原題:LA GRANDE SEDUCTION

2003年7月11日カナダ公開

2003年/カナダ/カラー/110分/ドルビーデジタル/フランス語 配給:ハピネット・ピクチャーズ、クレストインターナショナル

2006年02月24日よりDVDリリース 2005年6月4日、シネスイッチ銀座にてロードショー

公開初日 2005/06/04

配給会社名 0187/0096

解説


2003年、本国カナダではハリウッド大作もアカデミー賞受賞(外国語映画賞)の『みなさん、さようなら』をも抑え、堂々NO.1ヒットを記録した映画、それが『大いなる休暇』である。2003年、カンヌ国際映画祭監督週間のクロージングを飾り、2004年、サンダンス映画祭で観客賞を受賞、他にも多くの映画祭で観客を幸せにしてきた、まさに愛すべき映画が誕生した。

人口わずか125人のサントマリ島に突然降って湧いた工場誘致の話。必須条件は島に医者がいることだが、ここは長らく無医島のまま。そこで島民たちは、ひょんなことから島にやってきたドクター一・ルイスに島に恋をさせ、定住を決心させるべく一致団結、涙ぐましいウソの々を繰り出していく。何も知らないルイスは島への移住に心が傾きだすが、すべてが仕組まれたことだと知る日がくることに…。
のどかで平和な風景の裏で高齢化や失業という切実な問題が潜んでいる島の生活。それでも決してユー一モアと誇りを忘れずにたくましく生きる人々。島の命運と島民たちの誇りをかけた大芝居には、笑いの後にさわやかな感動が用意されている。

本作に登場するサントマリ島は、ケベック州北部にあるハーリントンハーバーという、人口わずか300人の陸の孤島と呼ばれる小さな町で撮影された架空の島だ。昔は漁業で栄えたものの、今や朽ちかけた漁船に失業者だらけというこの島を魅力的にみせているのが。一生涯島から出たことのないイヴォン、島唯一の銀行マンで人間ATMと椰楡されるアンリ、そして数々のウソを考え出す町長ジェルマンと一癖も二癖もある島民たちだ。一方、美容整形を専門とし虚飾に満ちた生活をしてきたドクター・ルイスは人間味溢れる彼らの魅力に次第に惹かれ、島の一員になりたいと思い始めるが、彼らの親切がすべてウソだったと知らされ失望する。しかしウソをついてでも必死で生きる道を求めている彼らの姿から、ルイスは人生における真実を見つけるのだ。そして、それぞれが人として大きな誇りを持っていることにも気付かされる。カナダから独立するかどうか議論が続けられているケベック州の独立心がここにもしっかりと反映されている。

交通渋滞も.残業も、殺人事件もない。一見静かで穏やかなスロ一ライフ。しかし、そこには失業や医療問題など、経済的にも心理的にも重くのしかかる、深刻な問題が見え隠れする。明日の生活に不安を覚えながら.今日一日を素朴に質素に暮らす人々。これはなにも映画の中だけの話ではない。海に囲まれた日本には6,852もの島が存在し、約300が有人島である。そしてその内の約1/3が無医島という事実がある。このようにカナダ以外にも、身近な日本の島々にも同様の問題が存在する。サントマリ島の住民たちも切迫した状況に直面し、一丸となって、島の再起に向けて知恵を絞り、努力の限りを尽くす。このコミュニティの結束力こそが本作の見所でもある。一人一人の島を守りたいという気持ちが.いくつもの憎めないウソを生み出し、時には空回りしながらも、みんなの幸せを目指して、策を練り,奔走する。本作は笑いを通して、今の時代にこそ必要な地域のカ、そしてユーモアと希望を持って生きるすばらしさを見せてくれる。

気鋭監督+実力派キャストによるユーモラスな掛け合い、監督は、本作が初の長編映画となるジャン=フランソワ・プリオ。カナダのモントリオールに生まれ、セルジオ・レオーネの『ウエスタン』(68)、トニー・リチャードソンの『ホテル・ニュー・ハンプシャー』(84)のカメラアシスタントとして、映像のキャリアを積んできた。CM業界でも数多くの作品を手掛け、カンヌ広告映画祭ではシルバーベアー賞を受賞した経歴を持つ、これからますますその活動が注目される気鋭のクリエー一夕一だ。脚本はスタンダップコメディアンとして活躍してきたケン・スコット。お得意のユ一モアを発揮するばかりか、島が仕組んだ偽医者役でも登場している。また本作で中心的人物となるのは、映画・テレビで活躍するカナダの人気ベテラン俳優、レイモンブシャール。本作では、サントマリ島で生まれ育った漁師であり、島の復興のための大作戦を陣頭指揮するジェルマンを熱演する。島の命運を握る医師のルイス役には、俳優ディビッド・ブータン。不本意ないきさつで本土から島に来て、ジェルマン率いる島民たちの大芝居にまんまと騙される青年を好演している。その他、実力派キャストによるユー一モラスで絶妙な掛け合いが、笑いを誘い、胸をじんわりと温める、本作の大きな魅力となっている。

ストーリー



壊れかけた漁船と、朽ちた小屋。カナダ・ケベック州の小さな島、サントマリ・ラモデルヌ島はかつて漁業に栄え、漁師たちの活気に溢れていた。しかし、その繁栄も虚しく、次第に産業は衰え、いまやほとんどの島民は、わずかな失業手当に頼る生活を余儀なくされている。

そこへある日、この島に大規模なプラスチックエ場誘致の話が持ち上がる。狂喜乱舞する島の人々。これで、みんながまた仕事に就ける1また島が輝きを取り戻す!しかし、工場建設には一つ重大な条件が…。それは”島に定住する医師がいること”。慌てふためく島民たち。そう、サントマリ島には「お医者さんがいない」のだ!

無医島であるサントマリ島の島民たちは、もう4年以上、医者に会ったことがない。島民たちが困り果てたその時、本土に行ってしまった元町長の協力で一人の若き青年医師クリストファー・ルイスが島にやって来ることになった.これぞ絶好のチャンス1なんとかしてドクター・ルイスに島への定住を決意させなくては…。そのためにはサントマリ島がいかに素晴らしく、理想の島だということをアピールしなければならない。なんとかルイスに島を気に入ってもらおうと、町長のジェルマンを筆頭にアンリやイヴォンら島民たちは頭をひねり一致団結。いよいよ愛する島を救うための、ウソで塗り固めた大芝居が始まる。

少しでもルイスに気に入られようと、彼の好きなことを調べ上げて、こっそり先回りしてそれを実行するジェルマンたちは大忙し。ルイスがクリケットファンと知れば、ルールさえ知らぬ島民たちが、真っ白なユニフォームで登場し、チームを結成。筋金入りのクリケット好きを装う。また今にも倒壊しそうな老朽小屋を、国の重要指定文化財に仕立てあげる。時にはルイスの電話を盗み聞きし、好物や趣味など”ルイス情報”を入手。「大きな魚が釣り上げてみたい!」と聞けば、ルイスの釣り竿に冷凍の大魚を掛けて喜ばせたり。気さくで楽しい島の人々に囲まれて、次第に島に馴染んでいくルイス。そして一人の美しい女性との出会い。みんなみんな、全てはサントマリ島を守るため。なんとかルイスを引きとどめようと、不器用ながらも必死に奔走する島民たち。だが、涙ぐましいウソの数々がやがて、ルイスの知るところなり…。

美しい海と大地広がるのどかな風景。島全体が一つの家族のように、慎ましくも穏やかに、明るく暮らす人々。彼らの大切な故郷・サントマリ島はやはり、このまま衰退の一途をたどるのか。それとも、ルイスは島を救ってくれるのか。この島の、島民たちの命運は?

スタッフ

監督: ジャン=フランソワ・プリオ
脚本:ケン・スコット 
製作: リュック・ヴァンダル 
製作:ロジェ・フラピエ 
助監督:ミレイユ・グレ
撮影: アレン・スミス 
音楽: ジャン=マリー・ブノワ
音響:クラウディハザネビシャヌ 
音響デザイン:マルセル・ポティエ
編集:ドミニック・フォルタン

キャスト

レイモン・ブシャール
デヴィッド・ブータン
ブノワ・ブリエール
ピエール・コラン  
リュシー・ロリエ
ブルーノ・ブランシェ
リタ・ラフォンテーム
クレモンス・デロシェ
ドナルド・ピロン
ケン・スコット
マリ=フランス・ランベール

 

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