原題:Babel

ブラッド・ピット、役所広司、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル。 「言葉」という壁を越え、今、世界が愛でつながり始める・・・。

第59回カンヌ映画祭のコンペティション正式出品 最優秀監督賞、エキュメニック賞受賞 第64回米ゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞受賞 監督賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、音楽賞ノミネート 第79回アカデミー賞作曲賞受賞 作品賞、助演女優賞、監督賞、脚本賞、編集賞ノミネート

2006年10月6日全米公開

2007年/アメリカ/カラー/142分/ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2009年04月24日よりDVDリリース 2007年11月02日よりDVDリリース 2007年4月28日よりスカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

(c)2006 by Babel Productions, Inc. All Rights Reserved.

公開初日 2007/04/28

配給会社名 0025

解説



本年度アカデミー賞最有力候補!
ブラッド・ピット、役所広司ほか、国境を超えたスーパーキャストたちによって描かれる今年最大の問題作が世界を揺るがす!

3大陸4言語、世界規模のスケールで人類の絶望と希望を描く
衝撃のヒューマン・ドラマ、いよいよ日本上陸!

 遥か遠い昔、言葉は一つだった。人間たちは神に近付こうと、天まで届く塔を建てようとした。怒った神は言葉を乱し、
世界はバラバラになった──旧約聖書の創世記に記された、バベルと呼ばれた街の物語だ。
 21世紀の今、この星全体が“バベル”のようになってしまった。世界のあちこちで争いが絶えないばかりか、
もはや言葉が通じる隣人や親子でさえも心を通わすことができない。かつてない急速な発展を遂げた情報化社会に暮らしているのは、
どこにも届かない想いを抱いてさまよう私たちの孤独な魂なのだ。
 4言語が飛び交うなか、3大陸にわたる壮大なロケを敢行して、そんな私たちの魂を救おうとする衝撃のヒューマン・ドラマが完成した。
雄大な自然を映し出すオープニングから息をのむ怒涛のラストまで、観る者もいっしょに、
バラバラになった世界をつなぐカギを探す旅に出る──それが『バベル』なのだ。

バラバラにされた私達が、再びひとつにつながるには、どうすればいいのか?
その答えを秘めた銃弾が今、放たれた。

 リチャードは、妻のスーザンとモロッコを旅していた。ある哀しい出来事が原因で壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、
アメリカからやって来たのだ。まだ幼い息子と娘はメキシコ人の子守に託していた。山道を行く観光バスの中で、事件は起こった。
どこからか放たれた一発の銃弾が窓ガラスを突き抜け、スーザンの肩を撃ち抜いたのだ。
あたりに病院はない。リチャードはバスを移動させ、スーザンを医者がいる村へと運ぶが、溢れ出る血を止める応急処置がやっとだった。
リチャードが救助に来ないアメリカ政府に苛立つ間、徐々に事件は解明され、やがて1人の日本人男性に辿りつく。
一発の銃弾は国境を超えて、孤独な魂を抱える人々をつなぎあわせていった─。
銃を手にいれたモロッコの山羊飼いの少年、銃の所有者である日本人男性、彼の聾唖(ろうあ)の娘、
そして子守の女がメキシコへと連れていった子供たち。
果たして、生命と魂の危険にさらされた彼らの運命は─?

ブラッド・ピット×役所広司×ケイト・ブランシェット×菊地凛子
国境を超えたキャストたちが、本年度賞レースの話題を独占!

 アメリカ人夫婦の夫を演じるのは、ハリウッド屈指のスーパースター、ブラッド・ピット。スターの顔を脱ぎ捨て、
モロッコの砂漠の村で苦闘する1人の男になりきり、11年ぶりとなるゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネートを果たした。
彼の妻に扮するのは、アカデミー受賞女優、ケイト・ブランシェット。銃弾に倒れ身動きのできない役どころだが、
母の悲しみと夫への揺れる愛情を表情だけで見事に演じた。
ライフルの所有者には、日本が誇る国際派俳優、役所広司。少ない台詞のなかで、自殺した妻との心の溝、聾唖の娘との葛藤を演じきり、
強い印象を残した。彼の娘を演じるのが、日本人女優としては実に35年ぶりという、ゴールデングローブ賞助演女優賞ノミネートの
快挙を成し遂げた菊地凛子。愛を求める魂の叫びを全身から発する迫真の演技に全米マスコミも絶賛、数々の賞に名を連ね、
本年度賞レースの台風の目となった。日本から世界に羽ばたく演技派女優が誕生したのだ。また、メキシコ人乳母の暴走する甥を演じるのは、
日本でも人気の高いガエル・ガルシア・ベルナル。美しい顔立ちの奥に秘めた荒ぶる魂を魅惑的に演じた。
そして何よりも私たちの心臓を鷲づかみにするのは、遠く離れた3大陸で、それぞれの役を“生きた”キャストたちの演技を超えた化学反応だ。
また、映画出演は生まれて初めてという現地の人々が多数起用され、土地のパワーを吸収した彼らのリアルな存在感がフィルムに命を与えた。

ゴールデングローブ賞を始め、名誉ある映画賞を席巻!
長編映画3作目にして、世界の映画界を担う破格の才能

 監督は、2000年のカンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを獲得、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた
長編デビュー作『アモーレス・ペロス』(99)で一躍注目されたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
その後は母国メキシコを飛び出してグローバルに活躍、続く『21グラム』(03)でも数々の賞に輝いた。3作目となる本作で、
3大陸で1年以上にわたる撮影という想像を絶する破格のプロジェクトを実現、世界初披露の2006年カンヌ国際映画祭で、
いきなり最優秀監督賞に輝いた。またゴールデングローブ賞では、自身初の監督賞を含む最多6部門7ノミネートを果し、
名実共に世界の映画界を担う監督となった。
 4つの物語をダイナミックにシンクロさせて、観る者を驚愕と感動のラストに誘う脚本は、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(05)で
カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したギジェルモ・アリアガ。それぞれの土地の特色を捉えた撮影は、『ブロークバック・マウンテン』(05)で
アカデミー賞にノミネートされたロドリゴ・プリエト。また、孤独な魂を優しく包み込むような音楽を手掛けたのは、
『ブロークバック・マウンテン』で同賞を受賞したグスターボ・サンタオラヤ。

ストーリー




今、モロッコで放たれた一発の銃弾が、アメリカ、メキシコ、
そして日本の孤独な魂をつなぎあわせる。
LISTEN──聴いてほしい。初めて世界に響く魂の声を。

言葉が通じない。心も通じない。想いはどこにも届かない。
──世界は、バラバラになってしまった──

始まりは、モロッコの少年が放った、一発の銃弾
 モロッコの険しい山間の村で暮らすアブドゥラはその朝、知り合いから一挺のライフルを買った。ライフルは2人の息子、
アフメッド(サイード・タルカーニ)とユセフ(ブブケ・アイト・エル・カイド)に手渡される。生活の糧であるヤギを襲う
ジャッカルを撃ち殺すのだ。兄弟には、争いがあった。兄のアフメッドは弟のユセフが姉の裸を覗くのが許せなかった。
 さらにアフメッドを苛立たせたのは、ユセフの射撃の腕前だった。試し撃ちが全く当たらない兄に代わって、
ユセフは眼下の山道を走るバスを狙い、一発の銃弾を放った。

撃たれたのは、見失った絆を探しに来た、アメリカ人夫婦の妻
 アメリカ人夫婦はその時、ユセフが狙った観光バスに乗っていた。夫のリチャード(ブラッド・ピット)に誘われて
気乗りしない旅にやって来たスーザン(ケイト・ブランシェット)は、揺れる想いを抱えていた。夫婦には、葛藤があった。
まだ赤ん坊だった3人目の子供が突然亡くなり、その悲しみと罪悪感に正面から向き合えずにいたのだ。
 なんとかこの旅で、夫婦の絆を取り戻したい、そう願うリチャードの隣で、スーザンの体に衝撃が走る。銃弾が彼女の鎖骨の
上を撃ち抜いたのだ。リチャードは血まみれのスーザンを抱え、医者がいるというガイドの男の村へと走る。

帰れない両親、子供たちは、メキシコ人の乳母の故郷へ
アメリカに残されたリチャードとスーザンの子供たちにも事件の影響が及ぶ。兄のマイク(ネイサン・ギャンブル)と、
まだ幼い妹のデビー(エル・ファニング)は、メキシコ人の乳母アメリア(アドリアナ・バラッザ)に連れられ、
彼女の甥サンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が運転する車で、メキシコへ向かう。その日は息子の結婚式だと、
かねてから子供たちの両親に伝えてあったが、彼らは戻れない。アメリアには、責任があった。知らない人に預けるくらいなら、
連れて行く方が安全だと思ったのだ。初めて見るメキシコの風景に目を丸くする子供たちを優しく見守るアメリア。

銃弾は海を超え、日本に住む会社員へとつながっていく
 捜査の結果、ライフルの書類上の所有者は、日本人の会社員のヤスジロー(役所広司)だと判明する。ヤスジローには心労があった。
最近妻が自殺し、そのことで警察による事情徴収を受けていた。更に、それが原因でたった一人の家族である高校生の娘チエコ(菊地凛子)との
心の溝が大きくなりつつあった。
聾唖(ろうあ)であるチエコは母親の喪失によるショックから立ち直れず、何かにつけて父親に反抗するのだった。
誰かに強く抱きしめられることでしか、この寂しさを埋められない。チエコはそう感じていたが、障害を持つ彼女には
好意や欲望を伝えるのも簡単なことではなかった。

血を流すモロッコ、暴走するメキシコ、怒りのアメリカ、傷だらけの日本
 アメリカのメディアはテロだと騒ぐが、モロッコ警察はライフルの流れを突き止めていた。息子たちに真相を打ち明けられた
アブドゥラは、激怒しながらも2人を連れて山へ逃げる。追いかける警察の発砲、思わず迎え撃つユセフ。
 息子の結婚式は大成功に終わり、アメリアは再びサンチャゴの運転で子供たちと国境へ向かう。
ところが、飲酒運転がバレたサンチャゴは国境を突破、アメリアと子供たちを砂漠に置き去りにして逃走してしまう。
翌朝、灼熱の太陽に意識が薄れていくデビー。
政治的な問題のせいで、救助はいつになっても現れない。バスにも置き去りにされ、怒りと絶望の涙を流すリチャード。
チエコは父と話したいという若い刑事(二階堂智)を自宅に呼び出す。好意を伝えるために服を脱ぎ捨て、
いつものように拒絶され孤独の縁へと追いやられるチエコ。子供のように泣きじゃくるチエコの肩を、そっと抱きしめる刑事。
撃たれた兄を抱いて泣き叫ぶ父を見て、ライフルを叩き壊すユセフ。
子供たちを置いて、汗と涙に濡れながら助けを求めるアメリア。
衰弱していくスーザンと、子供が死んだ時のことを初めて語り合うリチャード。

見つめたい。抱きしめたい。この想いを伝えたい。
──世界は、ひとつになろうともがき始めていた──

スタッフ

監督・製作:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
原案:ギジェルモ・アリアガ/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
製作:ジョン・キリク/スティーヴ・ゴリン
撮影監督:ロドリゴ・プリエト
美術:ブリジット・ブロシュ
編集:スティーヴン・ミリオン
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
衣装:マイケル・ウィルキンソン
共同製作:アン・ルアーク
キャスティング:フランシーヌ・メイスラー/奈良橋陽子.

キャスト

ブラッド・ピット(リチャード)
ケイト・ブランシェット(スーザン)
ガエル・ガルシア・ベルナル(サンティアゴ)
役所広司(ヤスジロー)
アドリアナ・バラッザ(アメリア)
菊地凛子(チエコ)
エル・ファニング(デビー)
二階堂智(ケンジ)
ネイサン・ギャンブル(マイク)
ブブケ・アイト・エル・カイド(ユセフ)
サイード・タルカーニ(アフメッド)
モハメド・アクサム(モロッコ・ガイド)

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