パルス
原題:Pulse
黒沢清監督作品『回路』(01)を ウェス・クレイヴンx ディメンション・フィルム製作(『ハロウィン』『スクリーム』) でハリウッド・リメイクしたワールドクラス・ホラー!
2006年8月11日全米公開
2006年/アメリカ/35mm/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/86分/ 配給:アートポート
2008年04月23日よりDVDリリース 2007年12月22日、シアターN渋谷にてロードショー
(c)2006 The Weinstein Company. LLC. All rights reserved.
公開初日 2007/12/22
配給会社名 0014
解説
超高度情報化社会——もっとも恐ろしい物語が現実になる!
『パルス』は、黒沢清監督作『回路』(2001)の巧妙かつミステリアスなリメイク作品だ!
『パルス』はテクノロジーの持つ矛盾点を描いている。コミュニケーション・テクノロジーは、社会を繋いでくれるツールのはずだが、反対に疎外感を生み出している。
何時間もパソコンの前に座ってEメールやらネットサーフィンなどで、文字通り他人のコンピューターにアクセスしながら、他人と繋がっていると錯覚しているが、実際は人間的レベルに達した調和など、はかれていない。テクノロジーの誘惑に負け、更にそれらに依存し、それによって人間自身も変えられてきた。本作は人間的な部分を失いつつあり、どんどん孤立化する社会状況を描いている警戒的な物語なのだ。
ミステリアスで詩的な、記憶に残るホラー映画
黒沢監督のオリジナルに染み渡っている内面的な恐怖を保ちながら、今回のアメリカ版は更にその恐怖を膨らませた。もっと恐ろしく、もっと派手にアメリカナイズされている。見る人が椅子から飛び上がるくらいのものを目指したと『パルス』制作スタッフは自信を持って語っている。
究極のコンピューター・ウィルス
『回路』のように『パルス』でも無線などの速いデジタル化されたライフスタイルに潜在した恐ろしさを描き、テクノロジーに対する私たちの不安に付け込んでいる。『パルス』では、インターネット・ネットワークが悪夢へと繋がってしまったことに遭遇してしまう学生たちの話だ。
多才な監督を発掘
コマーシャルディレクターとして経験の長いジム・ソンゼロが本作『パルス』の監督に抜擢された。とても素晴らしいテーマ的視野とフィルムのフレームを通して表現出来ることに定評があるクリエーターである。その結果、映像の描写、物事の考え方や取り組む姿勢から結末のクライマックスまで一貫してリメイクというしがらみを超えた作品に仕上がっている。
”テクノロジーは社会に孤立感をもたらす”「パルス」は世界に警告する
ジム・ソンゼロ監督は『パルス』を要約して語ってくれた。
「コミュニケーションを図る機器によって私たちは繋がっていると錯覚を起こしているんだ。そういうものを使えば使うほど、私たちはもっと疎遠になっていく。デジタル・テクノロジーの社会では人と人とがじかに触れ合うのではなく、他人のパソコン上に言葉を表示させている。私たちのコミュニケーション方法はネットワーク上のものに過ぎない。この映画は、世界に対する警告ととらえられてもいいね」
「パルス」の世界を支える多彩なキャスティング
謎を解明していく心理学部のマティを演じるクリステン・ベルは、物語にリアリティをもたらした。今後、ますます人気上昇するアクトレスとなるだろう。主人公の協力者でコンピューターオタクのデクスターを演じたのは日本でも人気のテレビシリーズ『ロスト』に出演したイアン・サマーハルダー。『ビー・クール』(2005)などに出演したクリスティナ・ミリアン、『クリミナル』(2004)や『ホステージ』(2005)に出演したジョナサン・タッカー、『宇宙戦争』(2005)に出演したリック・ゴンザレスらが、不気味で警告的なこの現代の黙示録に彩りを添えている。
妖しい映像を作り上げたクリエーターたち
撮影監督のマーク・プラマーとプロダクション・デザイナーのギャリー・マッテソンが、フィルムの色彩に加え、他の要素も見る人にとって、どことなく落ち着かない雰囲気を作り出している。彼らは監督と同じくコマーシャル界出身である。さらに『パルス』の製作に当たっては、物理的効果と照明効果、デジタル・エフェクトなどの多数の視覚効果を用いた。一番の課題は「幽霊」の製作だった。この難事業に当たったのは、ベテランのメイクアップ・エフェクト・デザイナーのゲイリー・タンクリフ、ビジュアル・エフェクト・スーパーバイザーのケヴィン・オーニール、そしてエフェクト・ハウスだ。是非とも本作で、その非現実のなかのリアルを感じてほしい。
ストーリー
或る日の大学図書館。
憑かれたように暗い室内を歩く大学生ジョシュ。コンピューターに博識な彼が、ハッカーの友人と待ち合わせをしていた。彼が求めているものは何だったのか——それは分からない。彼は有りうべからざる怪奇と遭遇したのだから。
それから七日間後。
キャンパスで心理学を学ぶマティがいた。マティはジョシュの元恋人。まだ彼に未練を持っている。彼女はルームメイトのイジーにからかわれても、七日間連絡が取れないジョシュを心配している。そこにジョシュからの留守電のメッセージが残される。
マティは、すぐさま異変を感じジョシュの住むアパートへ向かう。
アパートは暗く、病的な雰囲気に包まれていた。蠢く虫。腐食した家具。すべてが異様な空気に満たされている。ジョシュはいない——そう思ったところ、彼女の前に変わりきった風貌のジョシュが現れる。声をかけるがまともに反応しないジョシュ。不可解な言動に戸惑うマティ。追う彼女の前に首吊り自殺をしたジョシュの姿が。
ジョシュの不可解極まる死によってトラウマを抱えたマティ。彼女はセラピーに通うが、ジョシュの死についての異様さは訴えても伝わらないのだった。
暗い日々のなかで衝撃が走る。
「助けてくれ」
友人たちとのチャット中になんとジョシュのメッセージが現れる。マティの友人のストーンが、このいたずらにしては悪辣なメッセージの謎を解くためにジョシュのアパートへ行く。そこには、パソコンはない。わけが分からないというストーンの前に現れたものは………
マティの身辺に不気味なシミが忍び寄る。
それはストーンの身体に現れる。
一方、ジョシュのパソコンを手に入れたデクスターの目の前にもメッセージが。
「幽霊に会いたいですか」
数々の憔悴しきった人々の映像。そしてそれは消去不能のループイメージなのだった。
ストーンが連絡を絶った。気になった友人の一人、ティムは彼のアパートへ向かう。しかし、待っていたのは、不可解なパソコン画面に侵入したメッセージと、シミによって蝕まれた身体を抱えたストーンだった。
感染は感染を呼ぶのか——幽霊はセラピストの前にも現れる。
不穏な影が学園を中心に広がっていく中、デクスターがジョシュのコンピューター内に隠されていたメッセージを取り出したとマティに告げる。苦悶の表情で、図書館での出来事や身辺の変異をかたるジョシュ。何かが襲って来ているとマティとデクスターは確信する。
謎の現象は、アメリカ各地でも同時進行で広がっているというニュースが流れる。
人が消えていく………
怯えるマティ。しかし、彼女の目の前で、現象は起こった。感染したイジーがマティの目の前で崩壊したのだ。文字通りの肉体の崩壊。最後に残された言葉は、
「わたしには死の味が分かる………金属の味がする。息が出来ない、身体が重くなるの………」
感染、人間蒸発、幽霊の出現、不穏なメッセージの伝染——人知を越えた恐怖の現象にマティとデクスターは向かい合うことになっていくのだった。
スタッフ
監督:ジム・ソンゼロ
脚本:ウェス・クレイヴン、レイ・ライト
キャスト
クリステン・ベル
イアン・サマーハルダー
クリスティナ・ミリアン
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