ただ、がむしゃらに生きてきた。 しかし、気がつくと、家族はいつしか家族ではなくなっていた。 妻の気持ちも、娘の気持ちも分からない。自分の気持ちさえも・・・ だから、私は決意した。自分らしさを取り戻し、私らしく生きるために。

2010年/日本/カラー/??分/ 配給:松竹

2010年10月14日よりDVDリリース 2010年5月29日(土)全国ロードショー

(C)2010「RAILWAYS」製作委員会

公開初日 2010/05/29

配給会社名 0003

解説



家族とは?人生にとって本当に大切なものとは?心に響く感動作、誕生。
筒井肇は、一流企業に勤める49歳。近々、昇進も決まり、会社での立場は確立。しかし、家庭を顧みない肇から、妻や娘の心は離れる一方だった。そんなある日、田舎で一人暮らす肇の母親が倒れたとの連絡が入る。追い討ちをかけるように、同期の親友が事故死したという知らせが。久しぶりに帰った故郷で、肇は想う。上り調子で来たはずのこれまでの人生。ただ目の前の仕事に追われ、走り続けてきた日々。家族を気遣う余裕もなく、母親にはまだ親孝行の一つもしてやれていない。気がつくと、すっかり息切れしている自分がいる。「俺は、こんな人生を送りたかったのか・・・?」そして肇は、決意する。子供の頃、母親に語った自分の夢、“バタデン”の運転士になることを。

いつからでも、人は前に進むことができる。
50歳を目前に受ける入社試験、若手に囲まれての研修、憧れだったバタデンの運転。無謀にも、夢に挑むその姿が、やがてばらばらに離れた家族の心を引き寄せてゆく・・・。自分らしく生きること。肇にとってそれは、夢だった電車の運転士となり、誇りを持って仕事に打ち込むこと、そして何よりも家族を大事に想う気持ちでした。大人になっても、いつからでも、人は前に進むことができる。自分の人生にとって、本当に大切なことに気づいた主人公の生き方が勇気と希望を与えてくれる、心に響く感動作、それが「RAILWAYS」です。

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの企画・制作ROBOTが贈る、
心温まる感動
夢に向かって奮起する主人公・肇を中井貴一。ハーブショップ経営という自分の夢を叶える一方で、夫とのすれ違いに悩む妻・由紀子に高島礼子。それぞれが自立しながらも、夫婦であり続けるという、現代の夫婦間の微妙な距離を演じきります。何をやりたいのか分からず悩む大学生の娘・倖に本仮屋ユイカ、幾つになろうとも息子をわが子として温かく見守る母親に、奈良岡朋子。そして本作で役者デビューを果たす三浦貴大が、肇の同僚で、故障でプロ野球の選手になるという夢を諦め運転士になった宮田を演じます。エグゼクティブプロデューサーには「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズを企画・制作したROBOTの阿部秀司。監督は、自身も島根出身の錦織良成が手がけます。

スクリーンに広がる大自然と、日本最古級の電車が紡ぎだす美しい田園風景
肇が子供の頃、憧れた電車・バタデンは、島根県東部を走る一畑(いちばた)電車の愛称。創業・明治44年(1911年)以来、廃線の危機も乗り越えながら地方の足として、今尚ひた向きに走り続けています。映画にも登場するデハニ50形は荷物室を備えた日本最古級の電車として、鉄道ファンにも広く愛されています。島根を舞台に描かれるのは、そこに暮らす人々の温かさ、再び紡がれる家族の絆。そして、出雲の大自然を走るバタデンと美しい田園風景が、現代の我々が忘れかけている日本の原風景を思い起こさせてくれます。

ストーリー


大手家電メーカーの経営企画室室長、筒井肇(中井貴一)は、仕事に追われる日々を送っていた。50歳を目前に、取締役への昇進を告げられる中、課せられたのは工場整理という名のリストラ、その対象は同期入社の川平(遠藤憲一)が工場長を務める工場だった。合理化を説き、本社への異動を薦める肇に対し、川平は「俺がやりたい仕事は物作りだ」と譲らず、退職の道を選ぶ。川平の“やりたい仕事”という言葉は、肇の心に、何かを残していった。

妻の由紀子(高島礼子)は、長年の夢だったハーブショップを開店し、多忙な毎日を送っている。肇との距離は広がり、会話もほとんどなくなっていた。一方、就職活動中の娘・倖(本仮屋ユイカ)は、自分の夢が見つからず、悶々としていた。肇は、そんな倖に「一体この先、どうするつもりなんだ」と急かす言葉をかけ、さらに倖を苛立たせてしまうのだった。

ある日、故郷の島根で一人暮らしをしている母・絹代(奈良岡朋子)が倒れたという連絡が入った。急いで田舎に帰ったものの、軽度の心筋梗塞だと聞き、翌日には東京へ戻る、肇と由紀子。仕事ばかりの両親に、倖は「婆ちゃんより大切な仕事なんて無い!」と反発するが、肇は取り合わない。そんな折、川平の交通事故死の知らせが突然入る。さらに母に、悪性の腫瘍が見つかったことを医師から告げられ、肇はひどく動揺する。

呆然と帰った故郷で、家業のしじみ漁に励む同級生の了(中本賢)の誇らしげな姿や、都会とは違う田舎のゆっくりとした時間の流れを全身で感じる肇。がらんとした実家で、肇はかつて必死に集めていた電車の切符を見つける。母親が未だ大切にとってくれている切符…。肇は子供の頃、一畑電車の運転士になるのが夢だったことを思い出す。
母親には、親孝行さえしていない。妻や娘とのすれ違ってばかりいる。川平は、家族を残して突然、逝ってしまった。俺はこのまま、人生を終わらせてしまうのか。目前のことに追われ、やりたいことに挑戦さえしていない——肇の中を、熱い想いが駆け抜けた。

肇は会社を辞め、一畑電車の運転士採用試験を受けるという、決意をする。49歳、しかも大手企業に勤めるエリートだった肇の応募に、一畑電車の社長の大沢(橋爪功)と、部長の石川(佐野史郎)は、ただ驚くばかり。しかし、待遇、環境、あらゆる条件にも屈しない肇の熱意に動かされ、採用を決定。由紀子は、肇から何の相談もなかったことに、半ば諦めたように「やってみたらいいと思う」と告げる。妻と娘を東京に残して、肇の運転士見習いの日々が始まった。

 晴れて運転士試験に合格した肇は、先輩運転士の福島(甲本雅裕)らの指導を受けながら、働き始める。古い車輌でスピードもゆっくり、駅間の距離も短く、一時間に一本の運行というローカル線の一畑電車。肇は、さまざな乗客とふれあいながら、前職では感じたことのない、充実感を覚えるのだった。

 一畑電車の新入社員にはもう一人、宮田大吾(三浦貴大)という青年がいた。肇は、唯一の同期として、仲良くなろうと話しかけるが、宮田は心を開こうとしない。ある時、宮田が、じつはプロ入りまで決まっていた元・エースピッチャーで、故障で野球を諦めるしかなかったことを知った肇は、なぜ、自分がその歳で、運転士を目指そうと思ったかを話す。「今が自分の夢に向き合う最初で最後のチャンスだって思ったんだ。いくつになっても、努力さえし続ければ、叶う夢もあるんだよ」

介護士・森山亜紀子(宮崎美子)の献身的なケアもあり、絹代は入院生活やリハビリに慣れてきた。肇の転職を知った絹代は、そっけない態度を取りながらも、嬉しそうな息子の様子に思わず顔をほころばせる。「どぎゃん親でも、子どもが嬉しそうにしとーのが、一番だわねえ」。

夏休みに入った倖が島根に来て、絹代の介護を手伝うようになった。楽しそうに働き、就職についても「焦ることない」と言う肇の変化に、驚く倖。仕事に打ち込む森山や、一畑電車の面々と出会い、倖もやがて、自分の夢に向き合い始めるのだった。一方、由紀子のハーブショップは雑誌でも紹介され、軌道に乗り始めた。東京と島根——それぞれの夢の舞台に距離を感じながら、夫婦の幸せとは一体何かを考え始める由紀子。私たちはこのままでよいのだろうか…。

夢に向かって真っ直ぐに生きる肇の姿に影響され、誰もが変り始めたある日、絹代の病状が急変する。勤務中の知らせに動揺した肇は、宮田に運転を代わってもらう。しかし、宮田が乗客の乗降を手助けするため運転席を離れた隙に、子どもが誤って運転レバーを動かしてしまう。そして、事態は思わぬ騒ぎに…。肇は宮田をかばい、辞表を提出。若い宮田の将来と比べれば、49歳の自分の夢なんて…。そして、会社を出た肇が目にしたもの、それは——。

スタッフ

監督:錦織良成
製作総指揮:阿部秀司
脚本:錦織良成、ブラジリィー・アン・山田、小林弘利
企画・制作プロダクション:ROBOT
配給:松竹
製作委員会:ROBOT、博報堂DYMP、松竹、テレビ朝日、小学館、日本海テレビ、衛星劇場、京王エージェンシー、他

キャスト

中井貴一
高島礼子
本仮屋ユイカ
三浦貴大
奈良岡朋子
橋爪功
佐野史郎
宮崎美子
遠藤憲一
中本賢
甲本雅裕
渡辺哲
緒形幹太
石井正則
笑福亭松之助

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す