ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008<フォーラムシアター部門>正式招待作品

2008年/日本/カラー/83分/ 配給:ダックウィード

2008年06月25日よりDVDリリース 2008年3月22日よりシネマアートン下北沢にてレイトショー

(c)サテライト/GPミュージアムソフト

公開初日 2008/03/22

配給会社名 0947

解説


かつて、日本映画界にこのようなジャンルの作品があっただろうか!?

単なる「動物モノ」でも「パニック映画」でもない、祟りの「ホラー」というだけではない、社会風刺をケレン味たっぷりに描く新感覚エンターテインメント。予想だにしない動物が「憑く」不気味さ、自分の身の回りに起こる妄想ともつかない恐怖、あり得ぬ事態を誰も信じぬ孤独感、癒しの象徴が襲撃てして来る「意表」、秘められた動物の「悲哀」、非日常と現実の垣根が取り払われる瞬間、−現代社会の歪みが産んだ「負の寓話」を描く傑作がまさに出現した。

本作『〜CHI−MANAKO(ちまなこ)〜』を華々しい第一弾とする『哀憑歌』シリーズのもう一つの醍醐味は、寓話が互いにクロスオーバーして行くところである。第1弾の登場人物が第2・3弾でも出て来ては去って行く。「チェイン・ストーリー&キャスト」−思わぬところですれ違う人々、接する人・出会う場によって思わぬ側面を見せるキャラクターたち−人間社会の縮図に、観客は夢想に陥り自由に物語を頭の中で紡ぎ出す。まさに「一粒で二度三度美味しい」作りに、本作を一度観た者は魅了されシリーズを見続けるだろう。しかも、何度でも観返したくなるような新機軸のハイブリット動物ホラーなのである。

原案・脚本・監督は、本作が劇場用長編映画デビューとなる金丸雄一。新藤兼人・降旗康男・三池崇史・中野裕之・すずきじゅんいち監督らの巨匠・鬼才監督に師事し助監督を十数年務めて来た叩き上げである。アイドルグループ・V6のスペシャルDVD「それぞれの空Drama Storyt Clip」(06)で監督デビューし、TOYOTA Isis(アイシス)WEB-CM『ルッキン・フォー』でも好評を博し、本作が満を持しての長編初監督作となった。

タッグを組むカメラマンは、『蝉しぐれ』で第29回日本アカデミー撮影賞に輝く釘宮慎治。奇怪な現代の寓話と非現実に引きずり込まれる女性の心理描写を細やかかつ大胆に見事に切り取っている。

旋律を見事に書き上げたのは、行定勲監督とのタッグも多い音楽担当のMOKU。映画・CM・テレビから自身の楽曲活動まで多岐に渡る活躍を見せるミュージシャンである。また、本作の冒頭を飾るアヴァン・タイトルには、若き天才画家・更科あかねが本シリーズのために書き下ろした抽象絵画がふんだんに使われ、観客を異空間に見事に誘う。シリーズの特殊造型を日本映画界屈指の松井祐一(『キル・ビル』、『呪怨』シリーズ、『妖怪大戦争』ほか)が担当するのも見ものである。

ストーリー

ネオン街に華麗に咲く女・八重樫美咲(田畑智子)。夜の街を闊歩するホステス・美咲は店では一番人気の売れっ子だけに毎夜毎夜のアフター三昧。帰宅の途につくのは、いつも夜明け前である。

夜の水商売の世界でチヤホヤされている美咲にとって、男なんて「金・モノ・ご馳走を貰える」利用するだけの存在である。常連客も笑顔を振りまけばいくらでも金を注ぎ込んで来る。表の笑顔とは裏腹に、「貰いモン」人生を標榜する美咲は、「最高級品」以外は眼中に無い。今日も常連に貰ったプレゼントが半端な高級な程度の品だったので、さっさとゴミ箱に放り込む始末。

こんな「貰いモン」人生の美咲だが、もう一つ別の側面、「拾いモン」人生があった。実は美咲には同棲の彼氏・健哉(出合正幸)がいる。いつかは売れることを夢見るストリート・ミュージシャンである。いつもイライラをぶつけてしまうのだが、物欲にまみれた世界で生きる美咲にとっては、唯一本音をさらけ出せる存在なのかもしれない。

美咲にとっては、健哉の気負いの無さと毎日のバスタイムがくつろぎの場。毎晩毎晩、最高級化粧品のシャンプー・石鹸類でシャワーを浴び、日中はそれを買い求めるのが美咲の一番の趣味。日課のように最高の化粧品を探し求めては、日課のように使う。その欲望は「あぶく」のように、ただただひたすらに垂れ流されて行くのだ。

ある夜、常連客の神埼(永倉大輔)にアフターの後、送ってもらう美咲。神崎の執拗なアプローチを軽やかに断り、途中であるにもかかわらず車を降りてしまう。自宅までの暗い夜道をハイヒールの音高らかに闊歩して行く美咲。と、そこで一匹のウサギと出くわす−

「拾いモンと貰いモン」というのが美咲の生き方。思わず「ウサギ」に興味を持ってしまった美咲−それが思わぬ方向に導き込むのだ。

男をむげにして逞しく夜の街を闊歩する美咲。その美咲の悲劇の序章がいよいよ幕を開ける。

スタッフ

監督・脚本・原案:金丸雄一
製作:小林正人
企画:佐藤博彦、山本ほうゆう
プロデューサー:林田昌爵、崎本志穂、辰己佳太
原案:金丸雄一、釘宮慎治
脚本:谷口純一郎、金丸雄一
撮影:釘宮慎治

キャスト

田畑智子
出合正幸
石川紗彩
永倉大輔

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