めくるめく東京。 変わりゆく8人の女の 日常ドキュメンタリー

2007年/日本/カラー/76分/ 配給・宣伝:アイズプロジェクト 配給協力:UPLINK X 宣伝協力:JTBエンタテインメント

2008年1月12日、渋谷UPLINK Xにて公開

公開初日 2008/01/12

配給会社名 0919

解説



2000年代もはや後半に入った。東京に生きる8人の若い女性たち——。
再開発の進む東京の街の姿と同じように、彼女たちもまた「変わり」、あるいは「変わりたい」と願っていた。
自分の事務所を設立したタレント兼社長。OLを辞めてプロミュージシャンを目指す彼女。都心にマンションを購入したが、将来に悩む看護師であり主婦。日本の伝統文化・狂言に惚れ込んだ女子大生。ポールダンスを生きがいとして見つけた彼女。モデルから女優へ進出した彼女。変わりたいと願うがどうしたらいいか分からない、フリーターの彼女。大手企業を辞め、無職ながら愛する街を守るボランティアに参加している彼女。
——彼女たちの生きた、ほんの一ヶ月の、一瞬の時間。
「変わった」「変える」「変わりたい」。
変わりゆく「東京」の姿。変わりゆく彼女たち。
ソーダの泡のような輝きと空虚感。
 そこには変わりゆく「日本」が見えてくる——。

出演する人たちは、誰しもが知る著名人ではなく、また大事件を起こしたわけでもない、私たちの身近にいそうな普通の若い女性たちばかりの8人。
彼女たちはお互いに顔も知らない他人同士だが、東京に住み、「変わる」ということを内に秘めていることだけは共通している。
彼女たちの何気ない日常の一瞬を垣間見ることによって、新しい「生き方」を発見するだろう。
本作品は、既存のドキュメンタリーにありがちな「説明」をはぶき、「感覚的」な映像から新しい世界を見出そうとする、実験的作品でもある。

本作品の製作を手がけたのは、奥山和由エグゼクティブ・プロデューサーである。数々の名作を手がけ、「世界の映画人実力者100人」にも選ばれた奥山プロデューサーが、今回はこのような新しいドキュメンタリーを作り上げた。音楽はフォーク界で伝説的な存在感を放ってきた山崎ハコが担当し、作品に深い印象を与えている。
本作品は、8名の女性を8名のユニット監督がそれぞれ撮影を担当し、それを飯塚敏明総監督がまとめあげるという制作体制で行われた。1ヵ月という撮影期間中に8名を同時撮影することによって、「東京の今」「彼女たちの今」を撮り上げた。それは、映画作家としての8人のユニット監督と1人の総監督の「生きる今」でもある。

ストーリー











常に再開発を繰り返しながら、その姿を変え続けている大都市・東京——。
この街には「何でもあるが、何もない」。
いまこの瞬間に生きる私たちは、この街にいったい何を求めているのだろう。

うえつはら上津原佐和子(26)は、グラビアなどのタレント活動をしながら、個人で芸能マネジメント業務を行なってきたが、親族や投資家の協力によって、最近会社を設立した。彼女にはプライベートの時間がほとんどなく、ただ会社を大きくすることを目的として、忙しい毎日を送っていた。上津原の考える将来は楽観的でポジティブだ。
宇賀真理子(32)は、10年間勤めた会社を最近辞め、アルバイト生活を始めた。実家を離れ、東京で初めてのひとり暮らしを始めた。彼女の毎日は、アルバイト以外、ほぼ全てがサックスの練習と作曲活動である。夢は、プロのミュージシャンとして独り立ちすること。これまでなかなか決断できずにいた。サックスを始めたのも大学時代からで、もっと早くから始めていれば良かったと後悔していた。しかし、宇賀はその「失った時間」を必死に取り戻そうと毎日を過ごしていた。
松口玲子(29)は、透析専門の病院で看護師として働いていた。出版関係の仕事をする夫がおり、最近、都心に1LDKのマンションを購入した。仕事のほかは、夫と一緒に好きなゴルフに興じる毎日。しかし将来は子供も欲しい。都心で夢の生活を手にしたものの、いざ将来のための現実を考えると不安も多い。この「家」は本当に正解だったのか?
後藤真理子(20)は、大学の狂言研究会の部長を務めている。差し迫ってきた学園祭を期に、部長職を辞して、就職活動に専念することになる。彼女は、狂言に関わる仕事か、日本の伝統文化に関わる仕事に就きたいと思っている。男中心の狂言の世界で、女性としてプロ狂言師になることはほぼ不可能に等しい。たまに男に生まれていたらと思うこともあるが、でも狂言に関わっていけるだけでいい。後藤の狂言を愛する気持ちは一途である。

「日常」は、大きな事件もなく、いつも通りに過ぎ去っていく。大きな夢や目的を持っていても、いつも通りに「日常」は繰り返されていく。
カメラはそんなありのままの姿を捉え続けていく…

古瀬真弓(23)は、水商売の世界で刹那的な生活をしてきたが、1年半前にポールダンスと出会って、これが自分の生きがいなのだと確信。歌舞伎町でダンサーとして働き始めた。競技ダンスの世界大会にも出たい。開店前は一般人向けにダンスのレッスンもしており、ポールダンス一色の毎日。一見派手な生活の彼女ではあるが、実際は実家で両親と共に暮らし、動物を愛する普通の女性であった。
ミヲン美元(27)は、準ミスユニバースジャパンを受賞したトップモデルであるが、最近、映画女優としてデビューを果たした。だがその役柄は肌の露出も多く、過激な内容のもの。出演に際して、彼女にはかなりの葛藤があった。東京で行なわれた国際映画祭では父親も鑑賞したが、上映途中で抜け出した。幼い頃に亡くなった母親の墓参りを期に、娘と父の「素顔」が浮かんでくる。
塩沢美樹子(27)は、ボクササイズのインストラクターのアルバイト。だが彼女は仕事を辞めようと思っていた。この仕事にこだわりがあるわけでもなく、会社の上司もあまり好きではないから。アフリカのような自由な生活を求める彼女には、窮屈な印象なのだ。しかし、27歳にもなってこんな気ままな生活で良いものかとも考える。だがどうしたらいいか分からない。家族や親族からも「きちんとしなさい」と言われるが、塩沢の模索は続く。
荒木裕子(34)は、大手企業でゲームの音響プロデューサーとしてキャリアを積んできたが、最近突如退社した。現在は無職。内縁の夫と共に、下北沢の一戸建てに住んでいる。荒木が目下励んでいるのは、愛する下北沢で進められている再開発計画に対する反対運動。全てを一気に変えてしまう現在の計画には疑問がある。それまで生きてきた人たちの過去を全て消し去って、未来だけを目指そうとする再開発の考え方は、果たしてどうなのか?

私たち日本人は、自分の「素顔」を隠しながら生きている傾向が強い。
だがカメラの前では、自分のカッコよさも、悪さも、ありのままが映し出されていく。
もし彼女たちの一人が私たち自身であったら?スクリーンは私たちにも問いかけてくる。
東京は私たちを無視して、容赦なく変わり続けていく。私たち「ニッポン人」は、そんな流れゆく街の中で、いったいどうしたら「本当の幸せ」をつかむ生き方ができるだろうか?

スタッフ

エグゼクティブ・プロデューサー:奥山和由、吉田逸雄、滝口裕之
総監督:飯塚敏明
プロデューサー:飯塚敏明、日向武夫
構成:飯塚敏明、高井君貴
ユニット監督・撮影:高田雅之、安池卓、渡辺浩太(J.S.C.)、樋口哲史、
   西野基久、宮田敦広、小野寺昭憲、タミヤヨシナリ
音楽:山崎ハコ
製作:『東京ソーダ水』製作委員会(毎日コミュニケーションズ、チームオクヤマ、アイ・ティ・プロデュース、エキスプレス、アイズプロジェクト)
配給協力:UPLINK X
配給・宣伝:アイズプロジェクト

キャスト

美元
上津原佐和子
宇賀真理子
松口玲子
後藤真理子
古瀬真弓
塩沢美樹子
荒木裕子

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