原題:Le Prix du désir

愛するほどに、欺かれる。

第57回カンヌ国際映画祭 正式出品作品 第21回アヴィニヨン映画祭UCMF賞受賞

2004年/フランス・イタリア・スイス/カラー/109分/ 配給:アット エンタテインメント株式会社

2007年12月21日よりDVDリリース 2007年6月30日、秘密の森へ誘うロードショー シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

公開初日 2007/06/30

配給会社名 0104

解説


ヨーロッパ上流階級を舞台に描かれる、美しく激しい運命の駆け引き。

 ファム・ファタールに翻弄される男という永遠のテーマに、緻密に組み立てられた“謎”を加えて描かれた、このうえなくセクシュアルかつゴージャスなミステリー。それが本作『そして、デブノーの森へ』である。

 ミステリアスなヴェールを揺らめかせる主人公・ミラを演じるのは、“シャネルのミューズ”アナ・ムグラリス。ニコール・キッドマンやユマ・サーマンに続いて、トップ・メゾンのモデルに大抜擢された完璧な美しさは、そこに存在するだけで他を圧倒する。芸術品を思わせる肢体とまっすぐに注がれる挑発的な視線で、欲望に忠実で魅惑的なファム・ファタールぶりを見事に披露した。ミラに翻弄される正体不明のベストセラー作家・ダニエルに扮するのは、名優ダニエル・オートゥイユ。すべてを手中に収めながら、世間から自分を切り離して生きるという特異な役柄を、セザール賞常連の確かな演技力で熱演。異常なまでの警戒心、滲み出るような悲哀、胸の奥底に秘められた情熱−−胸中にある複雑な感情を絶妙に表現し、屈折した男から溢れんばかりの人間味を引き出している。

監督・脚本を手掛けるのは、フェデリコ・フェリーニやフランチェスコ・ロージのもとで、映画製作の経験を重ねた、偉大なるイタリア映画の継承者ロベルト・アンドゥ。長編デビュー作の『Il Manoscritto Del Principe』(日本未公開)が、『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレによってプロデュースされたことからも、彼に寄せられる期待の高さが分かるだろう。長編二作目となる本作において、その才能はさらなる発展を遂げている。オープニングの鮮やかな不意打ちから衝撃のラストシーンまで、緻密に練り上げられたストーリーテリング。セリフの一切を最小限に削ることで、登場人物の抑圧された感情を引き出すという独自のスタイル。観客は、幾重にも仕掛けられた罠に何度となく裏切られ、緊張感を漲らせたスクリーンに目を奪われる。

 劇中でもファッションモデルを演じるアナ・ムグラリスに衣装を提供しているのは、ヨーロッパのトップ・メゾン、シャネルとフェンディ。アナ・ムグラリスに惚れ込んだカール・ラガーフェルドがデザインする世界的ブランドのシャネルとフェンディが、彼女の魅力を最大限に引き出すために数々のクチュールを用意し、優雅なラインと上質の素材感でアナ・ムグラリスの美しさをより一層際立たせる。このほか、ゼニア、セリーヌ、セルジオ・ロッシなどの洗練されたビジネススタイルも加わり、スクリーンにはセレブリティな空気が匂い立つ。

 欧州を横断するハイソサエティなロケーションも忘れてはならない。南イタリアのリゾート地であるカプリ島のホテル、ヨーロッパの古い歴史を刻む都市スイス・ジュネーヴのレマン湖畔に立つ豪邸、ポーランド・デブノーの瀟洒な赴きのある別荘−−ミラとダニエルの心境の変化にともなって、舞台は要綱あふれる地中海から秘密めいた東欧の森へと、絵画を旅するかのごとく移り変わっていく。

 このほか、共演に『ザ・プレイヤー』のグレタ・スカッキ、『ふたりの5つの分かれ路』のミシェル・ロンズデール。美術に『ニュー・シネマ・パラダイス』のアンドレア・クリザンティなど、ヨーロッパ映画界を代表する錚錚たるメンバーが名を連ね、二人の美しく激しい運命の駆け引きをよりドラマティックに盛り上げている。

ストーリー

南イタリア——
一瞬にして人生を狂わせた強烈な誘惑。
匿名の小説家ダニエルは、カプリ島に向かう船上でミラという美しい女性と出会う。
しかし、心を奪われた相手は義理の息子の花嫁だった。

古都ジュネーヴ——
謎に包まれていく女と仮面を剥ぎ取られていく男。
許されない情事を重ねる二人。
しかし、関係が深まるほどにミラの存在は謎に包まれ、反対にダニエルの正体が世間に晒されていく。

そして、デブノーの森へ——
女の謎を追って、男がたどりついたのは、自らの過去。
ミラの正体は——。
謎を追ってダニエルが辿り着いたのは、故郷であるポーランド、デブノーの森に封印した自らの過去だった。

スタッフ

監督・脚本:ロベルト・アンドゥ
脚本:サルバトーレ・マルサレッリ
撮影:マウリツィオ・カルヴェージ
美術:アンドレア・クリザンティ
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ

キャスト

アナ・ムグラリス
ダニエル・オートゥイユ
グレタ・スカッキ
ミシェル・ロンズデール
マグダレナ・ミェルツァシ
ジョルジオ・ルパーノ

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