2005年/日本/74分 配給:アートポート

2005年05月27日よりDVDリリース 2005年4月9日、テアトル池袋にて独占レイトショー

(C) 2005 アートポート・日活/伊藤潤二・朝日ソノラマ

公開初日 2005/04/09

公開終了日 2005/04/15

配給会社名 0014

解説




第1作目の及川中監督を迎えた本作は、スタッフ、キャスト共に原点回帰を目指して、伊藤潤二による原作の魅力をより引き出した“富江ワールド”に仕上がっている。菅野美穗を富江役に迎えた1作目のオープニング、水橋研二演じる山本健一がレジ袋を抱えて街を俳徊する、あの印魚的なシーンの以前に何が起こっていたのか?月子〔1作目では中村麻美が演じた)が関わった岐阜で起きた“富江関連事件”と1作目に東京で起きた”富江関連事件”の間に一体、富江はどこで何をしていたのか?山本はなぜレジ袋を抱えていたのか?その答えを暗示させる本作は、原作のファンがシリーズ過去4作の中で最も熱狂した1作目に匹敵するぽどの支持を得るに違いない。
お蝶夫人役で上戸彩との共演による「エースをねらえ!」や明治製菓「ショパン」などドラマ、CMの活動のほか、昨秋にはCDデビューも果たした松本莉緒が富江役を妖しく演じている。息を呑む美しさながら、内に秘めた残酷な心が瞳の奥から観客に対してストレートに伝わることが容易に想像できるほど.寓江役にぴったりの女優である。そして、モデルとして、女優としてマルチな活躍を見せる今宿麻美郁、富江の同級生でボーイッシュなルックスの礼子を魅力たっぷりに演じている。この2人のコラボレーションは、本作の大きな見どころのひとつにもなっている。
また、1作目と同様に眼帯をかけた気弱そうな山本健一役を水橋研二が、狂気の担任・高木役を『キル・ビルVol.1』『THE JUON/呪怨』とハリウッドにも進出(!?)の森下能幸がそれぞれ演じている。水橋が演じる山本の登場シーンは、ファンタステッィク映画祭ならば拍手の渦に包まれるのではないだろうか。『キル・ビルVOL.1』において栗山千明に見事なまでに斬られた森下(呑み屋で栗山をナンパするサラリーマン役)は、本はその
“復讐”を果たすかのような刀さばきを見せてくれるのも楽しい。

ストーリー




荒れ果てた廃校に足を運んだ松原礼子。教室の扉を開けると、そこには山本健一が机に座っていた。誰が差し出したのか、2人がこの場に来た理由は、県立新生高校1987年度3年C組の同窓会の案内が届いていたため。晴れの同窓会をなんでこんな廃校で、それよりもなぜ礼子と健一しか集まらなかったのか。2人が回顧する川上富江にその答えはあった。。
それは12年前の19B7年、3年C組に川上富江が転校して来たことから始まる。担任の高木教諭が彼女を教壇の前に立たせて紹介する。心を熱く燃え上がらせるほどの美しさ、身を一瞬に凍らせるようなクールな瞳、そんな富江にクラス中が息を呑んだ。それまで平和で平凡なC組は富江の存在により微妙なバランスのズレをきたすようになる。男子生徒たちが憑り付かれたように富江の虜となり、奈津の彼氏である拓巳までもがまるで魔法に掛けられたように富江に心を奪われてしまう.
奈津を中心とした女子生徒たちの嫉妬が頂点に達していた中.礼子だけは違っていた。そんな礼子の心を読み切っていたかのように、富江は礼子に友達になろうと近付いて来る。クラス中の冷たい視線を浴びる富江と付き合うことは、即ち自分自身も冷たい視線を浴びることになるが、その魅力に引き込まれた礼子は次第に富江と行動を共にするようになる。女子生徒たちから仲間はずれにされ、いじめられる富江は、彼女たちへの復警を誓う。男子生徒たちを惑わして自分のしもぺの様に扱い、彼らを使ってゴキブリ紅茶や轟入りクッキーを奈津たちに無理やり食べさせようとする。
そんな中、富江の魔性に精神を侵されてしまったのか、常軌を逸した男子生徒3人組が刃物を持って富江と礼子を取り囲む事件が起こる。3人は冗談ではなく本当に富江を殺そうと刃物を振りかざし、富江の右耳を切り落としてしまう。痛みに苦悶の表情を浮かべる富江を気遣う礼子は、我が目を疑うものを見てしまう.それは、切り落とされた富江の右耳が、まるで足が生えた小動物が動き回るように、草むらの中へと消えてしまったのだ。幻覚か、それとも…。しかし、驚くぺき事件はそれだけではなかった。富江の耳にあてがわれた包帯を取ると、なんと切り落とされたはずの耳が傷跡も無くきれいに付いているのだ。礼子は、富江が人間ではないことを悟る。しかし、人間でないとすれば…。
クラス中の男子生徒はおろか、高木教諭までもが富江に狂わされてしまう。そして、唯一、富江の魔性に免疫を持っていたかのような健一までもが、徐々に全身に毒が回るかのように狂い始めていく。そんな健一が誤って富江を崖から突き落としてしまう。高木教諭は絶命した富江の死体をクラスの人数分に解体し、生徒一人ひとりが死体を処分するという恐ろしい提案をする。高木教論も生徒たちも、富江によって完全に狂わされてしまったのであろう、なんと解体を実行してしまうのである。ある生徒はゴミ捨て場に、ある生徒は川に、ある生徒は焼却炉に、富江のパラパラにされた死体を処分していく。.
翌朝、教室のとある机の上に花が供えられている。その机こそ富江のものである。教壇で富江を偲ぶ高木だが、次の瞬間、教室の扉が開く。そこに立っていたのは富江であった。やはり富江は人間ではなかった。髪の毛1本、血液一滴からでも分割再生することができる、明らかなモンスターなのである。しかし、モンスターであるが故の哀しみを常に抱いている。富江が行くところ、その魔性に男たちが狂わされ、三角関係以上の人情沙汰に発展し、富江は男たちに殺されてしまうのである。しかし、分割再生ができる富江は元の姿に戻ることが出来る。だが、殺された時の痛みは全ての生き物同様に感じるのである。「もう痛い思いをするのは沢山。」富江の瞳は明らかに哀しみを浮かべていた。しかし、富江の本心はこうである。「面白くなるのはこれから。本当の地獄を見せてあげるわ。」
礼子と健一しかいない教室に西日が差し掛かってきた,富江の思い出話から健一の心にある欲求がもたげる。それは…、富江に会いたい。富江が唯一心を許した礼子ならぱ富江がどこにいるか分かるのではと詰め寄る健一。その行動がエスカレートし、健一は礼子を絞め殺してしまう。健一は礼子のバッグに異変が起きていることに気付く。バッグの中から何かが聞こえる。なんとそこにはレジ袋に入れられた富江の心臓が…。12年前,礼子は処分ずるために富江の心臓都分を持たされたが、それを今まで持っていたのだ。この心臓さえあれば再び富江に会える。健一はレジ袋を抱えて富江の再生を待つかのごとく街をさまよう。教室に残された礼子の死体は…、その死体の左目下に、それまでは無かったホクロロが浮かんでくる。富江にも同じ箇所にホクロがあった。そう、富江は礼子の姿を借りて再生しようとしているのである。

スタッフ

原作:伊藤潤二(朝日ソノラマ刊)
監督・脚本:及川中
製作:アートポート 日活
制作:円谷エンターテインメント
制作協力:アルチンボルト
エグゼクティブ・プロデューサー:松下順一
製作:武内健 上村正一
企画:小林一夫 平田樹彦
プロデューサー:成田尚哉 東康彦
撮影:瀬川龍
照明:花岡正光
美術:池田大威
録音:植田中
編集:木村悦子
音楽:三善雅己

キャスト

松本莉緒
今宿麻美
水橋研二
森下能幸
菜葉菜
黒川マヤ
岩崎友香
三浦哲郁
フジヤマ
杉内貴

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