原題:Perro, El

さえないおじさんと幸福を呼ぶ犬ボンボンのほんわかロードムービー

2004年トロント国際映画祭正式出品 2004年サン・セバスチャン映画祭 国際批評家連盟賞受賞

2004年9月23日アルゼンチン公開

2004年/アルゼンチン/カラー/96分/ 配給:シネカノン

2007年10月26日よりDVDリリース 2007年4月14日、シネカノン有楽町ほか全国公開!

公開初日 2007/04/14

配給会社名 0034

解説



ヨーロッパ中で大ヒット!幸福犬ボンボンがあなたにも幸せのお裾分け

あるところにツイてないおじさんがいました。おじさんはまじめに勤め上げたガソリンスタンドをクビになって以来仕事がありません。ある日、人助けのお礼に大きい白い犬「ボンボン」をもらいました。貧乏なのにこんなでかい犬をと、途方にくれたものの、それからちょっとづつ良いことが起こり始めます−。
まるでラテン版「わらしべ長者」のような『ボンボン』は心あたたまる大人の寓話です。人生に疲れたあなたも見ればきっと幸せな気分になれるはず。ヨーロッパ中で大ヒットし、映画祭でもラストシーン、大爆笑とあたたかい拍手で会場を大いに沸かせた話題作です。

本能と運命、そして友情についての物語

本作には悪人は出て来ません。癖のある人ばかり。ほら、あなたのまわりと一緒じゃありませんか?たとえ「ボンボン」がいなくても誰にでも起こりうる出逢いが巻き起こす奇跡の物語なのです。
ボンボンは実際に世界各国のドッグショーにでている素晴らしい犬ですが、擬人化させてしゃべったりはしません。でもその表情に計り知れない演技力をたたえています。ペットブームの今だからこそ見てほしい、人と犬の本当の関係性が描かれています。

パタゴニアの雄大な景色、味わい深いキャラクター

撮影はすべてアルゼンチンの南部、広大な自然を有するパタゴニアで行なわれました。真っ青な空に白い雲、この澄んだ空気で優しく、時に厳しく人間をも包み込みます。失業率が高く、貧困という厳しい現実がありながらも、金銭だけでは計り知れない精神的な豊かさがここにあります。
どうにかなるさというラテン的なポジティブさで人間本来の逞しさを感じさせてくれます。主人公のファン・ビジェガスを演じているのはファン・ビジェガス自身。リアリティある演出がしたかった監督が実際にガレージで20年間まじめに勤務している彼をスカウト。見事スクリーンデビューを果たしました。ほかにもファンの相棒でドックトレーナー役のワルテル・ドナードはアニマルコーディネーターだったり、それぞれがそのまま本人役で味をだしまくり演技を超えた演技を見せています。

ストーリー

ファン・ビジェカスはツイてない男だ。パタゴニアの寂れた道路沿いのガソリンスタンドで20年も働いてきたが、ある日突然ガソリンスタンドが売却され、オーナーが変わるとあっけなくクビにされてしまったのだ。少しでも金を稼ごうと器用な手先を生かして、趣味が高じた手彫りのナイフを作っては売り歩くがさっぱり売れない。一緒に解雇された同僚たちはどうやら新しい職に就いたらしい。たいした技術も、財産もない初老の男に世間の風は冷たかった。ファンは住まいもなくし、娘夫婦の家に身を寄せた。だがたったひとりの肉親である娘も自分の生活で精一杯(どうやら夫はまるで頼りにならない)、ファンは厄介者でしかなかった。
そんなある日、道ばたで車が立ち往生している女性を助け、家まで送り届け車の修理をしてやると、そのお礼に大きな白い犬をもらうことになった。彼女が言うには、この犬は亡くなった父が繁殖業を始めようと購入したドゴ アルヘンティーノという血統書付きのす場らしいもので、犬は心の友にもなるからと半ば強引に押し付けられてしまったのだ。ファンにはお金の方がありがたかったし、自分の食い扶持すらないのにと思うのだが、やはり断ることは出来なかった。彼女の家はとても立派だが、男手もなくこれからの生計を母娘だけで立てて行くには不安そうに見えた。ファンは仕方なくその犬を助手席に乗せて家路につくが、不思議と少し心が温かくなった。犬も心なしか嬉しそうに見えてくる。家に着くと大ブーイング。居づらい家がいよいよ居づらくなってしまった。しかしここから少しずつファンの運命は好転し始める。
その犬ボンボンはとても目を引く存在で誰からも注目を集め、ほめられた。その賞賛は飼い主のファンに向けられたようで誇らしかった。ついに頑強なボンボンのおかげで羊毛倉庫の見張りのバイトを得ることができた。しかし人のいいファンは依頼主の言いつけを破り、気の毒な前任者を中にいれ任務を全うできなかったのだが。
後日、すこしの小切手を換金するために銀行に行くと、たまたま銀行幹部にドゴの愛好家がいた。彼はボンボンを見つけるとオフィスに招き入れてくれた。ボンボンを褒め、ドゴの素晴らしさをファンに教えてくれた。そしてワルテルというドゴの熱狂的な愛好家を紹介してくれた。
ファンは早速ワルテルを訪ねた。ワルテルはボンボンを一目見るとこの犬はドッグショーでも入賞間違いないといった。そして入賞した犬は種付けで相当儲けられるというのだ。準備金のないファンはワルテルとコンビを組んで犬の稼ぎを山分けするという条件で住み込みでトレーニングを依頼した。
そしてボンボンとハンドラーたるファンの特訓の日々が始まった−。
順調にトレーニングを積み、なんと初めてのショーで名誉の3位入賞を果たした。二人はホテルのレストランで祝杯をあげた。そしてファンはレストランで歌っていたアラビアン歌手に心ときめく。その女性と親しくなり、トルココーヒーで占ってもらうと「あなたはずっと旅を続ける」と告げられる。
その後トントン拍子に種付けの依頼が来たが、いざという時になってボンボンは肝心な仕事が果たせなかった。一気に夢から現実に引き戻された。
途方に暮れたファンにワルテルはしばらくボンボンを預かるから出直すように進めた。言葉に従って一人になってみるとファンは、心にぽっかりとあいた穴に気づく。未亡人の言葉通り、ボンボンの存在が心の支えになっていたようだ。ボンボンを取り戻すため、再びワルテルを訪ねた。するとボンボンが突然いなくなってしまったと告げられる。あわててファンはボンボンを捜しに行くのだが…。

スタッフ

監督:カルロス・ソリン
脚本:サンティアゴ・カロリ、サルヴァドール・ロセリ、カルロス・ソリン
音楽:ニコラス・ソリン

キャスト

フアン・ビジェガス(フアン・ビジェガス役)
ワルテル・ドナード(ワルテル・ドナード役)
グレゴリオ(ボンボン・オ・ルシアン役)
ミコル・エスティヴェス(グラシエリタ役)
キタ・カ(エスタンシア夫人役)
パスクアル・コンディート(バスクアル役)
クラウディーナ・ファッツィーニ(クラウディーナ役)
カルロス・ロッシ(マネージャー役)
マリエラ・ディアス(娘役)
ロサ・ヴァルセッキ(スサーナ役)
サビーノ・モラレス
ロロ・アンドラーダ

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