の恋する女性役に大抜擢されて女優デビューし、二作目にあたる本作でミステリアスな存在感をいかんなく発揮している。他、勝地涼、尚玄、宮川大輔、ほんこん、白石美帆(友情出演)、伊藤ゆみ、高岡早紀、沢村一樹といった俳優たちが、人々の心の綾を織り成す小さな島の物語にバラエティ豊かな彩を与えている。
原作は第一回日本ラブストーリー大賞受賞の同名の長編小説(原田マハ著)。現代の日常にはありそうもない「絵馬をきっかけにして出会う男女」と「沖縄で偶然出会った犬カフー」いうアイデアを、確率論を超えて信じさせる筆力は見事。幸の秘密が解き明かされるラストには誰もが号泣させられる。
そしてやがて心からしあわせを信じることの喜びへと導かれ、不意打ちの涙を流さずにはいられない。明青と幸のしあわせをハラハラしながら願ううちに、自分の心もほっこりと温もっている。
それが、カフー(しあわせ)な気持ちである。
ストーリー
ゆるやなか島時間と温かい人々。
犬のカフーとボク1人。おいしいご飯を食べて、笑顔で昼寝。
忘れてしまったやさしさがここにあります。
あなたのやさしさにふれて、わたしは変わりました。
★カフーとは…島の言葉で「果報・良い知らせ」「幸せ」という意味。
青い海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄の小さな島。
雑貨店を営んでいる友寄明青(あきお)(玉山鉄二)は、愛犬・カフーと穏やかな暮らしを送っている。昼には店を一旦閉めてのんびり昼寝をし、目が覚めたら、カフーと浜に散歩に行くのが日課。食事は、“おばあ”と慕うミツ(瀬名波孝子)のところで世話になっている。いつものように、明青がおばあの家で夕食を食べていると、神様の声が聞けるおばあは、明青に近々報せがあると言うのだった。どんな報せかと訊ねる明青に、おばあはこう答える——「いい報せやさ。カフーやさ」。
明青が家に帰ると、一通の手紙が届いていた。「幸」(さち)という女性が差出人で、手紙には「私をあなたのお嫁さんにしてください」と書かれている。幸は、以前明青が、縁結びの名所として有名な遠久島の飛泡神社に残した絵馬を見て手紙を送ってきたのだ。明青は、絵馬に「嫁に来ないか。幸せにします」と書いていた。幸は手紙でさらに、近々明青を訪ねてくると告げていて…。
翌朝、明青は半信半疑ながらも、無精ひげをそり、寝癖を直し、珍しく身だしなみを調える。だが、幸は現れなかった・・・。
数日後、明青がカフーと散歩していると、カフーがいきなり浜に向かって走り出す。ひきずられるようにして浜に着くと、そこには真っ白なワンピースを着た、長い髪の美しい女性が立っていた。明青の家を探していた彼女は、目の前の男性が明青だと分かると満面の笑みを見せる。こうして、謎めいた天真爛漫な女性・幸(マイコ)は明青の家にやってきた。そして、二人の日々が始まる……。
息子の拓海(仲原倫太郎)を連れて明青の家に遊びに来た渡(勝地涼)は、幸の姿を見て驚く。渡から、幸が沖縄に来た理由を聞くように言われた明青だが、幸の笑顔を見ると何も言い出せない…。
明青は、浜でぼさぼさの髪を幸に切ってもらう。「明青さんのカフーは?」と聞かれ、「夕凪…みたいな…」と答える明青。二人の時間がゆっくりと流れていく。幸は、おばあに料理の作り方を習い、さらには、昼間も雑貨店をオープンさせ、その店番につく。郵便配達員の比嘉辰夫(宮川大輔)から、見慣れない若い女性が店番をしていると知らされた島の男性たちは、幸見たさに店に押しかけるのだった。
共に同じ時間を過ごすうちに少しずつ縮まっていく明青と幸の距離…。明青は、自分にとってのカフーが何か、もう一度考えたと幸に語りかける。「周りのみんなが幸せなこと、そしたら俺は幸せ」と。
おばあは、優しいが優柔不断な明青を心配して、代々伝わる指輪を渡す。そして、島のリゾート開発プロジェクトに反対せず、「家を売って、お転婆娘を幸せにしてやれ」と言うのだった。だが、明青が家を離れたくないのには理由があった。幼い頃に出て行った母親(高岡早紀)が戻ってくるかもしれないという思いがあったのだ。
お盆の準備をしている明青と幸。明青は、幸の「夏が終わっても、ずっとここにいてもいい?」との言葉に答えられない。翌朝、明青は、お昼に浜に来てほしいと幸にメモを残し、おばあの家へ。すると、俊一(尚玄)の家でおばあが倒れたというニュースが飛び込んでくる。おばあに家を売るよう説得していた俊一と口論になる明青。俊一は、明青の母は5年前に亡くなったことを告白し、待っていてもムダだと告げる。落ち込んだ明青は、幸と話す気にもなれない。
リゾートプロジェクトの誘致が決定し、明青と共に反対派だった渡も賛成側に回る。同じ時期に渡の姉であり、明青の初恋の相手である成子(白石美帆)から、幸が俊一の上司の高木(沢村一樹)が明青を説得させるために送り込んだ女性だと知らされる。ショックを受けた明青は、幸に向かって成子と結婚すると嘘をついてしまう。幸は明青の家を出て行く…。だが、幸には明青に伝えられなかった秘密があった。果たして幸がこの島に来た本当の理由は何だったのか? 一通の手紙と一枚の絵馬から生まれた二人の恋の行方は…。
スタッフ
監督:中井庸友
原作:原田マハ『カフーを待ちわびて』宝島社刊(第1回「日本ラブストーリー大賞」大賞受賞作品)
キャスト
玉山鉄二
マイコ
勝地涼
尚玄
瀬名波孝子
宮川大輔
ほんこん
伊藤ゆみ
白石美帆(友情出演)
高岡早紀
沢村一樹
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