原題:I'm a CYBORG,but That's OK

『オールド・ボーイ』をはじめとする復讐三部作のパク・チャヌク監督最新作はアンチソーシャル・ラブストーリー

2006年/韓国/カラー/107分/ 配給:東京テアトル

2008年03月21日よりDVDリリース 2007年9月15日、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー 

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公開初日 2007/09/15

配給会社名 0049

解説



◆復讐は終わり、愛が始まる・・・
 パク・チャヌク監督最新作は、アンチ・ソーシャル・ラブストーリー
 
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の『オールド・ボーイ』で世界に衝撃を与え、ヴェネチア国際映画祭で「若い獅子」賞受賞の『親切なクムジャさん』が韓国で大ヒットを記録し、社会現象まで巻き起こした監督パク・チャヌク。今、もっとも注目されるパク監督の新作、それが『サイボーグでも大丈夫』。
2007年のベルリン映画祭で上映され、見事アルフレッド・バウアー賞に輝いた。この賞は映画祭創設メンバーの名にちなんだもので、革新的で新しい芸術性を吹き込んだ作品に与えられる特別賞。過去に、96年には『ロミオ&ジュリエット』のバス・ラーマン、03年には『HERO』のチャン・イーモウに贈られている。
パク監督が【復讐三部作】を完結させて次に取り組んだのは、なんとロマンティック・コメディ。とはいえ、これは“ある種の”ロマンティックコメディ。フツーのラブストーリーにおさまるはずがない。甘いだけだと思って一口舐めると、脳までビリビリ刺激、中毒になりそうな未体験フレーバー。

物語の主人公は、自分がサイボーグだと信じ込んでいる女の子ヨングン。彼女がはいった精神クリニックには、個性豊かな人々がたくさんいた。中での人の物ならクセまで盗んでしまうイルスンがさっそく彼女を観察し始める。
なぜヨングンはご飯を食べない?なぜ彼女はイルスンに“あるもの”を盗んで欲しいとお願いするのか?
そんなヨングンもまたイルスンのことが気になっていて、お互いが特別な存在になっていくのだが・・・・・・。

◆パステルトーンが基調でエッジのきいたビジュアルに広がるのは、ちょっぴり毒のツヨい童話世界

きっかけは監督が見た夢だった。ある日、“身体の中から銃弾が出てくる少女”の夢を見たパク監督は、その不思議な夢に多彩なプロットを盛り込み、肩の力を抜いた一本のラブストーリーに発展させた。
『サイボーグでも大丈夫』が描くのは、精神クリニックという独特な空間が生み出す童話のような世界。小さくて愛らしい物語に見えながら、単純なおとぎ話では決して終わらない、【復讐三部作】では最愛の人を奪われた哀しみや怒りをリアルな世界に投げつける大人たちが主人公だったが、ここは感情を抑えすぎてねじれた空想の世界に入り込んでしまう“子供”たちがいる。
タイトルロールが始まると、工場ラインがスケルトンで映し出され、そのポップなセンスに一気に引き込まれる。舞台となる精神クリニックも、ともすれば陰鬱で閉塞感に陥ってしまいそうな空間として描かれがちなところを、あふれるイマジネーションで、パステルカラーの色調を活かして軽やかでいてどこかトンがった空間に彩り、これまでのパク作品とはまったく異なるビジュアルイメージを造りだしている。
監督がファンだというジャック・ドゥミのミュージカル映画のように、あるいは『チャーリーとチョコレート工場』や『アメリ』のように、ちょっと残酷だけれど幸福感に満ちたシュールな物語が繰り広げられる。

◆トップスター、Rain(ピ)が映画初主演
 注目の若手女優、イム・スジョンの新たな魅力に夢中
 
韓国で“出演した監督№1”といわれるパク監督。特に、『親切なクムジャさん』でイ・ヨンエがこれまでのイメージをまったく破壊した衝撃は記憶に新しい。そして今回、主役イルスンを演じるのは、韓国にとどまらず日本、アジアを魅惑し、世界に飛翔するトップスターの座にある歌手Rain(ピ)。彼が、あええチョン・ジフンという本名で演技に本格的に挑み、その意気込みが強く感じ取れる作品となった。彼はタイム誌が選ぶ“世界でもっとも影響力のある100人”に韓国人として始めて選ばれており、今回の映画初出演でさらに話題をさらっている。そして同世代の俳優の中でもっとも優れた演技力により独自のステイタスを築いている若手女優イム・スジョンが、イルスンにハートを盗まれてしまう”サイボーグ”という個性豊かなキャラクター、ヨングンを演じ魅力する。
パク・チャヌク監督は作品ごとに魅力的なキャラクターを生み出し、俳優の最高の演技を引き出すことを得意としてきた。本作でもチョン・ジフンとイム・スジョンから新たな演技を引き出している。
さらに一度見たら忘れられないクリニックの人々には、『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』などパク作品の常連が顔を揃え、愉快に演じている。
また、『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』の撮影チョン・ジョンフン、照明パク・ヒョヌォンが韓国発のHDハイパーカメラを駆使し、パク作品では最もCGを使い、ファンタジーを盛り上げた。その他、音楽のチョ・ヨンウク、美術のリュ・ソンヒ、衣装のチョ・サンギョンなどパク作品を支えてきたスタッフが結集している。

ストーリー


◆生きるのに問題ないよ。人に気づかれなければね。

ここは突飛な想像と空想に満ちた新世界精神クリニック。
ある日、新しい患者が入ってくる。少女の名はヨングン(イム・スジョン)。なぜか自分のことをサイボーグだと信じ、蛍光灯を叱り、自動販売機にご苦労さんと声をかける。

ヨングンは、自分のことをかわいがってくれたおばあちゃんが療養所に送られて以来、頭のネジがちょっとおかしくなった。でも仕事が忙しいヨングンの母親は、「私はネズミよ」と言っていたおばあちゃんと自分の娘が同じようにビョーキだとは認めたくない。

そんなヨングンに目を留めたのは、同じ年頃のイルスン(チョン・ジフン)。「人のもの」なら特徴でもなんでも盗むことができるイルスンに、ヨングンはお願いする—— 「盗んでください、私の同情心を。殺したいのに殺せない気持ち・・・・・・。」
でもどうしてサイボーグ?同情心を盗むって?わけがわからないイルスンは、しばらくヨングンの行動を観察することにした。

ヨングンを観察するうちに彼女のパワーダウンの原因がわかった。サイボーグはご飯を食べると機械が壊れると信じ込んで、電池を舐めているだけだったのだ。その上、おばあちゃんを連れ去った“ホワイトマン”を早く倒しておばあちゃんを助けなければならないのに、サイボーグのくせに同情心が捨てられなかった。

イルスンの悩みといえば、いつか自分がこの世から消滅してしまうこと。それがコワくて盗みを続けていた。親たちが自分の存在に気付かないフリをしていたから、盗むのが得意になってしまったというのだ。
そんな境遇のイルスンは、誰よりもヨングンの気持ちがわかった。足りないのはご飯だけではないかもしれない。薬の治療も効き目がなく、電気治療もされ、ついには無理やり、栄養物を注入されてしまうヨングン。

イルスンは自分の能力を総動員。ヨングンが自由に移動できるよう“睡眠飛行法”を盗み。落ち込んでいるヨングンを歌で励ますためにヨーデルの歌唱力を盗む。そしてヨングンの代わりに悲しみを感じるために、特別にヨングンの同情心を盗んであげる。「同情心をもらいます。さあ、伝達!」

イルスンとのキスで“充電”したおかげで、ヨングンの顔にほほ笑みがうかぶようになり、食べることを想像しはじめた。イルスンはさらにご飯をエネルギーに換える装置があるんだ、とサイボーグでもご飯を食べられる装置をヨングンの背中にとりつける。故障したらいつでも駆けつけてあげられるように“生涯アフターサービス保証”を約束する。ときめきを感じるのはサイボーグとして失格と思いながらも、イルスンに惹かれていくヨングン・・・。

ヨングンは、自分はサイボーグだと主治医の先生に打ち明けた。この告白は、イルスン以外には初めてのことだった。先生はそっと肩を抱いてくれて「つらかったでしょ」といってくれる。

ヨングンとイルスンは、自分たちが“存在している理由”がどうしても知りたくて、嵐の夜に出かけていった。
空が明るくなる頃、二人が見つけたのは・・・・・・。

スタッフ

監督:パク・チャヌク
エグゼクティブ・プロデューサー:イ・テホン
プロデューサー:イ・チュニョン
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
撮影:チョン・ジョンフン
照明:パク・ヒョヌォン
編集:キム・サンボム、キム・ジェボム
音楽:チョ・ヨンウク
美術:リュ・ソンヒ
衣装:チョ・サンギョン
ヘアメイク:キム・ヒョンジョン

キャスト

チョン・ジフン(Rain(ピ))
イム・スジョン
チェ・ヒジン
イ・ヨンニョ
ソン・ヨンスン
チュ・ヒ
イ・ヨンミ
チョン・ソンフン
キム・チュンギ
キム・ドヨン
オ・ダルス
パク・チュンミョン
パク・ピョンウン
ソン・ヨンス
チュ・ユラン
キム・ビョンオク

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