原題:BUS174

2002年/ブラジル/カラー/118分/ビスタサイズ/ドルビーSR/PG-12 配給:アニープラネット

2006年01月27日よりDVDリリース 2005年6月4日よりライズエックスにて驚愕のロードショー

公開初日 2005/06/04

配給会社名 0406

解説


2000年6月のある晴れた日、リオデジャネイロでサンドロ・ド・ナシメントは大勢の乗客の乗ったバスのなかで拳銃を構えた。強盗未遂事件の情報がまたたくまに広まり・メディアに増幅されていった。通行車両と通行人、警察・それにカメラに取り囲まれ、出口なしの状態に追い込まれたサンドロはパニックに陥り、最悪の状況になってしまった。

Newsweekの2003年ドキュメンタリー・ベスト5に選出された『バス174』はこの戦標の事件を語り、事件の中心となった貧困にあえぐ20歳の若者の悲惨な過去を探求する。

警察による通行止めが行われなかったため、サンドロの行動は至近距離からのテレビ生中継によって膨大な量の報道を引き起こした。この衝撃的なニュース映像を使い、事件の人質、警察司法関係者、ジャーナリスト、それにサンドロの家族や友人への詳細なインタビューを通して、監督のジョゼ・パジーリャは一人の人間が巻き起こしたやぶれかぶれの行為がいかに国中を震がいさせるニュースとなるか、メディアがその報じる出来事をいかに増幅させて行くのかを検証する。

『バス174』はバスジャックで起こったことを記録するだけでなく、なぜ彼がバスの乗客を人質に取ったのかを追及していく中で、ブラジル社会全般のホームレスやストリート・チルドレンに対する無関心さといった社会的な問題に入り込んでいく。政府はしばしば逮捕した若い犯罪者を定員オーバーで、暴力的刑務所に放り込み、その結果彼らはますます怒りを心に溜め込み、さらなる犯罪と暴力へと追いやられていくのだ。

サンドロはリオデジャネイロでももっとも貧しいスラム街で育ち、幼少時に自分の母親が残虐に刺し殺される光景を目撃した。明るく社会にも適応していた少年が、孤立し自暴自棄になっていく。1993年、サンドロは悪名高いカンデラリア教会のストリート・チルドレン虐殺事件を体験し、生き残った。この事件では7人の少年が、警察の手で命を奪われたものと思われる。友人たち
によると、彼はこの頃からシンナーやコカインを吸引するようになり、その生活を維持するために窃盗を重ねるようになったという。サンドロは結局パードリ・セヴェリーノ少年院に収監された。乱暴な扱いで知られる矯正施設だ。

2000年6月、サンドロは強盗未遂に端を発して運命の事件を引き起こす。警察が事件現場の立ち入り禁止に失敗したことにつけこんだレポーターとカメラマンたちが、事件の生々しい映像を少しでも近くで捉えようとバスを取り囲む。
ブラジル中の人々が生中継のテレビで事件を見守った。

観客がいることを意識して、サンドロはかえって自信を持った。テレビに写っている間は自分が殺されることはないだろう。彼はカンデラリア教会虐殺事件で友達を殺されたことで警察を糾弾し、要求したものが得られなければ心臓の持病がある年寄りの女性乗客を殺すと、脅しをかけた。日が落ちたあとも、ブラジルの人々は状況の展開を固唾をのんで見守り、この国の激しい貧困が引き起こした暴力の現実を思い知らされた。

ストーリー


  

スタッフ

監督:ジョゼ・パジーリャ
共同監督・編集:フェリッピ・ラセルダ
製作:ジョゼ・パジーリャ、マルコス・プラード
撮影:セーザル・モラエス、マルセロ・グル
音楽:ヤン・サウダーニャ、アロイージオ・コンパッソ
配給:アニープラネット

キャスト

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