原題:The Notorious Bettie Page

伝説のピンナップガール、その知られざる真実の物語

2006年/アメリカ/カラー・モノクロ/91分/アメリカンヴィスタ/SRD/日本語字幕:松浦美奈/R-15 配給:ファントムフィルム

2008年05月23日よりDVDリリース 2008年12月15日、シネマライズ他にてロードショー

公開初日 2007/12/15

配給会社名 0442

解説


1950年代、ニューヨーク。アメリカン・ドリームの陰でセックスは抑圧され、語ることさえタブーであった時代に、ある時はヌードで、ある時はボンデージファッションやランジェリーに身を包みカメラの前で喜々としてポーズをとって誰よりも美しく輝いた女性がいた。“最も多くの被写体となった女性”と言われる永遠のピンナッフ・ガール、ベティ・ペイジ。偶然の積み重ねで自然に才能を開花させ、結果、時代の価値観と真っ向から対立することになった「無垢」な女性は、図らずも裏マリリン・モンローと呼ばれた。そのグラマラスな肉体とそしてエキゾチックな黒髪と天使を思わせる無邪気な笑顔で、「悪名高き」ベティ・ベイジはセックスというパンドラの箱を世界に向かって開け放ち、世界中の男性を虜にした。しかし、たった7年間で忽然と表舞台から消えてしまった彼女は、その後、音楽、ファッション、フォトグラフ、映画、コミックなどあらゆるジャンルにおけるポッフ・アイコンとして影響を与え続けた。
世界中のデザイナーが彼女のスタイルを取り入れ、マドンナの挑発的なパフォーマンスやステージ衣装、ユマ・サーマンやレニー・ゼルウィガーらハリウッド女優の黒髪と短く切り揃えた前髪など、ベティ・ベイジ・スタイルの影響は枚挙にいとまがない。今、最も話題のバーレスク・ダンサー、ディータ・ヴォン・ティースもベティの影響に言及するなど、ベティがカメラの前で最初にポーズをとってから半世紀をすぎた今では、男性のみならず世界中の女性たちもベティの魅力に夢中になっている。

ベティ・ベイジとはいったい何者だったのか?彼女の何が人々を惹きつけるのか?
ベティのワン・アンド・オンリーの魅力とは?伝記『ザ・リアル・ベティ・ベイジ」(リチャード・フォスター)をもとに、本作は1950年代当時の風俗や時代の風潮そして空気までを忠実に再現し、50年の月日を経て更に輝く伝説のピンナッフ・ガールの知られぎる真実を描く意欲作。監督は『I SHOT AND YWARHO』や『アメリカン・サイコ』などでアメリカの光と影を描いた女性監督メアリー・ハロン。製作を『ボーイズ・ドント・クライ』『エデンより彼方に』など過去に7度のオスカーノミネート作品を製作したキラー・フィルムが担当。衣装には『バスキア』『ブロークン・フラワーズ』のジョン・ダン、音楽は、映画以外にもテレビやCMで活躍するマーク・スオッゾなどが名を連ねている。主演にはまさにベティ・ベイジと瓜二つのグレッチェン・モル、優しさとタフさを兼ね備えた女優リリ・テイラーの他、クリス・バウアー、デイヴィッド・ストラザーン、ジャレッド・ハリスなどの名優たちが顔を揃え、作品に深みを与えている。

ストーリー

1955年、テネシーの上院議貝であり、青少年犯罪に関する上院小委貝会の委員長であるエステス・キーフォーバーは、米国の若者に対する猥褻物の影響を調査するため、公聴会を開いた。警官はニューヨーク市内のいかがわしい書店を強制捜査した。
その書店には「Escapade」や「Wink」といった男性向け雑誌が並んでいたが、「Bettie Page in bondage」のような特別な写真集や小冊子は店頭からは隠されており、その商品を直接注文する客に限って売られていた。そしてカトリックの神父は上院委貝会で、それらの商品は共産主義思想より危険であると証言する。

聴聞室の外の廊下では、美しい黒髪の女性(グレッチヱン・モル)が委貝会に呼ばれるのを静かに待っていた。彼女は控えめなスーツを着て上品な白い手袋をしている。彼女に興味を見せる若い警官がほのめかしてくる誘いを、「1人で大丈夫」と柔らかな南部なまりで礼儀正しく、優雅にいなすのだった。

彼女は「Bettie Page in bondage」のモデルだ。編み上げの革のブーツを履いて写真を撮ったと思えば、妹のゴールディと一緒にナッシュビルで礼拝後に写真を撮ったりもする。どちらもベティ・ペイジであることに変わりはない。

彼女は世界大恐慌の時代、ナッシュビルの貧しい家庭で育った。幼いベティは母親や姉妹と共に毎週日曜に教会へ通った。賢く勉強熱心で美しい彼女に周りの男達は夢中だったが、保守的な母親(アン・ダウド)に厳しく押さえつけられていたべティは、学校の弁論部に所属し大学進学を目指していた。しかし彼女の人生には次々と問題や挫折がたちはだかった。大学進学の夢は実現せず、地元の勇性、ビリー・ニール(ノーマン・リーダス)と若くして結婚するも、短期間で破局する。ナッシュビルでの無邪気な生活は悲惨な終わりを迎えた。ベティは自らを奮い立たせ新しいスタートを切るためにニューヨーク行きのバスに乗り込んだ。

マンハッタンでなんとか新しい人生をスタートさせたベティは、ある日コニーアイランドのビーチを散歩をしている時、警官でカメラマンの仕事もしているジェリー・ティブス(ケヴィン・キャロル)と出会う。そのビーチでジェリーの写真のモデルをしたことがきっかけとなり、ベティは、自分でも気付かないうちにそのキャリアをスタートさせていた。ジェリーの勧めに従い、高く広い額を隠すために前髪をカールのきつい切り下げにして、後に有名になるベティ・ペイジ・ヘアスタイルを作り上げ、ベティはどうすれば自分の姿が隙立って写るのかをいつの間にか学んでいった。

ほどなくベティはカメラ・クラブに紹介され、男性用雑誌や個人コレクターのためにポーズをとり、アマチュア・カメラマンたちから絶大な人気を集めるようになった。ビキニや大胆で露出度の高い下着姿でも、ベティはカメラの前で全く物怖じせず、嬉々として様々なポーズをとった。変幻自在にいくつもの表情を見せるベティにカメラマンたちは魅了されていった。彼女の写真がニューススタンドで見慣れたものになる頃、ベティは同時に女優としての道も歩み始めた。グリニッチビレッジの演劇スタジオに入ってスタニスラフスキーの演技論を読み、熱心に演技の練習に励んだ。しかし他の生徒たちの中で、彼女はどこか異質の存在であった。彼らはナッシュビルから来た信仰心の厚い若い女性を理解することができなかった。

モデルとしてのベティのキャリアは、アーヴィング・クロウ(クリス・バウアー)と彼の義理の妹ポーラ(リリ・テイラー)が経営する繁盛店、ムービー・スター・ニュースで転機を迎える。クロウは表向きはハリウッド・スターの顔写真と映画のスチール写真を売っていたが、裏では個人向けの写真販売を営んでいた。彼らの顧客は高いヒールのブーツや靴を履いた女性を好み、時には彼女たちが縛られたり、あるいはムチを振り回すSM写真に興味を示した。ベティにとっては馴染みのない領域だったが、家庭的で居心地のいいクロウのスタジオで見るボンデージの道具は、恐ろしいというより滑稽だし、見えない顧客に向かってポーズをするだけだ。こく自然な成り行きでベティはクロウ・ファミリーの一員となっていった。集団で楽しい食卓を囲み、ボンデージ映画の撮影はまるで田舎で過ごすちょっとした休暇のようだった。

そのファミリーには、世俗的な作品を生み出す、才能ある英国の写真家でありイラストレーターのジョン・ウィリー(ジャレッド・ハリス)や、世界的なモデルのマキシー(カーラ・セイモア)がいた。ベティはクロウとの仕事とは別に、セミヌードのモデルも続け、フロリダの人気写真家バニー・イェーガーにも気に入られ彼女と仕事をするまでになった。しかしベティの人気とは裏腹に彼女の写真は、アメリカン・ドリームの陰でセックスは語ることさえタブーであった50年代の道徳観念と対立することになる…。

スタッフ

監督:メアリー・ハロン
製作:KILLER FILMS

提供:ファントム・フィルム、シネマライズ

キャスト

グレッチェン・モル
クリス・バウアー
ジャレッド・ハリス
サラ・ポールソン
カーラ・セイモア
デイヴィッド・ストラザーン
ノーマン・リーダス
リリ・テイラー

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す